○ 4月24日の夜にシンガポールを出港したボロ船は、翌25日は南シナ海を方位40度で北東に向かって航行しました。この辺りの海は海の銀座通りと言われるぐらいで、航行する船が多く 賑やかです。その大部分が日本に向かっているのでしょう。
○ 私は早朝から太極拳やラジオ体操、般若心経を詠む会などに参加する他は、プールで泳いだり、デッキで海をながめたりして過ごしました。船内ではシンガポールで日本大使館へ船に対する苦情を訴えに行った結果の報告会や、世界ホラ吹き大会なども行われ、航海がいよいよ終わりに近づいたことを感じさせられました。
○ ところが翌26日午前10時15分に突然エンジンが停止し、冷房も止まりました。またか???・・・・と思いましたが、船内放送で「4・5時間で復旧する」との説明でした。ここはベトナム沖でソマリア沖のように海賊の心配もありませんので、ひとまず安心と思っていました。
○ ところが夕方になっても船は動く気配は無く、200Vの電源が止まっているため冷房もストップ、それに食事も極端に質素な簡易食になりました。船側からは復旧の見通しや故障内容の説明は全くなく、船内ではデッキにベッドカバーを持ち出して寝る場所の確保する動きも激しくなりました。
○ 船室の温度は34℃にもなり、暑くて部屋には居れませんので、この日の夜はデッキの椅子にもたれて眠りました。朝になっても動く気配はなく、船側の説明は「修理中」を繰り返すばかりです。そして朝食はキャベツとスイカ、牛乳だけで、昼間も乗客はあきらめてデッキで寝そべっている人がほとんどですが、老人の女性の中には泣き出す人もありました。私は、この日の夜はプールサイドでで寝したが、夜中に無数のコウモリが飛来し、多くの人がゴロゴロとデッキで寝ているボロ船は幽霊船かと思われるほどでした。
○ 28日の午前2時頃に目を覚ますと、船はスローで動いているようでした。この船は蒸気タービンで動く船ですので、スピードを取り戻すのに4~5時間もかかるようで、16時頃には冷房も復旧しましたので、この日は自分の部屋で寝ることが出来ました。2晩もデッキで寝ましたので、一寸風邪気味になり、持参していた風邪薬を飲んで眠りました。