心理セラピストのひとりごと

『象徴的イメージ統合療法』という心理療法を行っています。日々の中で感じたことを書いていこうと思います。

俳優 ロビン・ウィリアムズの心

2018年02月08日 | この人の言葉
私は映画が好きで、子供の頃から数多くの映画を観てきました。


好きな俳優や女優も何人かいます。その傾向を自分的に分析してみると、何か深い精神性を感じられる人に惹かれるようです。


その中の一人に、ロビン・ウィリアムズさんがいます。


大変残念ながら、2014年に自ら命を絶たれて亡くなりました。そのニュースを聞いて、大変なショックを受けたのを覚えています。


妻のスーザン・ウィリアムズさんが、彼の死後に明かしたのは、直接的な死は鬱病のためではなく、「レビー小体型認知症」と呼ばれる変性性認知症と闘っていたということです。


レビー小体型認知症は、「認知症のうち、大脳皮質の神経細胞にレビー小体と呼ばれる構造物ができることで起こるもの。物忘れのほかに幻覚症状がある。また、手足がこわばり、運動障害が生じるパーキンソン病に似た症状を伴う」ようで、アルツハイマー型認知症の次に多い神経変性認知症といいます。


ロビンさんの症状は自殺の数カ月前から悪化して、重い不安発作のほか、筋肉の硬直やドアの位置を誤算によって頭をぶつけるなどの症状を患っていましたが、検視解剖がなされるまでは、担当医師らも病名を特定することはできなかったといいます。


最近は、このレビー小体型認知症という病名も、あちこちで耳にします。


特に私の好きなロビンさんの映画は、『ミセス・ダウト』、『グッド・ウィル・ハンティング』です。『グッド・ウィル・ハンティング』では心理セラピスト役でしたので、感じるものがありました。


どちらもよい映画ですので、よろしければ観て下さいませ。


ロビンさんのあの深い愛を讃えた眼差しは、自分自身が大きな苦しみ、痛みを知っている人の眼差しです。


確か、父親の仕事の関係で子供の頃から引っ越しをかなりの回数されていたことをインタビューで聞いた覚えがあります。そして、独りぼっちで孤独でもあったようです。


私には、彼のあのユーモアの奥には、人から嫌われないように、好かれるために、一生懸命おもしろく表現する傷ついた人の姿も見えました。


私の心理療法の現場での経験でもわかっているのは、特に小学校を2回以上転校している人は、そこで嫌われるとおしまいなので、過剰に好かれるためのいい子を演じるようになってしまいます。それは、転校回数が多いほど、ロビンさんのようにおもしろさを持っている子はその傾向を顕著に表すようになります。


ただ、ロビンさんの眼差しからは、それだけではないもっと深い何かが伝わってきます。


心よりロビンさんのご冥福をお祈りいたします。


この記事を書くきっかけになったのは、ネットでたまたま見つけたロビンさんの生前の逸話です。以下にご紹介します。

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2014年8月11日。その日私は、子どもたちと一緒に外にいた。子どもたちはワゴンの中で「さようなら、ごきげんよう」を歌いながら、アイルランドにがらくた集めの旅にでかけるという空想の遊びをしていた。


突然、親しい友人たちからメールが送られてきた。ニュースの通知もきた。ロビン・ウィリアムズの死去を伝えるニュースだった。信じられなかった。


ウィリアムズの死を「どうせまた、ハリウッドスターにありがちな依存症が原因だろう」だと片付ける人もいるかもしれない。


実は私には、まだ誰にも話したことのないロビン・ウィリアムズとの思い出がある。大切すぎて、夫にも、親友にも、親にも姉妹にも、誰にも言えなかった。


だけど今、あの時のことを話すべき時だと感じる。


最初の夫グレッグが自死した後、私は彼の遺灰を撒く旅にでた。それは彼の望みだったし、私も傷付いた心を何とか落ち着かせたかった。


私は当時ウェストハリウッドに住んでいたけれど、サンフランシスコ近くに引っ越すことを考えていて、月に1回はオークランドにいる親友を訪ねていた。飛行機でオークランドに行くのは、かなり時間がかかった。


9/11の後はTSA(運輸保安局)の検査が厳しく、遺灰が入ったタッパーを持って飛行機に乗るのは容易ではなかった。そして私はロサンゼルス空港で、威圧的なTSA職員に遺灰を廃棄するよう命令された


私はカンカンに怒って、ヒステリーを起こした。最終的に警察がやってきて、いつも所持している夫の死亡証明書を確認して遺灰の所持は許可されたが、涙が止まらなかった。


私は空港の片隅のテーブルに座り、泣きはらした顔を見られないように壁の方を向きながら、気持ちを落ち着かせようと、ウィスキーをロックで飲んでいた。


その時、私の肩に誰かが手が置いた。そして柔らかな声が聞こえた。「大丈夫ですか?あなたのことが少し気になって。一人で旅行されているようですね。TSA職員とのやりとりが目に入ってあなたが気になり、大丈夫か確かめたくて」


私は涙を流しながら、声の主を見た。信じられなかった。ロビン・ウィリアムズだった。彼はロサンゼルス空港を普通に歩き、泣いている私にわざわざ声をかけてくれたのだ。


私は息を整えて、ウィリアムズに夫のことを簡単に話した。彼の目が少し潤んだ。さらに柔らかな声で、彼はこう言った。


「依存症って本当に厄介です。心の病やうつ病は、色々と厄介な問題を引き起こす。あなたの旦那さんの経験したつらさ、そしてあなたが今経験しているつらさを聞いて、私もとてもつらい。でもあなたには、家族や友人、愛する人たちがいるようですね。それはあなたにとって、少しは救いなんじゃないかな?」


私と同じ飛行機に乗る予定だったウィリアムズは、一緒にゲートまで付き添ってくれた。


ウィリアムズはとても穏やかで優しい人だった。私たちを笑わせ、泣かせてくれた。彼は自分の心に抱えた闇に、正直だった。自分の間違いや欠点を隠そうとしなかった。彼は明らかに痛みを抱えていた。


「心の病や重いうつ病は、厄介な問題を引き起こす」。その通りだ。


ウィリアムズは、退役した軍人や現役の兵士たちをサポートした。入院している子供たちや、助けを必要としている友人や家族に手を差し伸べた。空港でヒステリックに怒っている見知らぬ人にも。


ゲートに向かう途中、彼は通り過ぎた人や、私に厳しく接したTSA職員の物まねをして私を笑わせてくれた。侮辱するようなやり方ではなく、ユーモアのあるやり方で。


そして彼は私に、「あなたはとてもいい笑い方をする。とても素敵な笑顔だ」と言ってくれた。別れる時、彼はあの毛むくじゃらの腕で温かくハグしてくれた。彼の言葉とハグに、私はものすごく元気づけられた。


あの空港での時間を、私はいつも思い出す。どん底にいた私を救い出し、元気づけてくれた。ウィリアムズは、人生で最もつらい時間にいた私を支えてくれた。


ロビン・ウィリアムズは優しくて面白い人だった。


彼の死は、言葉にできないくらい悲劇的だ。私たちを笑わせてくれたウィリアムズは、自分自身が抱える闇と闘っていた。


どうか今、ここでは手に入れられなかった心の平安を感じながら、天使たちを笑わせていますように。


ウィリアムズ、あの日そばにいてくれてありがとう。あなたは、私が必要としていた天使でした。あなたはあの時、自分の経験から話してくれたのでしょう。心から感謝します。


あなたが亡くなったニュースは、本当につらかった。あなたを失った痛みは、簡単には消えない。


ハフポストUS版から 筆者:ケイト・ライアン・オッシャー 
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ホリスティック・セラピー研究所 http://holistic-ti.com
心理や人間存在についての専門的な内容は、HPの「こころのこと」に載せていきます。




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