齢仙寺雑記帳

滋賀県にある臨済宗妙心寺派のお寺、齢仙寺の日々のお話

5月の言葉 因縁(いんねん)

2016年04月30日 | 今月の言葉



皆さんこんにちは
天候が不順ですが、ご健康にご留意くださいませ。

5月の言葉です。

今月の言葉は

「因縁(いんねん)」


今の時代、この言葉は何か古めかしい語感を持ちますが、

身の周りに生起するものは、すべて「因縁」によるというのが仏教の根本的な見方であります。



因(原因)に縁が結ばれ、結果が出ます。

その結果がまた因となって縁を結んで次の結果になるといいます。



例えて言いますと、植物の種子があるとします。これが、「因」であります。

太陽光や水、酸素、温度、肥料などなどが「縁」(条件・作用)であり、結果、実を結ぶことになります。



良い種でも条件が悪いと悪い実ができ、悪い種でも、十分に条件を整えるならば良い実ができます。



テストで勉強しなければ悪い結果となり、悪いからと勉強しなければより一層成績は悪くなります。

悪い点数を取っても勉強すればよい成績となります。

しかし、良い点数だからと安心して勉強しなければ又点数は悪くなってしまいます。



このような循環を仏教では因縁の法則で解き明かしています。



悪因でも良縁で善果となり、善因でも悪縁で悪果となるといいます。



「なんかの縁で○○となる」でなく、「しかるべき縁で○○となる」のであります。



さぁ、この道理でもって私たちの生活の中に生起するいろんな物事を「正しく見」てみようではありませんか




お知らせ


五月八日 齢仙寺 花まつり


五月十四日 北仏教会 花まつり


                                              平成二十八丙申皐月



4月のことば 「洞中春色人難見(とうちゅうのしゅんしょくひとみがたし)」

2016年04月07日 | 今月の言葉
新年度がはじまりましたね
4月のことばです

今月のことばは

「洞中春色人難見(とうちゅうのしゅんしょくひとみがたし)」

洞中とは「洞穴の中」。

多くの人は春の訪れを洞穴の外に咲く花や温度の上昇などで知るが、洞穴の中の春を感得する人は少ない。

故に、
この語の原意は「お悟りの境地を知り得る人は少ない。」

のですが、

娑婆に生きる私たちにとっての意味を考えてみましょう。


私たちはいつも五感、
即ち見たり、聞いたり、嗅いだり、味わったり、触ったりして
世界を認知しています。

しかしはたして全てを把握できているのでしょうか?

他人の目に映る自分の姿を確認するのに鏡を覗きます。

しかし、私の見ている像は左右真逆の像であって、実像ではありません。

また、他を認識する眼はその眼を見ることもできないのです。

だから、もう一歩進めた感性が不可欠となります。

洞中の春に思いを馳せるような、見えないもの、見えにくいものを見、聞こえないもの、聞こえにくいものを聞く感性、これが欠かせないのではないでしょうか

春の選抜、小豆島の樋本主将の「当たり前にある日常のありがたさ」この感性に学びたいものです

平成二十八丙申卯月