(時坂青以)
片付ける利用者の癖想像すこの配置なら君左利き
本作の作者・時坂青以さんは、色鉛筆やマジックインクといったカラー筆記用具の無料貸し出しセンターを自主運営なさって居られるのでありましょうか?
「左利き」の「君」だから、逆に「配置」したとは慧眼である。
〔返〕 時折りは一本足りなくなったりし頭に来ちゃうことなどもある 鳥羽省三
(詩月めぐ)
お互いの心の隙間埋めるため利用しあっただけだった よね
気取らずに正直に言ってしまえば、それが<愛>や<恋>というものの本質なのかも知れませんよ。
末尾の「よね」は、捨てられた女性のお名前のようにも思われます。
〔返〕 <よね>という名前が辛気臭いから捨てられたのかも知れないの よね 鳥羽省三
(穂ノ木芽央)
自らの利用価値など判らぬさ天に預けて嗤ひつづける
「自らの利用価値」の判断を「天に預けて嗤ひつづける」とは、さすがに「白紙委任状」の管理者に相応しい覚悟と思われる。
〔返〕 オバマ氏の利用価値さえ判らずに宰相捨てた男も居るさ 鳥羽省三
自らの涙の価値を利用して内閣瓦解させた福島 々
(青野ことり)
再利用できそうもなく朽ちてゆく後悔だとか失言だとか
<後悔先に立たず>という言葉もありますが、一般的に言うと、人間というものは、激しく「後悔」しなければならないような「失言」をしてしまったような場合には、其処から必ず何かを学ぶはずです。
それが「後悔だとか失言だとか」の「再利用」というものでありましょう。
〔返〕 そのままに朽ちて行くよな後悔は後にも先にも決して在らず 鳥羽省三
(すくすく)
ビル風が吹き上がるのを利用して空へ翔びたくなる昼休み
それも一種の<上昇志向>というものでありましょうか?
〔返〕 ビル風が吹き上がるのを利用して社内機密を空まで飛ばせ 鳥羽省三
(夏実麦太朗)
忘れるな市立図書館利用券ふいに家出をしたくなるとき
「忘れるな市立図書館利用券」とは、平成日本の読書人階級たる夏実麦太朗さんらしい発想ではある。
それはそれで宜しいのであるが、気になるのは、「家出」と言っても彼の「家出」は自宅からせいぜい十km以内ぐらいの範囲での「家出」だということである。
夏実麦太朗さんの超ささやかな「家出」と比較的に思い出されるのは、都・パリーのアパルトマンの窓から見える景色が貧しいからとて、幾海里離れた南の島まで逃れて行ったあのフランスの画家の家出や、長安での官衙の柔らかい椅子の座り心地が悪いからとて、遠く西蔵まで旅立って行ったあの詩人の家出など、超馬鹿でかい「家出」なのである。
〔返〕 置いてきた女房殿とばったりと閲覧室で遇ったりもして 鳥羽省三
(中村あけ海)
始末書の例文集が庶務課にはありますどうぞご利用ください
庶務課中村課長が目配りをして置かなければならない範囲は、かくも広いのである。
〔返〕 <内部告発>例文集は庶務課にはありませんからどうぞ任意に 鳥羽省三
(邑井りるる)
<悪用を禁ず>る眼鏡は本当にスカート覗きに利用できるか
ただ単に「スカート覗き」をする為ならば、何も高価な「<悪用を禁ず>る眼鏡」などを購入する必要は全くありません。
また、「スカート」を透かして女性の体の秘部などを覗こうとする場合には、いかなる「眼鏡」を使ってもそれは不可能です。
〔返〕 「覗き見は心の問題、道具ではありませんよ」とその道の師は 鳥羽省三
(畠山拓郎)
夜もすがら溶け合うような愛しさで私的利用をしてみたい夏
何を「私的利用」するのでしょうか?
「夜もすがら溶け合うような愛しさで」と言う叙述がそれを説くヒントと思われるが、考えれば考えるほど、淫猥な答を出してしまいそうになるから困るのである。
それにしても、真夏の「私的利用」は、いささか熱過ぎはしませんか。
〔返〕 裏庭に南瓜の種を蒔いたからハロウィンには私的利用せよ 鳥羽省三
(理阿弥)
ペンキ屋の余剰在庫を利用せしベビーピンクの母校はるかに
「骨の髄まで冷え切っている北海道経済」などという見出しが新聞紙上に躍っていたのは、つい昨年のことでした。
「ペンキ屋の余剰在庫を利用せしベビーピンクの母校」が登場したのは、その頃のことでありましょうか?
もし、そうならば、それは帯広市当局による極めて有効な民間企業救済策かと判断されます。
〔返〕 外壁がベビーピンクの教室で学びて元気十勝の児らは 鳥羽省三
(原田 町)
細々と薄き文字にて記されし利用規約は読む気を失くす
同感です。
ウィンドゥズなどのあの「細々と薄き文字にて記されし利用規約(書)」は、何方でも「読む気を失くす」ように思われます。
〔返〕 細々と薄き文字にて記されしあべさんからの水色の手紙 鳥羽省三
(五十嵐きよみ)
再利用できないままにためこんだリボンや包み紙があふれる
この一首を以って、私は五十嵐きよみさんの人間的、庶民的な側面を覗かせて頂いた様な気が致します。
〔返〕 南仏のリヨンで買ったチョコレートそれを包んだ紙やらリボン 鳥羽省三
(佐藤紀子)
利用価値ほぼ無くなりて姿消す会葬御礼のテレフォンカード
私も、かつて集めたテレカの処分に無い頭を悩ませて居ります。
〔返〕 来月でバスカードなども廃止され切れるカードはVISAカードだけ 鳥羽省三
無い腕が時々痛むゲゲゲのゲ金に恨みは数々御座る 々
(黒崎聡美)
十代の夜にうまれた詩の束を再利用せず火はゆきわたる
「詩」というものは瞬時に生まれ、瞬時に消え去るものでありましょう。
その瞬間の命の「詩」を「再利用せず」に、潔く焼却してしまった作者・黒崎聡美さんこそ、本物の詩人と申せましょう。
焼却炉内を「ゆきわたる」「火」は、かつてのあなたの命のともし火であった「詩」を間違い無く永遠のものにしてくれるのでありましょう。
〔返〕 聴いてるとしみじみ儚さ偲ばれる尾崎豊の『十五の夜』は 鳥羽省三
片付ける利用者の癖想像すこの配置なら君左利き
本作の作者・時坂青以さんは、色鉛筆やマジックインクといったカラー筆記用具の無料貸し出しセンターを自主運営なさって居られるのでありましょうか?
「左利き」の「君」だから、逆に「配置」したとは慧眼である。
〔返〕 時折りは一本足りなくなったりし頭に来ちゃうことなどもある 鳥羽省三
(詩月めぐ)
お互いの心の隙間埋めるため利用しあっただけだった よね
気取らずに正直に言ってしまえば、それが<愛>や<恋>というものの本質なのかも知れませんよ。
末尾の「よね」は、捨てられた女性のお名前のようにも思われます。
〔返〕 <よね>という名前が辛気臭いから捨てられたのかも知れないの よね 鳥羽省三
(穂ノ木芽央)
自らの利用価値など判らぬさ天に預けて嗤ひつづける
「自らの利用価値」の判断を「天に預けて嗤ひつづける」とは、さすがに「白紙委任状」の管理者に相応しい覚悟と思われる。
〔返〕 オバマ氏の利用価値さえ判らずに宰相捨てた男も居るさ 鳥羽省三
自らの涙の価値を利用して内閣瓦解させた福島 々
(青野ことり)
再利用できそうもなく朽ちてゆく後悔だとか失言だとか
<後悔先に立たず>という言葉もありますが、一般的に言うと、人間というものは、激しく「後悔」しなければならないような「失言」をしてしまったような場合には、其処から必ず何かを学ぶはずです。
それが「後悔だとか失言だとか」の「再利用」というものでありましょう。
〔返〕 そのままに朽ちて行くよな後悔は後にも先にも決して在らず 鳥羽省三
(すくすく)
ビル風が吹き上がるのを利用して空へ翔びたくなる昼休み
それも一種の<上昇志向>というものでありましょうか?
〔返〕 ビル風が吹き上がるのを利用して社内機密を空まで飛ばせ 鳥羽省三
(夏実麦太朗)
忘れるな市立図書館利用券ふいに家出をしたくなるとき
「忘れるな市立図書館利用券」とは、平成日本の読書人階級たる夏実麦太朗さんらしい発想ではある。
それはそれで宜しいのであるが、気になるのは、「家出」と言っても彼の「家出」は自宅からせいぜい十km以内ぐらいの範囲での「家出」だということである。
夏実麦太朗さんの超ささやかな「家出」と比較的に思い出されるのは、都・パリーのアパルトマンの窓から見える景色が貧しいからとて、幾海里離れた南の島まで逃れて行ったあのフランスの画家の家出や、長安での官衙の柔らかい椅子の座り心地が悪いからとて、遠く西蔵まで旅立って行ったあの詩人の家出など、超馬鹿でかい「家出」なのである。
〔返〕 置いてきた女房殿とばったりと閲覧室で遇ったりもして 鳥羽省三
(中村あけ海)
始末書の例文集が庶務課にはありますどうぞご利用ください
庶務課中村課長が目配りをして置かなければならない範囲は、かくも広いのである。
〔返〕 <内部告発>例文集は庶務課にはありませんからどうぞ任意に 鳥羽省三
(邑井りるる)
<悪用を禁ず>る眼鏡は本当にスカート覗きに利用できるか
ただ単に「スカート覗き」をする為ならば、何も高価な「<悪用を禁ず>る眼鏡」などを購入する必要は全くありません。
また、「スカート」を透かして女性の体の秘部などを覗こうとする場合には、いかなる「眼鏡」を使ってもそれは不可能です。
〔返〕 「覗き見は心の問題、道具ではありませんよ」とその道の師は 鳥羽省三
(畠山拓郎)
夜もすがら溶け合うような愛しさで私的利用をしてみたい夏
何を「私的利用」するのでしょうか?
「夜もすがら溶け合うような愛しさで」と言う叙述がそれを説くヒントと思われるが、考えれば考えるほど、淫猥な答を出してしまいそうになるから困るのである。
それにしても、真夏の「私的利用」は、いささか熱過ぎはしませんか。
〔返〕 裏庭に南瓜の種を蒔いたからハロウィンには私的利用せよ 鳥羽省三
(理阿弥)
ペンキ屋の余剰在庫を利用せしベビーピンクの母校はるかに
「骨の髄まで冷え切っている北海道経済」などという見出しが新聞紙上に躍っていたのは、つい昨年のことでした。
「ペンキ屋の余剰在庫を利用せしベビーピンクの母校」が登場したのは、その頃のことでありましょうか?
もし、そうならば、それは帯広市当局による極めて有効な民間企業救済策かと判断されます。
〔返〕 外壁がベビーピンクの教室で学びて元気十勝の児らは 鳥羽省三
(原田 町)
細々と薄き文字にて記されし利用規約は読む気を失くす
同感です。
ウィンドゥズなどのあの「細々と薄き文字にて記されし利用規約(書)」は、何方でも「読む気を失くす」ように思われます。
〔返〕 細々と薄き文字にて記されしあべさんからの水色の手紙 鳥羽省三
(五十嵐きよみ)
再利用できないままにためこんだリボンや包み紙があふれる
この一首を以って、私は五十嵐きよみさんの人間的、庶民的な側面を覗かせて頂いた様な気が致します。
〔返〕 南仏のリヨンで買ったチョコレートそれを包んだ紙やらリボン 鳥羽省三
(佐藤紀子)
利用価値ほぼ無くなりて姿消す会葬御礼のテレフォンカード
私も、かつて集めたテレカの処分に無い頭を悩ませて居ります。
〔返〕 来月でバスカードなども廃止され切れるカードはVISAカードだけ 鳥羽省三
無い腕が時々痛むゲゲゲのゲ金に恨みは数々御座る 々
(黒崎聡美)
十代の夜にうまれた詩の束を再利用せず火はゆきわたる
「詩」というものは瞬時に生まれ、瞬時に消え去るものでありましょう。
その瞬間の命の「詩」を「再利用せず」に、潔く焼却してしまった作者・黒崎聡美さんこそ、本物の詩人と申せましょう。
焼却炉内を「ゆきわたる」「火」は、かつてのあなたの命のともし火であった「詩」を間違い無く永遠のものにしてくれるのでありましょう。
〔返〕 聴いてるとしみじみ儚さ偲ばれる尾崎豊の『十五の夜』は 鳥羽省三