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2012年度作品。アメリカ映画。
『オールド・ボーイ』の韓国の鬼才パク・チャヌクがハリウッドで撮り上げたサスペンス・ミステリー。18歳の誕生日に不思議な箱を見つけたヒロインが、行方不明だった叔父の出現を機に不可思議な出来事に遭遇する姿を描く。
監督はパク・チャヌク。
出演はミラ・ワシコウスカ、マシュー・グードら。
パク・チャヌク作品は、復讐三部作だけを見たことがある。
「復讐者に憐みを」は、復讐劇の連鎖にすごみがあったけれど、あまりに陰惨だったという記憶がある。
「オールド・ボーイ」は猥雑な雰囲気はあるけど、復讐が復讐を呼ぶ展開とラストのどんでん返しが巧みだった。
「親切なクムジャさん」は、スプラッタすぎるものの、復讐を行わざるをえない女の姿が強く印象に残っている。
今回の作品にも、そんなパク・チャヌク作品に共通する雰囲気が出ていたように感じた。
それは人が人を傷つけるという行為に対するこだわりである。
主人公は父親を事故で亡くし打ち沈んでいる一人の少女だ。そんな彼女の前に亡くなった父の弟を名乗る男が現れる。
映画の前半は、やや抑えた感じで物語は進んでいく。
そのせいか、やや地味で、もったいぶった感じがあった。
何より物語をどう進めたいのか見えず、もどかしさも感じられる。
しかし中盤のあるシーンに差し掛かったところで、物語は一気におもしろくなる。
そしてそれまでにじっくりと描かれていたダークな空気と、不穏な雰囲気が一気に顔を見せることとなる。
その映画内の不穏な空気は、叔父と少女の存在によるところが大きい。
殺人嗜好をもった叔父と、彼に感化され、人を殺すという行為に目覚めていく少女の姿が、あまりにまがまがしく、見ててぞくぞくとした。
とは言え、詰めの甘さはいくつかある。
特に叔父が病院に収容されてから、出所する流れや、どうして姪に目を付けたかなどは、とってつけたようでつっこみどころに満ちている。
そもそも女性の快楽殺人者やサイコパスの絶対数は少ないのだが、そういった事実に対して反論するほどの説得性もさして見出せない。
だがそれはそれとしても、少女が殺人に快楽を見出していく過程にはドキドキさせられる。
特にシャワーのシーンなどは、そう来るかと単純に驚いた。
叔父と母に銃口を向けたシーンも、個人的にも感心する。
人間が狂っていく過程を垣間見るようで、なかなかにおそろしい。
瑕疵はある。だが、個人的にはありな作品であった。
評価:★★★★(満点は★★★★★)
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