色々と開いてみよう

2009年09月26日 17時27分00秒 | B地点 おかか

 

 

オムイ外伝シリーズ 第三部(武芸帳篇) 第38話



追忍は、オムイの姿を見失ってしまったのだった。
「オムイめ、どこへ隠れた?」
「よしッ! 瞳孔を開いて探してみるか!」
「ん~」
くわッ
きょろきょろ
「……だめだ。見付からん」
「よしッ! 口を開いて探してみるか!」
「ん~」
くわッ
「……」
「何の意味もなかったな……」

ぽりぽり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


どうぶつ王国の死闘

2009年09月25日 15時59分00秒 | B地点 おかか

 

 

オムイ外伝シリーズ 第四部(奇想天外篇) 第27話



オムイの命を狙う追忍である。
「オムイに気付かれずに近付くには……」
「小動物に化けるのがいいかな」
「奴が眠っている間に襲えば、いっそう確実だ」
「よし、その手でいこう! わッはッは~」
すやすや
「ふふ。よく眠っているな」
追忍は、スッポンの赤ちゃんに化けた。
「オムイめ、眠っている間にあの世行きだ!」
しかし、オムイの勘は鋭い。

「……はッ!?」
「この気配……」
「追忍か!」
「そこだッ!」
「うッ、バレた!」
オムイは、ニンゲンに化けて追忍を捕えた。
「くそーッ」
「ぐ、ぐはーッ」
追忍は間一髪でオムイから逃れた。

「はぁはぁ……」
そして、水辺に辿り着いた。
ちゃぷん
ぶくぶく
「……畜生、オムイめ」
「こうなったら水中戦だ」
「奴を水の中に誘い込んでやる!」

追忍は、今度はに化けることにした。
それを追って、オムイはサギに化けた。
「追忍め、こッちか?」

ちゃぷちゃぷ
「あッちか?」

ちゃぷちゃぷ
「……むッ」
「そこかーッ!」

ザバーッ
「ふははは!」

「しまッたーッ」
「丸飲みにしてやる!」

「や、やめろぉーッ」
ごっくん

「ぐはああーーーーッ」
ガクッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


うどんはなかった

2009年09月23日 17時12分00秒 | B地点 おむ

 

 

オムイ外伝シリーズ 第二部(超時空篇) 第7話



辺境の惑星、タトゥイーン。
モス・アイズリーという町のはずれに、一軒のジャンク屋があった。
ご覧の通り、露店を拡げて、怪しげな品物を売っている。
店のあるじは、この男らしい。
「ふあ~あ」

客が来ないので、ヒマそうだ。
そこへたまたま通りかかったのが、公儀の隠密。
オムイ追討の使命を帯びているが、今は休暇でタイム・トラベルを楽しんでいる。
「……おっ」
「いらっしゃい、いらっしゃい!」
「ん?」
「へへへ! ヤバいブツが揃ってますぜ、だんな!」
「……強力な武器はあるか?」
「大きな声じゃ言えませんがね」
「ジェダイの放出品、ライトセーバーが大量入荷!」
「ライトセーバーだと!?」
「四本くれッ! うどんもな!」
「……ふっ」
「ふふふふ!」
「……な、何がおかしい?」
「一本で充分ですよ!」

ビイィィーン
「うッ!? き、貴様、オムイ!」
「ふん。今ごろ気付いたか」
「たあーッ」

ライトセーバーで襲いかかるオムイ。
「ぐはあーッ」
追忍は、あっけなく敗れたのだった。

ガクッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ねこじゃら将棋(後編)

2009年09月23日 16時36分00秒 | B地点 おむ

 

 

(承前 ―― 前編から先にご覧ください)


「う、う~ん」

←先を読んでいる

にやり
ぴしっ
「やはりそう来ましたね」
「こちらの思う壺ですっ」
「でやあ~っ!」
ばっ
ビシイィィーッ
「ふっ」
「……うっ!? 何だあの余裕は?」

「……」

←先を読んでいる

「ううっ!?」

←完全に読み切った

「……だ、だめだ」
「僕の負けです」

がっくり
「ふふん、参ったか」
「わはは!」
「くっ」
「わ~っはっはっは~っ」

「うう、不覚」


猫はとても賢い。ニンゲンよりも、ずっと賢い。

「くそぉ……」


だから、猫の将棋はすぐに終わってしまうのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ねこじゃら将棋(前編)

2009年09月23日 16時33分00秒 | B地点 おむ

 

 

「おい、久し振りに将棋でも指すか?」

「どうせ僕の勝ちでしょうけどね」


 ―― 余り知られていないが、猫は将棋を指すことができる。

「私が先手でいい?」


猫はとても賢い。だから将棋は得意なのである。

「ええ。どうぞお先に」

ただし将棋盤は用いられない。広い大地で対局するのである。駒も、小石や草など、自然界で入手できるものが使われる。(最も好まれるのは、ネコジャラシの穂である。)ルールはニンゲンの将棋と全く同じである。

ぴしっ


おかか先生の指し方は、実に渋い。

「そう来たか……」
←考えている
←考えがまとまった
だっ
ぶわあっ

「でやあ~っ!」


おむさんの指し方は、なんとも豪快である。

ビシィ

「うっ!?」


つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ふたりのきもち(後編)

2009年09月21日 17時34分00秒 | B地点 おむ

 

 

(承前 ―― 前編から先にご覧ください)


……それでも、一つ、考え付いた。

大げさにせず、何も言わずに、さりげなく席を譲ろう。
そうすれば、先生も座ってくれるかも。
おむさんは一縷の望みをそこに託して、
黙ってリュックから降りた。
おかか先生はもちろん、
それに気付いた。
だが、つい、そっぽを向いてしまった。
おむさんの気持は手に取るように解る。

しかし、だからこそ、かえって意地を張ってしまうのだ。
おむさんは、リュックの脇で、先生を待った。
だが、先生は、水を飲みに行ってしまった。
いつまで経っても、先生は戻って来ない。
先生も、なんとなく帰りづらいのだ。
おむさんは、がっかりした。
そして、とうとう、あきらめた。
またリュックに乗ることにした。
もう何も考えたくない。
静かに休もう……。
―― だしぬけに、先生が来た。

おむさんは、思わず目を逸らしてしまった。
先生も、おむさんの方を見ようとしない。
そっぽを向いたまま、先生は立ち止まった。
そして、近くまで来た。

けれど二人とも、目を合わせることができない。
おかか先生は何も言わず、おむさんの横に座った。

二人とも、ちょっと気まずかった。

けれど同時に、二人とも、ほっとした。

―― きっと、これでよかったのだ。



翌日は、二人とも素直になりましたとさ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ふたりのきもち(前編)

2009年09月21日 17時02分00秒 | B地点 おむ

 

 

いつものように、
おむさんがリュックに乗る。
くつろぎの時間だ。
が、ふと横を向いたら、
おかか先生と目が合った。
先生は、何も言わない。
おむさんも、何も言えなかった。
―― 先生は、無関心を装っているけれど、
心の底には、リュックに乗りたいという気持があるのだ。
しかし同時に、リュックなどに乗るのはプライドに関わる、という思いもある。

つまり葛藤だ。
おむさんに座らせてやりたいという思い遣りも、遠慮も、もちろんある。

おむさんには、そんな先生の気持がよく解っている。

解っているけれど、うまく対応できない。
おむさんだって、先生に座らせてあげたい。
だが、もし先生に席を譲ったら、どうなるだろう?
先生は、自尊心を傷付けられて、怒るかもしれない。
そう考えると、席を譲るのも難しい。
それに、おむさんは、
やはり、このリュックが好きだ。
独占したい。

それはそれで、一つの本音なのだ。
そもそも、こんなことで悩みたくない。
こんなことで、先生との距離が開いてしまうなんて。
先生と気持が離れてしまうのはイヤだ。
先生の心が遠くに行ってしまうのは、イヤだ。
おむさんは、困ってしまった。

ひどく気疲れしてしまった。


つづく