幻滅をありがとう

2010年02月08日 16時39分00秒 | B地点 おむ

 

 

おむさんは、困っていた。

苦しくてたまらない。

魔法の媚薬の香りを嗅いでしまったため、むしょうにキスしたい気分なのである……。


※参照、秘薬シリーズ

「ああ、キスしたい! ロマンチックなキスをしたいよ……」
しょうがないので、自分の手にキスしてみた。

ちゅっ
しかし、それでは到底、満足できない。
がまんできず、コンクリートの護岸にキスすることにした。
ちゅっ
だが、ロマンチックな気分は、つのるばかり。

「そういうわけなので、先生、すみませんが、キスしてくれませんか……」
「よかろう。事情が事情だけに、やむを得まい」
「ではお願いします……」

「うむ。準備オーケーだ……」
ちゅっ
「!?!?」
「……ありがとうございます! キスに対する幻想がふっとびました!」
「ほう? 魔法が解けたのか? よかったな!」
「もうね、二度とキスなんてしたくないですね!」
「あ、あの……私のキスって、そんなに酷かったか?」
「落ち込んじゃうなあ……」