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『ひまわり』

夏になると、そこかしこでひまわりの花を見かける。
あんなに明るく、堂々とした花なのに、見るたびに、なにか
切なく、哀しい気持ちになるのはどうしてだろう?と
思っていた。
そして、思い当たったのが、映画『ひまわり』だ。

『ひまわり』1970年。
ソフィアローレン、マルチェロ・マストロヤンニ 。

戦争によって引き裂かれた男女の悲しい別れが、ひまわり
と太陽と重ねて美しく悲しく、そして静かに激しく戦争の悲惨さを
描いている。
あたり一面のひまわり畑の中に佇むソフィア・ローレンの姿
は、音楽とともに、あまりにも有名だ。
子供の頃この映画を観た時には、よくわからなかった。
ただ、ソフィアローレンという女優さんの野性的な美しさと、
ひまわり畑のきれいだったことしか覚えていない。
そして、何か悲しく切ないストーリーだったという印象はあった。

大人?になり、観てみると、ストーリーがじわじわと身にしみ、
あの大きな大きなひまわりの明るい畑の中での彼女の笑顔が、悲しくも美しく
胸にせまってきた。
最後の別れのシーンで、男前のマストロヤンニの苦しく悲しい眼、
ソフィアローレンの悲しみに耐える強いまなざし。
一面のひまわりと美しい音楽。ちょっと涙が止まらない。

セリフがなくても、その一瞬のシーンだけで、多くが語られ、
その美しさに言葉を失い、強い印象を残す、そんな映画が
たまにある。それらはのちに名作と呼ばれ、そのシーンは、
誰もが知ることとなる。

この映画もそのひとつだと私は思う。

何年か前に、アカデミー賞授賞式で、ソフィアローレンが名誉賞を受賞した
のだが、そのときに見た彼女の姿は、もう60歳を目前にしていた(当時)
それとは思えないほど、やっぱり美しかった。
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