僕たち野良猫は、たいてい、お腹の中に寄生虫がいるそうだ。 以前にも、ボランティアさんが僕たちにお薬をくれたことがあるんだよ。 | |
おかか先生の嘔吐がきっかけで、僕たちはまたお薬を飲むことになった。 先生の嘔吐の原因は不明だけど、ともかく駆虫はしておいたほうがいいからね。 | |
というわけで、ほら。 これが、ボランティアさんが用意してくれた錠剤だよ。 | |
カメラのお兄さんが、さっそく僕に飲ませてくれた。 じかに口に入れてくれたけど、うまく飲み込んだよ。 | |
お兄さんには、前にも薬を飲ませてもらったことがあるのさ。
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さて、問題はおかか先生なんだよ……。 | |
先生は、野良猫としてのプライドにこだわるからね。 「ひざ乗せ」も「だっこ」も、絶対に拒否するしね……。 | |
先生は、薬を飲むのをいやがって、どこかに行ってしまった……。 | |
あれこれ考えた末、僕は、口移しで、先生にお薬を飲ませることにした。 ←錠剤を口に含んでいる | |
そして、先生を捜しに行ったんだ。 | |
「先生、こんな所にいたんですか」 「何だ、何の用だ……」 | |
「口移しで、お薬を飲ませてあげますよ」 「飲まんと言っとるだろうが」 | |
「先生自身のためですよ。飲みなさい!」 | |
「やなこった!」 | |
「飲みなさいってば!」 「断る!」 | |
「無理にでも飲ませますよ!」 「やめんか!」 | |
「何もそんなに意地を張らなくたって!」 「い、意地を張っとるわけじゃない」 | |
「いやなものは、いやなんだっ!」 | |
「……」 「……」 | |
僕は、諦めた……。 | |
「……ふん」 | |
「ふん」 | |
「薬を飲むなんて、野良猫として堕落だよ」 | |
「しかし……」 | |
「一昨日は、ゲロしちゃったしなあ……」 | |
「やっぱり飲んだほうがいいのかなあ……」 | |
「先生……」 | |
先生への駆虫剤投与は、翌日ということになった。 カメラのお兄さんが、ごはんに混ぜて与えてくれるそうだけど、うまくいくかなあ……。 | |