私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「アデル、ブルーは熱い色」

2014-06-20 20:26:00 | 映画(あ行)

2013年度作品。フランス映画。
青い髪の画家エマと、彼女と出会い、一途な愛を貫く女性アデルとの激しい性愛描写が話題となり、第66回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールに輝いたフランス発のラブストーリー。
監督はアブデラティフ・ケシシュ。
出演はレア・セドゥ、アデルエグザルコプロスら。




レズビアン同士の恋愛を描いたR18にふさわしい映画。
シンプルにこの映画をまとめるなら、そういうことになるだろう。

しかし内容自体は、オーソドックスな恋愛映画というのが率直な印象だ。
さすがに長すぎるが、普遍的である分、なかなかおもしろい作品だと思う次第である。


主人公のアデルは普通の少女である。
十代の少女らしく、女同士で集まれば恋バナもするし、食事のシーンや(ちょっと汚らしい)、寝ているシーン(口あけてだらしない)を見ている限り、いかにも生身の飾らない少女という印象を受ける。
そして気になる男が目の前にいたら、身なりを気にしたりもするし、普通に男ともセックスをする。

しかし道で出会った女エマに彼女は心惹かれることとなる。
そこだけがやや一般的な少女と違うところだ。


だが普通の少女である以上、そこで描かれるアデルとエマの恋愛は、男女の恋愛と変わりない。
相手を思うときの感情も、嫉妬も、ほかの女に取られるのではないかという不安も、相手が裏切ったときの怒りも、男女の恋愛と大差はない。
そしてそれがこわれていく過程も、女同士であれ男女の恋愛と差はないのだ。
それを丁寧に描いていて好印象である。

丁寧と言えば、性描写も、恋愛ものである以上、避けずに生々しく描いている。
正直セックスシーンは長すぎだろ、と思ったが、作り手と俳優の意欲を見る気がした。


パルムドールにふさわしい作品かはわからない。
だが普遍的な恋愛を描いており、その様が心に沁みる一品であった。

評価:★★★★(満点は★★★★★)

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