私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「ワールド・ウォーZ」

2013-08-28 20:19:50 | 映画(ら・わ行)

2013年度作品。アメリカ映画。
マックス・ブルックスの同名小説を、ブラッド・ピットが自ら製作を担当し、映画化したパニック・スリラー。世界規模で急激に蔓延し、全人類を滅亡に誘う謎のウイルスと、それに立ち向かう人々の戦いを描く。ブラッド・ピットは人類の希望たる国連職員に扮する。
監督はマーク・フォースター
出演はブラッド・ピット、ミレイユ・イーノスら。




いろいろ惜しいが、それなりに楽しめる。
「ワールド・ウォーZ」を評するなら、そういうことになる。
要は典型的な娯楽作品ということである。個人的には決して嫌いな作品ではなかった。


予告編では敵の正体が明かされていなかったが、本編ではかなり早い段階で、敵はパンデミックにより発生したゾンビで、タイトルのZはゾンビであったことが判明する。

そんなゾンビとのバトルシーンは結構おもしろい。
壁をよじ登ってくるゾンビを殺しまくるところや、ゾンビに食われれば自分もゾンビ化してしまうという緊迫感を持ちながら戦うところ、急にゾンビが襲いかかってくるときの恐怖感などは、エンタメらしくドキドキさせられる。

ド直球な演出ではあるけれど、非常にわかりやすく、それゆえに楽しい。


とは言え、ストーリーには結構つっこみどころはある。
もっともゾンビ映画自体、ウィルス(または細菌)感染から発症までの早さとか、科学的根拠のないゾンビの身体能力のアップとか、つっこみどころの宝庫ではある。

しかしこの作品のオチは、致命的とさえ見えるほどつっこみどころに満ちている。
一言で言えば、ご都合主義そのものでげんなりしてしまうのだ。

まず、ある種の細菌感染した人間はゾンビも避けてくれるという設定もそうだし、最後の注射の場面などは、あまりに都合がよすぎる。
せめて、俺はむかし天然痘になったことがあってね、と兵士に言わせるとか(たとえばだ)、あの細菌を使った理由に関して、伏線くらいは張ってほしかった。それが惜しくてならない。


だがこの映画をみていて思ったけれど、アメリカ人はゾンビ映画が好きであるらしい。
そのパターンも似通っていて、大半は、何の葛藤もなく、相手を殺すことが多い。

この映画もその例にもれず、ゾンビはたとえ元同僚であれ、自分を脅かす存在である以上、殺すことには迷いはないらしい。
そのように、頑張れば危機を乗り越えられるんだ、と葛藤もなく言う辺り、いかにもアメリカ的である。悪く言えば単細胞だ。

それゆえに底の浅さが露呈してしまう。
けれど、その単純さゆえに、娯楽作品としては結構勢いがある。
いろいろがっかりな面もある。だが、個人的には、やはり決して嫌いな作品ではないのである。

評価:★★★(満点は★★★★★)

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