ふたりのきもち(前編)

2009年09月21日 17時02分00秒 | B地点 おむ

 

 

いつものように、
おむさんがリュックに乗る。
くつろぎの時間だ。
が、ふと横を向いたら、
おかか先生と目が合った。
先生は、何も言わない。
おむさんも、何も言えなかった。
―― 先生は、無関心を装っているけれど、
心の底には、リュックに乗りたいという気持があるのだ。
しかし同時に、リュックなどに乗るのはプライドに関わる、という思いもある。

つまり葛藤だ。
おむさんに座らせてやりたいという思い遣りも、遠慮も、もちろんある。

おむさんには、そんな先生の気持がよく解っている。

解っているけれど、うまく対応できない。
おむさんだって、先生に座らせてあげたい。
だが、もし先生に席を譲ったら、どうなるだろう?
先生は、自尊心を傷付けられて、怒るかもしれない。
そう考えると、席を譲るのも難しい。
それに、おむさんは、
やはり、このリュックが好きだ。
独占したい。

それはそれで、一つの本音なのだ。
そもそも、こんなことで悩みたくない。
こんなことで、先生との距離が開いてしまうなんて。
先生と気持が離れてしまうのはイヤだ。
先生の心が遠くに行ってしまうのは、イヤだ。
おむさんは、困ってしまった。

ひどく気疲れしてしまった。


つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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