齢仙寺雑記帳

滋賀県にある臨済宗妙心寺派のお寺、齢仙寺の日々のお話

お盆の軸

2012年08月14日 | お寺の行事
明日15日は、朝8時より施餓鬼会です。

ですので、今日はお盆に掛ける軸のお話。

本尊に向かって一番左の端、鐘の横にかかっているのは、地獄絵。
施餓鬼会とは、餓鬼に施す、というように、
餓鬼の供養を行うことから掛けています。

また本堂には、ぐるっと写真のような形で歴代の頂相を掛けます。

本尊に向かって右側から

○向かって右側部分

齢仙六世  旲嶽和尚
齢仙四世  千嶽和尚

魚籠観世音菩薩

東嶺円慈肖像画(←これはいつもかかっています)

○中央部分

齢仙三世  黙道和尚
齢仙開山  拙山和尚
齢仙五世  獨照和尚
齢仙二世  仙室和尚
齢仙七世  快狻和尚

○向かって左側部分

齢仙八世  謙山和尚
齢仙九世  貫国和尚
齢仙十二世 蔵泉和尚
齢仙十三世 江峯和尚











どうしてこの順番なのか・・・
昔からこの順番で掛けているようです。



毘沙門堂

2012年08月14日 | 齢仙寺のご紹介
今日は毘沙門堂のご紹介です。


普段は閉めていますが、お寺の行事の際には大抵開帳しています。
明日15日ももちろん開帳します。

毘沙門堂は、お墓の手前の築山にあります。

齢仙寺の鬼門にあたる場所にあり、毘沙門さん(毘沙門天)が守ってくださっています。
※毘沙門天は北を守る神(天)です。

毘沙門天といえば、勇ましく戦うようなイメージがありますが、
齢仙寺の毘沙門さんは、どちらかというとすっくと微動だにせず悪いものをよせつけない、という感じでしょうか

ぜひ一度お参りください。

それから毘沙門堂には、もうひとつ見ていただきたい物があります。
それは、仁王像の一部。

永禄年間の信長上洛による兵火で、伽羅全てを焼失してしまったと伝えられてますが、
山門の仁王像の一部が焼け残っていたそうです。
毘沙門堂に何気なく置かれていますが、向かって左手にあるのが「顔」、右手にあるのが「足」だそうです。

そういわれてみれば、なんとなくそんなように見えてくる??ような気がしませんか?

向かって右手の「顔」


向かって左手の「足」


一度ご覧になってみてください。

お盆です

2012年08月13日 | お寺の行事
昨日は多くの方がおみえになりました。
朝6時前から続々と・・・
朝一番の池中観音がきれいだったので、久々に写真を撮ってみました。

さて、本日は15時に鐘をつきます。
檀家のみなさま、鐘がきこえたら、お灯かりをとりに来てくださいね。

齢仙寺の檀家さんは、お線香に灯をいただいて帰られます。


話はかわりまして、最近の住職の趣味。めだか。

本堂前の臼に少し泳がせています。

ホテイアオイとともに元気です。

よろしければご覧ください。



ちょっとわかりにくいですが、奥の方にかたまっています。
白、黒、オレンジ?色々な色のメダカがいます。
全部齢仙寺で孵化したそうです。

8月のことば 諸悪莫作 衆善奉行 (しょあくまくさ しゅぜんぶぎょう)

2012年08月08日 | 今月の言葉
暑い日が続きますがみなさまいかがお過ごしですか?

8月といえばお盆。いつもにましてご先祖様をおもい、自らを振り返りたいものです。

さて、今月のことばです。

一見するとなんだか漢字ばっかりで難しい??

「諸悪莫作 衆善奉行(しょあくまくさ しゅぜんぶぎょう)」

でも簡単に言ってしまうと、「悪いことはせず、善いことをする」
なんです。ま、言うは易し・・・なんですが・・・以下説明です。


「諸悪莫作 衆善奉行(しょあくまくさ しゅぜんぶぎょう)」

「七仏通戒偈(ひちぶつつうかいのげ)」の一部です。「自浄其意(じじょうごい) 是諸仏教(ぜしょぶっきょう)」と続きます。

ここに興味深い話があります。

中唐の時代(八世紀後半)、「白氏文集(はくしもんじゅう)」などで我が国の平安文学にも大きく影響を及ぼした、漢詩で有名な白居易(はくきょい)(白楽天(はくらくてん))という人物がいました。

彼は四十才で母を失い、続けて娘を失って「死」の問題に出遭い、儒教から仏教に関心を寄せるようになりました。
彼は官吏でありましたが、地方勤務を自ら志望し、五十才で中国杭州・蘇州刺吏(県知事)に赴任します。

当時、杭州には、高い松の木の上に板を渡して巣のようなものを作り、そこで坐禅をしているという一風変わった名物禅僧の鳥彙道林禅師(ちょうかどうりんぜんじ)がいました。

道林禅師が高僧だという噂を聞き、仏教に関心を持つ白居易は、自ら禅師を訪問しました。

木の上に禅師が居られたので

「危ないではないか」

と言うと、

「お前の方が危ないぞ」

と返されたそうです。

つまり、木の上の物理的危険を心配するより、
官吏とし権謀術数のまっただ中にいるお前さんの日常性の方がよっぽど危険だと指摘されたのです。

続けて白居易が訪問の真の目的である

「仏教の一番の根本は何か」

と質問すると、禅師は、今月の言葉

「諸悪莫作 衆善奉行(悪いことをしない 善いことをする)」

と応えられました。

先ほどのやりとりで、ピシッとやられている白居易は、
知事でもあり漢詩の達人でもある自分が、わざわざ訪ねて来て仏教の根本を質問したのに対し、
あまりにも簡単な答えだったのに憤りを覚えたのか

「そんなことは三才の童子でも知っていることだ」

と言ったそうです。

それに対して禅師は、

「三才の童子でも知っているが、長年修行を重ねた八十才の私でもそのことを実践することは大変難しい」

と諭されたといいます。

それ以後、白居易は道林禅師に深く帰依したと言う話です。

知っているということと、実践することは大きく異なります。

「善きこと」とは「自他を共に生かし、他を苦しめたり悲しませたりしないこと」であると仏教は説いています。

さぁ、八月はお盆月、先祖に報恩謝徳し、利他行の月、今の自分の「実践」に眼をむけてみましょう。                       
壬辰 葉月

☆お知らせ
十二日 午前中 墓参り・盆礼受け
十五日 午前八時 山門施餓鬼会
二十五日 午前八時 齢仙寺 地蔵盆