葬儀のらくだ

2008-08-31 16:42:20 | 文左衛門
叔父の葬儀で千葉に行った。
ものすごい雷雨の日だった。
名古屋の叔母が新幹線に閉じ込められたと、
葬儀が始まってから遅れて会場に入ってきて僕の隣に座った。
厳粛とすすむ葬儀、隣に座るなり僕の顔をのぞき込んで、
「お久しぶり」と笑みを浮かべた。
泣いている遺族のいる中、お辞儀で応えた。
むかしから、陽気でおっちょこちょいの叔母だった。
いまで言えば、空気が読めない、KYな叔母だ。
儀式が終わり、精進落としのテーブルで、叔母は、
「うれしいね、こういうみんなが集まるイベント、楽しいねぇ。」って、
ビールを注いでまわっている。
たしかに、亡くなった叔父は80に近く天寿といえなくはないが
肝臓を患っての他界である。
しかし、たしかに、正月・盆暮れに親戚一同が集まる機会はなくなり、
冠婚葬祭しか集まることはなく、
無邪気に喜ぶ叔母が不謹慎と思いながら微笑ましく思えた。
僕自身も冠婚葬祭にさえも不義理をして、
こうして親戚一同に遭うのは十何年ぶりで懐かしかったからだ。

さらに、叔母の不謹慎な無邪気さをを怒れなかったのは、
この葬儀を急いで切り上げ千葉から三鷹に向かったからだ。

さて、三鷹に着くと改札で、本日独演会の演者、
文左衛門さんが黒いTシャツに雪駄でどなたかを待ち構えていた。

いつか聴いた文左衛門さんのまくらじゃないけど、
野球場の入り口にあの格好でいたら、「チケット余ってないですか?」と
訊いてしまいますよ。


2008年8月29日(金)19時30分~ ¥2,500
文鳥舎寄席 橘家文左衛門の会
考える文左衛門 vol.2
文鳥舎

橘家文左衛門 「あくび指南」
三遊亭歌ぶと 「権助魚」
橘家文左衛門 「らくだ」


びっくりしましたね、
葬儀の後に落語会に行く機会も少ないだろうが、
人が死んだ噺「らくだ」だった。
演目になっている「らくだ」は、もう死んでしまって、
過去形でしか登場しない変わった噺。

この「らくだ」本来は「もう半分」を根多だししていたのを、
お披露目するには、もう少し、ということで急遽、
文左衛門さんが演目を変えたのでした。

土砂降り越しに明かりのついた居酒屋を見送り家路に急いだ。
もちろん、家呑み、で、
「まぐろの赤身を持ってこいっ、つべこべ言ったら…」