今日の女王サマ

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ビヨンド・ザ・マット

2005年07月17日 | 映画&本&音楽&TV

テレビ東京の深夜映画で『ビヨンド・ザ・マット』を観ました。これはプロレス、WWF(NYSE上場という優良企業!)の内幕を描いたドキュメンタリーです。格闘技というものに興味のない私でも、ドキュメンタリーは好きなんですよ。

プロレスはショーだと割り切って見ているものですが、映画の中でも対戦相手同士、大雑把な打ち合わせをするんですね。オマエがこう来たらオレはこうするから、その後こうやって・・・とね。しかし、パイプ椅子でガンガン殴ったり、6メートルの高さから落ちたりするってのは、これはもう間違いなくアドリブで、大量の出血は現実の出来事です。

『ビヨンド・ザ・マット』では試合はもちろん、ビヨンドというぐらいですからリングの向こう側、つまりプライベートもしっかり見ることができます。
リングでは凶暴なテリー・ファンクもプライベートは美しい娘たちの父親で、とても優しい。50歳をとうに超えた彼はベッドから起き上がるときもアイテテテという感じ。引退試合の模様もありましたが「ファンは勝って引退すると思っているだろうが、負けて有終の美を飾る」という言葉どおり(打ち合わせどおり?)、燃え尽きた感じで終わります。

私が気に入ったのはマンカインド(ミック・フォーリー)。

凶暴でマスクをかぶった異常な見かけですが、レスラーの中では一番まっとうらしいです。父親から「裏表がない」と褒められて、テレながら「礼儀正しいレスラーさ」という顔はとてもチャーミング。

    家庭でも美人の奥さんがいて、幼い男の子と女の子の父親です。
  俳優としても活躍しているロックとの試合で、事前に「ロックとは親友だから戦っていても本気じゃないんだ」と子供たちに語りかけます。でも激しい試合に息子は表情がこわばり、奥さんと娘は耐え切れず泣き出します。試合が終わり、血で真っ赤に染まった顔で「ファンは喜んでくれたかな」と笑い、子供たちを気遣って「かすり傷だから大丈夫」と言うんです。後日、試合の模様をビデオで見たミックは「子供たちを傷つけたかな」と心配そうでした。マスクをはずしたミックはヒゲ面ですが、とってもカワユイ。前歯が折れちゃってスキマがあるから余計そう思うのかな。

悲しいのはジェイク・ロバーツ。父親はジェイクに対して「望んだ子じゃないが、愛してる」と言うんです。望んだ子じゃないって何?それ本人の前で言うか?フツー。って思いました。取ってつけたような「愛してる」には全然感情がこもっていませんでした。
ジェイクの妹はファザコンで、すごーく年上の男性と結婚したが、1年後にその男の前妻に殺されたらしい。らしいというのは、血だらけの車は見つかったけど遺体が見つからなかったので、誘拐罪だけだったとか。10年の刑期を終えて出所した男の前妻に、ジェイクが「妹の遺体は?」と聞いたところ「言うもんか」という答えが返ってきたのです。
彼自身は麻薬中毒で、辛いこと悲しいことがあるとすぐヤクに逃げてしまいます。彼の往く末はもう見えてしまってますね。

やはりどんな世界でもキビしいのは同じです。マットの上とプライベートとのギャップが、この『ビヨンド・ザ・マット』を更に面白いものにしているのでしょう。