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(承前 ―― 前編から先にご覧ください)
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大げさにせず、何も言わずに、さりげなく席を譲ろう。 |
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そうすれば、先生も座ってくれるかも。 |
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おむさんは一縷の望みをそこに託して、 |
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黙ってリュックから降りた。 |
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おかか先生はもちろん、 |
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それに気付いた。 |
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だが、つい、そっぽを向いてしまった。 |
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おむさんの気持は手に取るように解る。 しかし、だからこそ、かえって意地を張ってしまうのだ。 |
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おむさんは、リュックの脇で、先生を待った。 |
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だが、先生は、水を飲みに行ってしまった。 |
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いつまで経っても、先生は戻って来ない。 |
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先生も、なんとなく帰りづらいのだ。 |
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おむさんは、がっかりした。 |
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そして、とうとう、あきらめた。 |
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またリュックに乗ることにした。 |
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もう何も考えたくない。 |
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静かに休もう……。 |
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―― だしぬけに、先生が来た。 おむさんは、思わず目を逸らしてしまった。 |
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先生も、おむさんの方を見ようとしない。 |
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そっぽを向いたまま、先生は立ち止まった。 |
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そして、近くまで来た。 けれど二人とも、目を合わせることができない。 |
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おかか先生は何も言わず、おむさんの横に座った。 |
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二人とも、ちょっと気まずかった。
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