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今日も地球は周ってる

管理人の趣味や日々のことを徒然に。宇宙戦艦ヤマト好きーが現在進行形。時々、六神合体ゴッドマーズ。ALの右オタも兼務

GMとヤマトのSSをアップしました。

2011-04-02 12:09:57 | 日記
ゴッドマーズとヤマトのSSをそれぞれアップしました。

ゴッドマーズ:桜
http://blog.goo.ne.jp/orb_mars/e/9d19e497e2a5f7593af91a3b54ccbab7


ヤマト:サクラ
http://blog.goo.ne.jp/orb_mars/e/2f6688b051998c0ce99d84c1bb5c5be4

             

2本同時アップは初めてです。
しかもジャンル違いです。
まさか1週間で2本書いてしまうとは思いませんでした。
書いた後、桜の花が咲き始めるまで少し寝かせておきました。
今日、桜の花がちらほら咲き始めたのを見たので、アップしました。

桜に小さな想いをこめて書いたSSです。
お読みいただければ幸いです。

寒くて長かった今年の冬。
あまりに寒くて、このままずっと冬なのじゃないかと思うほどでした。
それでもちゃんと桜は咲くんですね。
春、到来。

サクラ

2011-04-02 12:09:08 | ヤマトSS
「ただいま」

帰宅した古代の顔が嬉しそうにほころんでいる。

「おかえりなさい。今日は通院だったのでしょ?病院で何か良いことでもあったの?」

と、雪が問うのに

「凄い物が手に入ったんだ。まさか手に入るとは思わなかったよ。」

古代が少し興奮気味に嬉しそうに話す。
こんな風に古代が興奮気味に話すことなど、ここしばらく無かったことだ。
その身に巣食っている病の為に、いつも静かで穏やかだったからだ。
それを判っているだけに、雪も古代の話に興味を持った。

「まあ、何かしら?あなたがそんなに興奮するなんて」

古代が手に入れて喜ぶもの…。それは本当に限られた物。
物欲などほとんど無いに等しい古代だからだ。
その古代が喜ぶものと言えば…。雪にはおぼろげに想像ができた。

「何かの植物でも?」
「!よく判ったね、雪」

古代が目を丸くする。
フフフと雪が小さく笑う。
だってあなたのことですもの。とは口にはしない。

「種なんだ。」
「種?何の?」

古代が上着のポケットから、小さく丁寧にたたまれた紙包みを取り出し、広げる。
そこには小指の爪ほどの大きさの3粒の種があった。

「見た事があるような気もするけど…判らないわ。」

少しおどけたように、降参して雪が言う。
その様子に古代が微笑む。

「これはね、桜の種なんだ。」
「まあ、桜?」

雪が驚く。
まだ地上の木々は少なく、管理されたエリアにしか植樹されていない。
その種子も管理されており、一般人が植物の種を手に入れることは非常に困難だったからだ。
花々はそれでもまだ一般の手に渡るようになってはいたが。

「うん。桜の種。個人で保管していた方がいらっしゃって。
 色々話しているうちに分けて下さったんだ。」

いつも細かな経緯は説明しない古代のこと。
桜の種についても詳細には触れることはないが、この嬉しそうな様子から、古代が相当熱心だったであろうことは想像に難くなかった。

それにしても。と、雪は思った。

「よく個人で桜の種を保存してらしたわね。保存状態も環境を整えなくちゃいけないと思うし。」
「僕も詳しくは尋ねなかったんだ。プライバシーにも関わりそうだしね。
 でも植物のことに詳しくて、こと、桜についてはとても熱心な方なんだよ。
 おっといけない。種を蒔くまでは冷蔵庫に入れておかなきゃいけないんだ。」

と、慌ててキッチンに向かう古代を雪は微笑んで見ていた。


それが秋の事だった。

冬、古代と雪は鉢に桜の種を蒔いた。
種の持ち主からのレクチャー通りに。


そして。


「雪!雪!」

古代が大きな声で雪を呼ぶ。

「どうしたの?」
「見てごらんよ」

キッチンからリビングに顔を出した雪に古代が手招きをする。

「ほら!」

嬉しそうに古代が指差すその先には、冬に桜の種を蒔いた鉢があった。
そして、その鉢には小さな緑の芽が芽吹いていた。

「芽が出たよ。スゴイや。
 遊星爆弾で地表が汚染される前に採取されてから今までずっと眠っていたのに。
 ずっと種のままだったけど、ちゃんと生きていたんだ。」

あまり感情をストレートに表さない古代が、心底から喜んでいる。
その姿に雪は嬉しさを感じていた。
ガミラスの遊星爆弾や太陽の核融合異常増進で失われた自然が、不安定ながらも蘇ってきていることに。
小さな命の力強い芽吹きを目の当たりにしたことに。
それを喜ぶ古代の姿を見ることができたことに。

「花が咲くまでどれくらいかかるのかしら?」

雪が尋ねるのに古代が答える。

「早くて5年ぐらい。もっとかかるかもしれない。
 もっと成長したら、地面に植え替えてあげないとね。
 花が咲くのが楽しみだなあ。」

古代の言葉が未来を語る。
病を得てから、塞ぎがちだった古代が数年後の未来を語った。
その言葉に雪の胸にはこみ上げるものがあった。

「ええ、あなたと一緒にこの桜の花を見たいわ。」
「僕もだよ。雪。
 5年後になるか10年後になるか判らないけれど、一緒に見よう。」


小さな芽吹きは二人に確かに春の訪れを感じていた。
そして、二人の未来も共に。


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あとがき。

完結篇後。オリジナル設定です。美雪ちゃんはいません。
植物の種子は科学局あたりで管理されていそうなのですけど、深い突っ込みは無しにして。
案外と人懐っこい古代くん。個人で桜の種子を保存していた人から分けてもらっちゃったよ。ってことで。

桜って、新しい始まりを連想すると共に、再生というイメージもあります。
ハイパー放射ミサイルの影響で病を得てしまった古代くん。
病がいつか癒えて、また立ち上がってくれることでしょう。

このお話は、震災後に自分の心の平衡感覚を取り戻そうとして書いたものです。
先にも書いたように、桜には再生というイメージを持っています。
被災地が復興し、日本がまた元気を取り戻せますように。と、願っています。

2011-04-02 12:07:20 | GM_SS
風に吹かれ、淡い色の花弁がハラハラと散る。

「まるで…雪のようですね」

緑の髪の奥の青い瞳が細められる。
その傍らで鳶色の瞳が柔らかく微笑む。

「さくらふぶき って言うんだよ。」

「サクラ…フブキ?」

「そう。
 桜の花の散る光景を、雪が降る様子に例えているんだ。」

「…本当に雪のようですね。」

ロゼの呟きにタケルがそっと頷く。

「俺は…」

タケルの声音が少し深い色を帯びる。

「…雪はあまり好きじゃないんだ。」

その声にロゼがタケルを振り向く。

「雪は…哀しい…」


刹那。
ロゼの脳裏に一瞬よぎる光景。

雪の中に倒れていく緋色の外套をまとった女性が。
白い大地で碧い瞳を閉じていく緑の髪の少年。


「ごめんなさい。私…。」
「…俺の方こそすまない。君に思念が流れ込んでしまった…。」

瞳を伏せてしまったロゼを宥めるように、タケルが寄り添う。

「でも。
 今は俺は一人じゃない。」

伏せられたロゼの瞳が瞬き、タケルを見つめる。

「俺にはいつも傍にいてくれる人がいるから」

そう言ったタケルの視線がロゼから離れ、眩しい光を見るように細められる。

「君と…桜を見られて良かった。
 春を迎えられて良かった。」

穏やかなタケルの声に、ロゼが小さく頷いた。


「タケルさーん!」

桜吹雪の向こう側から声がかかる。

「タケルっ!遅えーよ!早く来いって!」
「そうそう、タケルとロゼが居なくっちゃ。今日の主賓なんですもの。」
「小母さんの弁当、旨そうだよー♪」

仲間達の声がタケルとロゼを招く。

その声に、2人は顔を見合わせクスリと笑った。

「すぐ行く!」

タケルの声が青空に届くように爽やかに響いた。


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あとがき。

桜吹雪の中に立つ、タケルとロゼ。
すっごく久しぶりに地球に帰って来たら、桜の時期だったと。

雪を思うと切なくなってしまうタケルですが。
今はもう大丈夫。
ロゼがいますもんね。

このお話は、震災後に自分の心の平衡感覚を取り戻そうとして書いたものです。
今年は桜を愛でる余裕が無い方達も多いでしょう。
そんな方々も、いつか、桜を愛でる時が来ますように。と、願ってやみません。