らぷんつぇる**

日々のささいな出来事をつづったり
本や映画や食べ物の感想を載せてみたり
ひとりごとを言ってみたり。など。

『うつくしい子ども』

2008年02月07日 00時01分43秒 | Books
『池袋ウエストゲートパーク』で有名な石田衣良さんの本。
この作家さんは初めて読みました。
なんか、いい方向にイメージと違っていたかも。

*あらすじ*
中学2年生の三村ミキオは、企業の研究員の父とおしゃれな母、きれいな顔立ちの弟とモデルの仕事をしている妹の5人暮らし。
彼の住む郊外のニュータウンで小学生の女の子が殺害された。
犯人はなんと弟のカズシ?!
混乱におちいる町、マスコミの過剰な報道、プライバシーの侵害、陰湿ないじめ…。
激変する環境に困惑しながらも、ミキオは「なぜ弟が犯行に及んだのか」を調べ始める。
心強い友人たちに助けられながら行き着いた真実とは…。


「真犯人がいるんじゃないか」って探し始めるのはよくある小説のパターン。
「なぜ事件は起きたのか」を調べるところがこの話のミソです。
「大人になること。正しさの基準を外の世界にではなく自分自身の中心に据えること。周囲の大人たちの最低の行動が、少年に素晴らしい成長を強いることもある」っていう一文がありましたが、この本の内容を一言で言い表すならそんな感じです。
加害者の家族の苦しみ、たった14歳にして社会的ハンディを負ってしまった主人公。
おそらく酒鬼薔薇事件を題材にしているのだろうけど、決して現代人のすさんだ心や孤独を非難しているわけではなく、全体を通して成長物語になっているところはさわやかな感じ。
クスノキの集会みたいな場、きっと誰もが成長するために必要な場所なんだと思う。
「うちの子は大丈夫」っていう根拠のない親の過信を批判的に書いているところも示唆的です。
なんだか後半は悪の中の悪が出てきてそれまでの雰囲気とは変わってきてしまうのですが…。
後半は井坂幸太郎っぽいです。
こんな悪人ほんとにいるんかいと思うような、ブラックさ。
それにしても調査を手伝う友達たちといい、松浦君といい、建物の構造といい、なんてぶっとんだ中学校なんだー。

物語の舞台がなんとなくつ○ばっぽくて、そこもまた味わい深いものが。。。
というかたぶん、どこにでもありそうな新興都市を描くことで身近さを出そうとしているんだと思うけど、いい効果になってますね。。。

*データ*
著者:石田衣良
出版社:文藝春秋
定価:448円+税(文春文庫)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿