世界の105民族の頭骨標本の分析から、現代人の共通の祖先はアフリカで生まれて世界に広がったとする研究結果を、埴原恒彦・佐賀大教授(形質人類学)と英ケンブリッジ大の共同研究チームがまとめた。19日付の英科学誌「ネイチャー」で発表する。
埴原教授は88年から各国の研究施設を訪れ、保管されている計105民族、男性4666体、女性1579体の大人の頭骨データを収集。頭骨の幅や長さ、目が入るくぼみの縦横の長さ、鼻の高さなど37項目を一つずつ計測し、各民族ごとの個人差の大きさを調べた。
その結果、アフリカからの距離が遠い民族ほど個人差が小さくなる傾向が見られた。民族内の個人差は、地域に定着し始めた時期が新しいほど小さくなる。このため、アフリカが現代人誕生の地と考えられた。遺伝子を調べる研究では、アフリカ単一起源説が主流だったが、頭骨という身体データから証明したのは初めてだという。【山田大輔】
毎日新聞 2007年7月19日 東京朝刊
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