齢仙寺雑記帳

滋賀県にある臨済宗妙心寺派のお寺、齢仙寺の日々のお話

8月のことば 「閑古錐(かんこすい)」

2013年08月04日 | 今月の言葉
8月ですね。
お盆は、ご先祖様とのつながりを大切にする月。ご先祖様があっての自分を見つめたいものですね。

さて、今月のことばです。

今月のことばは、

「閑古錐(かんこすい)」

閑とは「ひま」「ゆったりと落ち着いて静かなさま」をいいます。
錐(すい)は大工さんが使う錐(きり)。

閑古錐とは、
長年にわたり使い古され、切っ先がまん丸くなってしまい、使われなくなった古い錐(きり)のことをいいます。

先の丸くなった錐(きり)など使い物になりません。
しかし何となく風格や円熟、老成といったものを感じるのではないでしょうか?

禅の世界では修行も終わり、その匂いさえさせない大きな境地の人を閑古錐と呼びます。

最近は目から鼻にぬけるような怜悧(れいり)な人材、切れ者が多く求められ、機能評価や効率の高いものが一番だとする風潮が世間を席巻しています。

しかし、経験の数が顔の皺(しわ)の数になっていながら、目立たず、誇らず、物静かなお人柄にお出会いすると、何かほっとしたり、救われたり、ある時は感謝すらしたくなるものです。

自身が閑古錐になるのは難しいとしても、このような時代だからこそ、効率や機能評価からすると埒外(らちがい)の存在、そんなものを大切に慮(おもんばか)れる自分でいたいものです。



お知らせ

八月十二日 午前中 墓参り 盆礼受け
八月十三日・十四日 棚経
八月十五日 午前八時 山門大施餓鬼会
八月二十五日 午後一時 齢仙寺 地蔵盆

平成癸巳葉月