音多歌樂箱 オタカラバコ・音楽療法の待合室

東信濃に生息する看護師×出前音楽療法士ハラサチコの覚書。

愛あるダメ出し

2005-04-16 23:39:52 | 音:Music Therapy
私の今年の目標は1日1発信の他にもうひとつ。
ダメ出しに負けない強い心を作るという、弱い自分にはちと難しい
ものですが、これは押しの強さやダメ出しの内容にヘコんでなかなか
立ち直れない心の弱さを鍛えようというスローガンでもあります。

デイケアでのセッション終了後、お茶の席でのある利用者さん。
その方はセッションの時間、カーテンを隔てたリハビリ室で
訓練している、「お役に立てるといいのだけれど」で登場した大先輩。
ご挨拶に伺ったら開口一番、「今日は一言お小言がある」と私に言いました。
何か失礼がありましたか、と尋ねると、
「春になったんだから早春賦が聴けると思ったら歌わなくて残念だった。
それともうひとつ、湯の町エレジーも聴きたかった」というご要望でした。
ありゃりゃ、それは申し訳ありませんでした…多分以前の私なら
希望を叶えられなかった自分のふがいなさにしばらくヘコんだところ
でしょうが、まあそこに座りなさいよ、と言っていただいたので、その方の
斜向かいに腰かけてお話の続きを伺うことにしました。するとその方は、
「訓練しながら口ずさむのがとても楽しみなんだけど、訓練そっちのけに
なってもいけないし、部屋の関係で外から聞いている立場としてはそう毎回
リクエストを出すわけにいかないから今日は思ってた歌を言えなかった。
ほかの歌はとても楽しませてもらったし、進行はさすがだったよ」と。
そんなものすごく優しくも厳しい愛あるダメ出しの後、ラジオ深夜便で
件のリクエスト曲「絶唱」が流れて嬉しかったことや、好きな歌のことなど
ゆっくり聞けただけでなく、私が持ちかけた次回つかみの相談がまとまり、
お互い心の荷物を下ろし、私は撃沈することなく次回に向けて動き出すことが
出来ました。良かったという感想だけでなく、こうしたダメ出しは
引きずったままでは石のように重いままなのですが、正面から向き合うことで
真意を知り、重い石が貴石に変わります。
音楽療法の世界に首と足を突っ込んで早10年、大先輩とのこうした愛しい時間が
大好きだから療法士を続けているのかも、と最近とくに感じます。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿