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社説:米大幅利下げ 混乱の根を絶つ抜本的対策を

2007年09月20日 | スクラップ
 米国が約4年ぶりに利下げを行った。下げ幅について事前の予想は分かれていたが、米連邦準備制度理事会(FRB)が選択したのは大きい方の0.5%だった。日銀も金融政策決定会合で現状維持を決定した。欧州中央銀行(ECB)も利上げを見送る決定をしている。

 日米欧の中央銀行がこうした行動をとるのは、世界的に信用不安が拡大しているからだ。米国の住宅バブルの過程で膨らんだサブプライムローンと呼ばれる住宅資金貸し付けが焦げ付き、その影響が世界に広がっている。

 英国では銀行への取り付け騒ぎに発展し、政府がこの銀行の預金を全額保護すると表明せざるを得ない事態にまで及んでいる。他の国の銀行でも同様の事態が起こりかねず、金融市場は疑心暗鬼に陥っている。

 米国が金融緩和を行ったのは、利下げで住宅市場を下支えするというより、資金不足から決済不能になる金融機関が出るのを防ぐ、緊急措置の意味合いが強い

 企業が短期資金を調達する際に出すコマーシャル・ペーパー(CP)市場が縮小している。サブプライムローンを組み込んだ金融商品に投資していたヘッジファンドも大量にCPを発行しており、影響が広がっている。期限切れのCPの大量借り換えを乗り切る必要もあり、米国は大幅利下げに踏み切ったのだろう。

 日銀は、金利機能の正常化を目指している。しかし、8月と同様に今回も利上げを見送った。日本の金融機関への影響は比較的軽微とはいえ、世界の金融市場が大混乱しており、利上げ見送りはやむを得ない。

 ヘッジファンドなどの投資の実態が不明であることと、こうした金融商品に高い格付けを与えていた格付け会社の問題も指摘されている。来月行われる先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の主要テーマだが、再発を招かないためにも、行き過ぎを防止するための措置が必要だろう。

 金融市場の混乱を収束させるために肝心なのは、根っこにあるサブプライムローン問題について、米国が適切な措置をとることだ。

 所得が低かったり、クレジットの支払いが滞ったことがあるなど、信用度の低い人たちを対象にしたのがサブプライムローンだ。それが証券化され、複雑な過程を経て他の担保をベースとした証券と組み合わされ、ヘッジファンドなどに販売された。

 サブプライムローン問題に対処するため、米政府は対応策を示している。しかし、とりあえずの域を出ていない。動揺が金融市場の中で収まればいいが、実体経済に影響するとやっかいだ。

 住宅バブルで米国の不動産業界は潤い、米国の銀行も証券化で手数料を稼いだ。しかし、その尻ぬぐいは世界に押し付けるということが許されていいはずはない。

 サブプライムローンの焦げ付きの影響が世界に波及しないよう、米国は早急に抜本的な対策をとる必要がある。




毎日新聞 2007年9月20日 0時07分
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