齢仙寺雑記帳

滋賀県にある臨済宗妙心寺派のお寺、齢仙寺の日々のお話

9月のことば 「真味只是淡(しんみはただこれたん)」

2014年09月01日 | 今月の言葉
9月になりましたね。なんだかもう今年も残りわずかという気もしてきますが、でもまだあと3分の1残っています。
大切にいきましょう。

さて今月のことばです。

今月のことばは、

「真味只是淡(しんみはただこれたん)」

中国明代末期の洪自誠の随筆集「菜根譚(さいこんたん)」に次のような句があります。

醸肥辛甘(じょうひしんかん)は真味(しんみ)にあらず 真味はただこれ淡(たん)なり
神奇卓異(しんきたくい)は至人(しじん)にあらず 至人はただこれ常(じょう)なり

意味は
「濃厚な酒、脂っこいもの、辛いもの、甘いものは本当の味ではない 
本物の味は淡い味の中にある。
非常に優れて卓越して、他と大きく異なるように見える人は本当に道を究(きわ)めた人ではない。
道を究めた人はごく平々凡々に生きているように見える人である。」
です。

味が極端なものは一時的には良いが永く食べると飽きがきますし、素材の食感も乏しくなります。
もっと言えば体に決して良いことではありません。

人もそうです。べたべたとお付き合いしても長続きはしないし、だんだん疲れてきます。

「荘子(そうじ)」にも「君子の交(まじ)わりは淡(あわ)きこと水(みず)の如し、小人(しょうじん)の交わりは甘きこと醴(れい)の如し」とあります。

まさに何事においても「淡(たん)」こそ極意(ごくい)でしょう。

私自身、反省すること大(だい)なりです。


お知らせ
九月二十三日(祝日・彼岸中日)
午前九時 秋期彼岸会