齢仙寺雑記帳

滋賀県にある臨済宗妙心寺派のお寺、齢仙寺の日々のお話

3月のことば 「莫妄想(まくもうぞう)」

2015年03月09日 | 今月の言葉
みなさま、東慶和尚の津送に際しては、ご多用そしてお寒い中、又、遠方より大変多くの方々にご焼香賜わりました。
生前のご厚誼、ご法愛に衷心より御礼申し上げます。又、各方面よりお寄せ頂きました数々のご弔意、本当に有難うございました。
おかげさまで大練忌(七七日)を無事勤めさせて頂きました。
皆様からのご弔意に対しまして、いちいち拝趨の上、ご挨拶、御礼申し上げるべきではございますが、略儀ながらこの場をお借りして御礼申し上げます。本当に有難うございました。

津送



さて、津送の際は、書院には東慶和尚の師匠である三木東演老師が和尚に与えた軸物を、三導師と前仏通寺派管長猊下一簞室老大師の控えの間である隠寮の床には大導師を拝請した岫雲軒老大師揮毫の軸物を掛けました。いずれも『莫妄想』でありました。
今月はこの言葉を考えてみたいと思います。



「莫妄想(まくもうぞう)」

「妄想(もうぞう)すること莫(な)かれ」の意でありますが、一気に『まくもうぞう』と読んだり、口にする事が端的です。

一般的な妄想は、根拠が無いのに信じ込んだり、勝手に解釈する事を言いますが、この語の場合は少し異なります。

妄想とは一切の思慮分別を言います。つまり。莫妄想とは、御託(ごたく)を並べず、粛々と自分の在るべき姿を行じ、そこには是非、善悪、美醜など二元的な判断、思慮が 髪の毛一筋も入り込んでいない様を言うのです。

よってこの語は、行動なども含めて、他を戒めたり、自戒の意に用います。

思慮の無い行いは無謀です。しかし、考えて行動すると『とらわれ』が起こり、結果、ああだこうだと心が悲鳴をあげます。

さあ、あなたはどうされますか?

お知らせ
三月十五日 午後一時 齢仙寺大般若祈祷会
          了後 妙心寺派布教師 岡山市少林寺 華山泰玄師 法話
三月二十一日 午前九時 齢仙寺 春季彼岸施餓鬼会

平成乙未弥生