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いつものように、 |
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おむさんがリュックに乗る。 |
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くつろぎの時間だ。 |
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が、ふと横を向いたら、 |
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おかか先生と目が合った。 |
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先生は、何も言わない。 |
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おむさんも、何も言えなかった。 |
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―― 先生は、無関心を装っているけれど、 |
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心の底には、リュックに乗りたいという気持があるのだ。 |
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しかし同時に、リュックなどに乗るのはプライドに関わる、という思いもある。 つまり葛藤だ。 |
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おむさんに座らせてやりたいという思い遣りも、遠慮も、もちろんある。 |
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おむさんには、そんな先生の気持がよく解っている。 |
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解っているけれど、うまく対応できない。 |
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おむさんだって、先生に座らせてあげたい。 |
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だが、もし先生に席を譲ったら、どうなるだろう? |
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先生は、自尊心を傷付けられて、怒るかもしれない。 |
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そう考えると、席を譲るのも難しい。 |
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それに、おむさんは、 |
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やはり、このリュックが好きだ。 |
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独占したい。 それはそれで、一つの本音なのだ。 |
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そもそも、こんなことで悩みたくない。 |
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こんなことで、先生との距離が開いてしまうなんて。 |
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先生と気持が離れてしまうのはイヤだ。 |
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先生の心が遠くに行ってしまうのは、イヤだ。 |
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おむさんは、困ってしまった。 |
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ひどく気疲れしてしまった。
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