おむさんは、困っていた。 | |
魔法の媚薬の香りを嗅いでしまったため、むしょうにキスしたい気分なのである……。
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「ああ、キスしたい! ロマンチックなキスをしたいよ……」 | |
しょうがないので、自分の手にキスしてみた。 ちゅっ | |
しかし、それでは到底、満足できない。 | |
がまんできず、コンクリートの護岸にキスすることにした。 | |
ちゅっ | |
だが、ロマンチックな気分は、つのるばかり。 「そういうわけなので、先生、すみませんが、キスしてくれませんか……」 | |
「よかろう。事情が事情だけに、やむを得まい」 | |
「ではお願いします……」 「うむ。準備オーケーだ……」 | |
ちゅっ | |
「!?!?」 | |
「……ありがとうございます! キスに対する幻想がふっとびました!」 | |
「ほう? 魔法が解けたのか? よかったな!」 | |
「もうね、二度とキスなんてしたくないですね!」 | |
「あ、あの……私のキスって、そんなに酷かったか?」 | |
「落ち込んじゃうなあ……」 | |