齢仙寺雑記帳

滋賀県にある臨済宗妙心寺派のお寺、齢仙寺の日々のお話

12月のことば「千里同風(せんりどうふう)」

2013年12月15日 | 今月の言葉
あっというまに今年もあとわずかとなりました。
すっかり更新が遅れてしまい、「よいお年を」が挨拶になることもおおくなってきた今日この頃。
今年を振り返りつつ、来年の準備をしていきたいものです。

さて、今月のことばです。
今月のことばは、
「千里同風(せんりどうふう)」

この言葉は、

「千里離れていても同じ風が吹いている」

という意味から、一般的には「国中が同じ状態である」と使われます。

世間が平和である場合や、また逆に混とんとしている場合にも使われたりするのですが、

禅の言葉としてはエピソードがあります。

ある高僧(玄沙禅師)が知己(雪峰禅師)に書簡を送りました。
使いの者がその書簡を相手に手渡し、開封するとその封書の中身は白紙でありました。
使いの者は遠路はるばる書簡を運んできたのに、その封書の中身が白紙であり、意味が理解できませんでした。

受け取った禅師が、使いの者に
「君子千里同風を見ずや」「何千里離れていても、私の処と彼の処は同じ風が吹いている。」
「私と彼とは同じ道に参じているので、何も書いてなくても仏法の風は同じように吹いていることは十分に分かっている。境地では通じている」と説かれたといいます。


私たちはともすれば、相手との関係性において、距離的な疎遠に不安を感じたり、孤独感にさいなまれることがよくあります。

しかし、

先立たれた大切な方と「千里同風」。
遠く離れた友と「千里同風」。
偉大なる「こころ」と「千里同風」。
偉大なる「いのち」と「千里同風」。

かくの如くありたいものです。


お知らせ
十二月八日 午後一時 成道会 法話会