オムイ外伝シリーズ 第三部(武芸帳篇) 第38話 |
![]() |
追忍は、オムイの姿を見失ってしまったのだった。 |
![]() |
「オムイめ、どこへ隠れた?」 |
![]() |
「よしッ! 瞳孔を開いて探してみるか!」 |
![]() |
「ん~」 |
![]() |
くわッ |
![]() |
きょろきょろ |
![]() |
「……だめだ。見付からん」 |
![]() |
「よしッ! 口を開いて探してみるか!」 |
![]() |
「ん~」 |
![]() |
くわッ |
![]() |
「……」 |
![]() |
「何の意味もなかったな……」 ぽりぽり |
オムイ外伝シリーズ 第三部(武芸帳篇) 第38話 |
![]() |
追忍は、オムイの姿を見失ってしまったのだった。 |
![]() |
「オムイめ、どこへ隠れた?」 |
![]() |
「よしッ! 瞳孔を開いて探してみるか!」 |
![]() |
「ん~」 |
![]() |
くわッ |
![]() |
きょろきょろ |
![]() |
「……だめだ。見付からん」 |
![]() |
「よしッ! 口を開いて探してみるか!」 |
![]() |
「ん~」 |
![]() |
くわッ |
![]() |
「……」 |
![]() |
「何の意味もなかったな……」 ぽりぽり |
オムイ外伝シリーズ 第四部(奇想天外篇) 第27話 |
オムイ外伝シリーズ 第二部(超時空篇) 第7話 |
![]() |
(承前 ―― 前編から先にご覧ください)
←先を読んでいる |
![]() |
にやり |
![]() |
ぴしっ |
![]() |
「やはりそう来ましたね」 |
![]() |
「こちらの思う壺ですっ」 |
![]() |
「でやあ~っ!」 |
![]() |
ばっ |
![]() |
ビシイィィーッ |
![]() |
「ふっ」 |
![]() |
「……うっ!? 何だあの余裕は?」 |
![]() |
「……」 ←先を読んでいる |
![]() |
「ううっ!?」 ←完全に読み切った |
![]() |
「……だ、だめだ」 |
![]() |
「僕の負けです」 がっくり |
![]() |
「ふふん、参ったか」 |
![]() |
「わはは!」 |
![]() |
「くっ」 |
![]() |
「わ~っはっはっは~っ」 |
![]() |
「うう、不覚」
|
![]() |
「くそぉ……」
|
![]() |
「おい、久し振りに将棋でも指すか?」 |
![]() |
「どうせ僕の勝ちでしょうけどね」
|
![]() |
「私が先手でいい?」
|
![]() |
「ええ。どうぞお先に」
|
![]() |
ぴしっ
|
![]() |
「そう来たか……」 |
![]() |
←考えている |
![]() |
←考えがまとまった |
![]() |
だっ |
![]() |
ぶわあっ |
![]() |
「でやあ~っ!」
|
![]() |
ビシィ |
![]() |
「うっ!?」
|
![]() |
(承前 ―― 前編から先にご覧ください)
|
![]() |
大げさにせず、何も言わずに、さりげなく席を譲ろう。 |
![]() |
そうすれば、先生も座ってくれるかも。 |
![]() |
おむさんは一縷の望みをそこに託して、 |
![]() |
黙ってリュックから降りた。 |
![]() |
おかか先生はもちろん、 |
![]() |
それに気付いた。 |
![]() |
だが、つい、そっぽを向いてしまった。 |
![]() |
おむさんの気持は手に取るように解る。 しかし、だからこそ、かえって意地を張ってしまうのだ。 |
![]() |
おむさんは、リュックの脇で、先生を待った。 |
![]() |
だが、先生は、水を飲みに行ってしまった。 |
![]() |
いつまで経っても、先生は戻って来ない。 |
![]() |
先生も、なんとなく帰りづらいのだ。 |
![]() |
おむさんは、がっかりした。 |
![]() |
そして、とうとう、あきらめた。 |
![]() |
またリュックに乗ることにした。 |
![]() |
もう何も考えたくない。 |
![]() |
静かに休もう……。 |
![]() |
―― だしぬけに、先生が来た。 おむさんは、思わず目を逸らしてしまった。 |
![]() |
先生も、おむさんの方を見ようとしない。 |
![]() |
そっぽを向いたまま、先生は立ち止まった。 |
![]() |
そして、近くまで来た。 けれど二人とも、目を合わせることができない。 |
![]() |
おかか先生は何も言わず、おむさんの横に座った。 |
![]() |
二人とも、ちょっと気まずかった。
|
![]() |
いつものように、 |
![]() |
おむさんがリュックに乗る。 |
![]() |
くつろぎの時間だ。 |
![]() |
が、ふと横を向いたら、 |
![]() |
おかか先生と目が合った。 |
![]() |
先生は、何も言わない。 |
![]() |
おむさんも、何も言えなかった。 |
![]() |
―― 先生は、無関心を装っているけれど、 |
![]() |
心の底には、リュックに乗りたいという気持があるのだ。 |
![]() |
しかし同時に、リュックなどに乗るのはプライドに関わる、という思いもある。 つまり葛藤だ。 |
![]() |
おむさんに座らせてやりたいという思い遣りも、遠慮も、もちろんある。 |
![]() |
おむさんには、そんな先生の気持がよく解っている。 |
![]() |
解っているけれど、うまく対応できない。 |
![]() |
おむさんだって、先生に座らせてあげたい。 |
![]() |
だが、もし先生に席を譲ったら、どうなるだろう? |
![]() |
先生は、自尊心を傷付けられて、怒るかもしれない。 |
![]() |
そう考えると、席を譲るのも難しい。 |
![]() |
それに、おむさんは、 |
![]() |
やはり、このリュックが好きだ。 |
![]() |
独占したい。 それはそれで、一つの本音なのだ。 |
![]() |
そもそも、こんなことで悩みたくない。 |
![]() |
こんなことで、先生との距離が開いてしまうなんて。 |
![]() |
先生と気持が離れてしまうのはイヤだ。 |
![]() |
先生の心が遠くに行ってしまうのは、イヤだ。 |
![]() |
おむさんは、困ってしまった。 |
![]() |
ひどく気疲れしてしまった。
|