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香川大学博物館特別展「倉田貞美博士の業績」

2020年03月15日 | 日記

3月14日(土)です。標記の展示を見に行ってきました。当初はこれに関する田山泰三先生の講演会が午前に予定されていたのですが、ウイルス流行のために中止になりました。しかし、資料解読に協力した関係もあったので展示を見学にいきました。施設は高松市の香川大学教育学部の一角にあり、北門から入ります。

大学内に博物館があるのは素晴らしいことです。

倉田 貞美 (くらた さだよし、1908~1994)日本の教育者、中国文学者。博士(文学)。元香川大学学長。香川大学名誉教授。 香川県三豊郡大見村(現・三豊市三野町)出身。旧香川県立三豊中学校、第一臨時教員養成所卒業、東京高等師範学校研究科、東京文理科大学文学科卒業。 1968年(昭和43年)「清末民初を中心とした中国近代詩の研究」で学位修得(東京教育大学 文学博士)。 1934年(昭和9年)東京文理科大学文学科に入学後、漢文学を専攻する。現代の中国民族の新しい文化の研究に取り組む。1937年(昭和12年)同大学卒業後、福井師範学校に赴任。間もなく蘆溝橋事件が起こり、同年12月に応召。1949年(昭和24年)香川大学教授に就任後「中国現代詩の研究」を継続し清末民初詩壇の実態の全面的究明に取り組む。 

なお、この特別展はウイルス流行のために、3月15日(日)に終了になりました。

特に興味深い資料はパンフレットの裏に印刷されています。倉田博士は『大漢和辞典』を作った諸橋徹次の教え子で、学生時代にその編集にも関わりました。

諸橋 轍次(もろはし てつじ、1883~1982)新潟県南蒲原郡庭月村(現・三条市)出身。東京高等師範学校で学び、卒業後に同校で漢学を教える。大著『大漢和辞典』や『広漢和辞典』(ともに大修館書店刊)の編者。文学博士。東京文理科大学名誉教授。都留短期大学および都留文科大学の(四年制大学としての)初代学長。号は止軒。 

諸橋徹次の書道作品は極めて上質です。展示室は小規模でしたが、わかりやすくまとめられていました。

この博物館の近くの庭に大きな石碑がありました。香川県の生んだ初の大臣、三土忠造の記念碑です。漢学者 三土梅堂の養嗣子です。

三土 忠造(みつち ちゅうぞう、1871~1948)明治から昭和にかけての日本の政治家。 讃岐国大内郡水主村(現・東かがわ市)出身。 宮脇家の次男から三土梅堂の養嗣子となる。小学校教員から上京して東京高等師範に学び、イギリス・ドイツへの留学、新聞記者を経て、政治家となる。長年立憲政友会の衆議院議員として党内にて重きをなし、内閣書記官長を振り出しに文部大臣・大蔵大臣・逓信大臣・鉄道大臣・枢密顧問官・内務大臣(一時運輸大臣も兼務)を歴任した戦前政界の重鎮である。 

三土梅堂(みつちばいどう、1844~1918) 阿野郡西庄村(坂出市西庄町)の庄屋三土鼓丘の次男として生まれる。名は幸太郎。秋山巌山・富家松浦・片山冲堂に和漢学を学び、上京して昌平黌に入る。のち名古屋に招かれ、明治5年(1872)県中学校教諭となり、坂出公学校、飯山中学校の校長、丸亀中学校の教諭などを務める。丸亀高校・西庄小学校に記念碑がある。75歳。

この石碑の碑陰の碑文を書いているのは、この大学の書道教員だった藤原鶴来です。

藤原鶴来(ふじわらかくらい、1893~1990)岡山県出身。本名は茂。岡山師範卒。丹羽海鶴、比田井天来に師事。大正11年(1922)香川師範教諭、戦後香川大教授。昭和57年(1982)中国西安市に建立された空海記念碑の碑文を揮毫した。平成2年(1990)死去、96歳。著作に『和漢書道史』『書源』など。 

日下部鳴鶴の書法をよく受け継いでいます。藤原鶴来はこれが書かれた昭和2年(1927)に『和漢書道史』を刊行しています。この本は、私が学生時代に何度も読んだ書道史の教科書で、いまだに時々参考にしている名著です。これが初めて出版された年に、その著者が書いた石碑だということで、感慨深いものがありました。

なお藤原鶴来は、香川大学退職後に昭和48年(1963)四国女子大学教授となって、数年間勤務しました。つまりは私の仕事先の大先輩と言ってもよい存在です。

この後、大学の近くにある「サンクリスタル高松」の4Fの高松市歴史資料館の企画展「墨景礼賛~山水に遊ぶ」を見学しました。瀬戸内海を挟んだ高松と岡山の文人の交流の様子がよくわかる上質の展覧会でした。

https://www.museum.or.jp/modules/im_event/?controller=event_dtl&input[id]=95350

これも3月15日(日)までです。

 

 

 

 

 

 

 


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