齢仙寺雑記帳

滋賀県にある臨済宗妙心寺派のお寺、齢仙寺の日々のお話

5月のことば 「遍界不曾蔵(へんかいかつてかくさず)」

2013年05月19日 | 今月の言葉
すっかり遅くなってしまいました。
今年はゴールデンウィークも寒い!と思ったりしていましたが、すっかりいい気候になりました。
天気もいい日は、散歩するだけでなんだか幸せな気分になれますね。

さて今月のことばです。
「遍界不曾蔵(へんかいかつてかくさず)」

「遍界」とは、世の中、全宇宙、のような意味だそうです。
「不曾蔵」は隠さず、隠していない、ということですね。

ですのでこの語は、「まわりにある世界は何も隠していない」
すなわち、
「『真実、真如』はずっと初めっから隠されずに具現している」という意味になります。

私たちの周りには多くの事が展開していますが、

そこにそのまま、あるがままに「真如」は繰り広げられているので、
その在り様をちゃんとみましょう、

という語です。

正しくありのままに事象を受け止めるには、心や目、触覚や嗅覚にフィルターが掛かっていないかを点検することも必要です。

私たちの目や耳、ひいては心の判断は、
殆どと言って良い程、多くの打算、思惑や心配、思い入れなどの連続です。

それらのこだわりを捨ててそのまま見てみるならば、そこに真実の姿が現れるということです。

褒められようと思って、五月の新緑の芽吹きの写真を撮ったり、詩を作ったりする人は多くはないでしょう。

素直に命の息吹を全身で満喫すると思います。

そのような気持ちで自分を取り巻く諸事に当たってみようではありませんか。