齢仙寺雑記帳

滋賀県にある臨済宗妙心寺派のお寺、齢仙寺の日々のお話

3月のことば 「春在枝頭已十分(はるは しとうにあって すでにじゅうぶん)」

2013年03月17日 | 今月の言葉
暖かくなったり、冷えこんだりで体調を崩されていませんか?
花粉やその他いろいろで調子が悪いという声もよくききます。
季節と上手につきあいながら、春を満喫できるといいですよね。

さて、すっかり遅くなってしまい申し訳ありません。
今月のことばです。

今月のことばは、

「春在枝頭已十分(はるは しとうにあって すでにじゅうぶん)」

※中国宋代の詩人 載益(たいえき)の「探春(はるをさぐる)」と題する七言絶句の結句です。
起承転結の四句の内、他の三句は意味は似ているもののそれぞれに異なる語句が伝わっているが、この結句だけは皆同じように伝わっている。やはり結句は真骨頂ということでしょう。


「春」を探して一日中あちこちを歩きまわったがついに見つけることができなかった。
自宅に帰って来て、庭の梅の枝を把ると、蕾が脹らみ春の訪れを十分に知ることができた。
もう、そこには紛うこと無き「春」が見つかった。

と云う詩です。


この「春」を「幸せ」とか「至高の真理」に置き換えてみましょう。

例えば「幸せ」。
日頃、私達は、今よりもっと本当の「幸せ」がある筈だと思い、より多くの友や金銭、より高いステータスを求めて続けているのではないでしょうか。
思いのままに手に入らないといって、不平・不満の日々を暮らしていませんか?苦しんでいませんか?他を羨んでいませんか?

しかし、よく考えてみてください。
それなりに仕事、雨露を凌ぐ家、黙って見守っていてくれている両親や友、今日一日の体を維持するに困らぬ食が頂戴できる生活などなどがあるのではないでしょうか。
まさに、「幸せ」のまっただ中

もう一度、「今、ここ」が「已(すで)に十分」の意を味わおうではありませんか



【お知らせ】
三月十七日(日)
午後一時 大般若祈祷会 引き続き 法話会(妙心寺派布教師)

三月二十日(春分の日)
午前九時 春季 施餓鬼会(永代経)