齢仙寺雑記帳

滋賀県にある臨済宗妙心寺派のお寺、齢仙寺の日々のお話

4月のことば 「御陰様(おかげさま)」

2013年04月07日 | 今月の言葉
さてさて4月です。
あたたかったり、寒かったり・・・春に向かっているのがよくわかる気温の変化ですよね。
毎年のごとくですが、何を着たらいいのかよくわからない、そんな季節ですよね。

新年度のはじまり、4月。いろんなことが新しくなる月です。
心新たにいろいろ考えたいもの。
でもこのような変化のときは知らず知らずストレスを抱えやすくもなっています。
毎日のリズムを変えすぎることなく、無理のない範囲で今ある日常に感謝をして過ごしたいものです。


さて、今月のことばは

「御陰様(おかげさま)」

最近の日本語の中では死語に近くなっている観もありますが、
ある程度お歳を召された方は、健康、安否、お仕事などの状況を気遣う言葉の投げかけに対して

「おかげさまで○○です」

と返されることが多いです。

殆どの場合、回答の頭に「おかげさまで」と言っておられます。

私たちは一人では生きていないし、生きていけません。

私たちは「思うままにならない娑婆(忍土、堪忍土)」で生きていますが、
大きな摂理、大きな真理(ほとけ・いのち)の「おまかせ・あるがまま」の中で、
多くの方々からの恩恵や支援、仏天のお加護、環境などの恵みを限りなく受けて存在しています。

古来、人は、その存在に感謝し、注目し、

「偉大なもの」、「絶えず自分と共にある力、恩恵、お加護」=「かげ」

に対し、

丁寧語の「お」を付け、敬称の「さま」、「さん」を付けてきました。

「陰」という字には多くの意味がありますが、ここでは「影」と同じ意味になります。
日頃、無意識ですが、どんな時も「影」と自分は一体です。

四月、いろいろなスタートを切るにあたり、

「自分一人の力では物事は成せない。」

という自戒のもとに、今一度「かげ」に思いを馳せようではありませんか。


平成癸巳卯月



齢仙寺の春らしい写真もここに