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新春に萌え出たばかりの若草の芽も、雪に覆われてしまった。 |
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それでも草たちは、健気にも、雪の中で生き抜こうとする。 |
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しかし、この草は、余りの寒さのため、生きる希望を失ってしまったのだった。
「ああ……誰か助けて……寒いよ……冷たいよ……」 |
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「も、もうだめだ……僕は凍死するのか……」 |
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がくっ |
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だが、この時 ―― 遠のいてゆく意識の底で、この草は、猫たちの会話を耳にしたのだった。 |
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「おい、寒いなあ」
「ええ。こんなに積もるとは思いませんでしたよ」 |
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「いつになったら春が来るのかなあ……」
「いつでしょうねえ……」 |
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「とにかく、ひたすら待つしかありませんよ」 |
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「他に、どうしようもないじゃありませんか……」 |
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「それはそうだが……待つにしても、前向きに待ちたいな」 |
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「前向き? どういうことですか?」
「だからその、希望を持って、未来を見据えて、胸を張ってさ」 |
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「背中を丸くして縮こまってたら、気が滅入るだろ?」
「……僕たちが猫背なのは、当然じゃないですか」 |
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「いや! 背筋をぴ~んと伸ばさなくてはいかん!」
ぴ~ん |
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猫たちの、こんな会話を聞いて、この草の心にも、勇気が湧いてきたのだった。
「……よ~し! 僕も頑張ろう!」 |
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ぴ~ん |