齢仙寺雑記帳

滋賀県にある臨済宗妙心寺派のお寺、齢仙寺の日々のお話

11月のことば「不風流処也風流(ふうりゅうならざるところ またふうりゅう)」

2013年11月04日 | 今月の言葉
めっきり寒くなりました
あたたかくして、風邪などひかないようにお気をつけくださいね

さて、今月のことばです。

今月のことばは、
「不風流処也風流(ふうりゅうならざるところ またふうりゅう)」

「風流」の語義は変遷してきているようですが、
今日的には「上品な趣」、「みやびやかなこと」という意味で使われるようです。

この句が成立した時代での意味はともかく、

「風流でない処 それはまた風流ではないか」と解してみましょう。

私たちは日頃、いろいろ考え、モノを配置したり、レイアウトを工夫したりして「風流」を創出、演出します。

しかし、よほど精神性が高いとか、技巧が優れているとか、型や決まり事を熟知していないと、「作為」が見え隠れして「いやらしさ」や「臭み」を感じてしまいます。

この語は、そのような思慮、分別、作為をすべて捨て切ったところに現出しているさまが真の風流である、また、不風流をも風流と捉える心境を真の風流人の心境」だと示しているのではないでしょうか。

禅語の解説書(禅語字彙)には「不風流のやうだが、その不風流な處に、得も云はれぬ味ひがある」とあります

日頃、無粋、不風流が満々であるが、その中で、この「得も云われぬ味わい」。

ここのところを味わえるように生きたいものです。

平成癸巳霜月