齢仙寺雑記帳

滋賀県にある臨済宗妙心寺派のお寺、齢仙寺の日々のお話

6月のことば 葉々起清風(ようようせいふうをおこす)

2012年06月09日 | 今月の言葉
水無月、6月ですね。
6月が終われば1年の半分が過ぎたことになります。
大切に過ごしたいものですね。

さてさて、今月のことばです。
今月のことばは、「葉々起清風(ようようせいふうをおこす)」

竹林に一陣の風が吹き渡り、葉々がさやさやと音をなす様やその心境と捉えますが、

この語のもとは、虚堂(きどう)という中国の禅宗の高僧のもとに三人の道友・弟子が長旅の別れの挨拶に来て、それを送り出す際の詩の中にあります。

お互いをよく知りあう者同士が、長旅でつぎにいつ会えるかわからないという別離の心境を、
門前の竹林の葉が清風を起こしていると表しているのです。

人間関係ではよく「水くさい」のはよくないように言いいますが、

中国の道家の荘子(そうし)の著書「荘子(そうじ)」には

「君子(くんし)(徳のある人)の交わりは淡(あわ)きこと水の如し」

反対に「小人(凡人)の交わりは甘きこと醴(れい)(あまざけ)の如し」と言われています。

私たちは日頃の人間関係において、あまりにも「べたついて」いる、ということはないでしょうか。

本当に大切な人とのいろいろな別れにおいて、「竹林の清風」のような心境であれるでしょうか?

「水くさい」のでなく、本当の「さらっと水の如し」の人間関係をどう生きるか

「葉々起清風」 

うーん 感慨深いことばす。