ボランティアさんからお預かりした錠剤である。 前日はおむさんに、直接、投与した。 今日は、おかか先生の番である。 | |
おかか先生にじかに錠剤を飲ませることはできないので、ちょっと工夫が必要である。 | |
ボランティアさんからのご指示に従い、おかか先生好みのウェット・フードを用意する。 | |
錠剤を細かく砕いて、粉にする。 | |
フードに混ぜて、できあがり。 しかし、味はかなり、苦い。 先生は、食べてくれるだろうか……。 | |
「さ、先生、お薬ですよ」 | |
「う、うむ……」 | |
「これなら食べられるでしょ?」 | |
「……食べるよ。私も昨日は、おとなげなかった」 | |
もぐもぐ | |
「……どうですか? 苦くてダメですか?」 | |
「……いや、なかなかイケるよ」 | |
「ふふふ。ほろ苦い、オトナの味ってとこかな」 | |
「よかった……!」 | |
おかか先生は、ほぼ完食した。 これで、当分の間、内部寄生虫の心配はないだろう。 | |
「ありがとう。色々と気を遣わせて、悪かったな」 | |
「……」 | |
おかか先生は、おむさんの隣に座った。 | |
両者が一つのリュックに乗るのは、まれである。
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「繰り返すが、どうもありがとう」 「先生、お礼はボランティアさんにね」 | |