今日も地球は周ってる

管理人の趣味や日々のことを徒然に。宇宙戦艦ヤマト好きーが現在進行形。時々、六神合体ゴッドマーズ。ALの右オタも兼務

「僕のいた時間」 #11 再生

2014-03-21 16:01:05 | 春馬さん

「恵へ
  私のとなりには誰がいますか?
             恵より」
「拓人へ
  今を生きていますか?
            拓人より」


このメッセージが入ったシャンパンの瓶を膝に乗せ、拓人は冷たい雨が降る街を行く宛てもなく彷徨っていた。

「死にたい訳じゃない。生きるのが怖いんだ」

死にたくない、でも、自分の意思を表示できずに生きるとはどういう意味を持つのか。
拓人は自問自答を繰り返してるうちに、自分の存在が判らなくなってしまったのだと思う。
無意識のうちに、「自分の居場所」である自宅を出てしまった。
(着替えは誰がさせたとか、瓶を持たせたのは誰なのかと言う野暮な突っ込みはこの際ナシでw)

「今」を生きる事に一生懸命だった拓人だが、「今の先にあるもの」と直面してしまい自暴自棄になってしまったのかもしれない。

雨に打たれながら、心ここに非ずの拓人が工事現場にさしかかる。
出てきたトラックを辛うじて避けたものの、電動車椅子が道端の段差に乗り上げ転倒してしまう。
車椅子から投げ出され、倒れて身動きが出来なくなる拓人。
その傍らにはメッセージの入った瓶が…。

救急車の中で拓人は保温毛布と毛布をかけられている。
冷たい雨に打たれ、低体温状態になってしまったのだろう。
そして酸素マスク。
救急隊員の呼びかけに、薄らと目を開いた拓人は
「助けて…死にたくない…」
と、呟いてまた意識が遠のいてしまった。

「澤田さん」
の声に目を開けた拓人の視界に映ったのは、主治医だった。
目を動かすと、反対側には家族と、親友の守、そしてメグ。
拓人は救急車に乗せられていたのは覚えていたが、それ以前は何をしていたのか覚えていないと言う。
主治医は
「大事には至りませんでした」
と、告げる。

家族達が帰りメグと2人になってから、拓人の食事が運ばれてきた。
茶碗一杯分の粥。
「食べられる?今は無理しなくても、後で…」
と、言うメグの言葉に拓人はしばし逡巡し…ぐぅとお腹が鳴る。
「食べる」
と言う。
メグがレンゲにすくった粥を一口で食べる拓人。


ここまでのシーンは、前話(10話)で、人工呼吸器をつけるかどうか、決断できないでいた拓人が意を決するまでを描いていると思います。
救急車の中でうわ言のように「助けて…死にたくない…」と言ったのは、拓人の本心だったのでしょう。
車椅子から転げ落ち、冷え切った身体、苦しくなる呼吸。
拓人にはそれが非常に恐ろしかったのだと思う。
救急車に乗る以前の事を覚えていないのは、どちらの覚悟も出来なかった自分はもういなくなった。
と、言う演出だと思います。

そして粥を食べるのは「生きる」と言う拓人の決意の表れだと。
自分の身体が生きたがっていると、拓人は思ったのでしょう。
あの時の拓人は、怯えも何もなく毅然とした表情をしていると思いました。


見舞にきた守と陽菜。
守は拓人が右腕をある程度自由に使える補助器具をセットしながら話す。
「こだわりのカフェを作りたいんだ。コーヒーカフェイン抜きとか、コーヒーぬるめストロー付きとか」
その言葉にハッとする拓人。
守の未来に自分の存在が関わっている。
マンションの隣の中学生のスミレもそうだった。
工学部に行って、自由に歩く為の歩行器具を作るのだと言っていた。
そこにも自分が関わっている。
拓人は、以前スミレから受けた学校の講演会の依頼を受けることに決める。


陸人はバイト先で同じ趣味の人と出会う。
嬉しさのあまり、赤飯を買ってくるが、自分の分しか買ってきていない事には気がつかない。
それでも、そんな陸人を微笑ましげに見守る拓人とメグ。
ゆっくりと、拓人も成長しているのだ。

メグはALSに必要とされる食事の栄養学を独力で学ぼうとしている。
弟は恐竜研究の為に入り直す大学の受験勉強に励む。
院長の父は、自分の病院を起点に、難病患者の診療などを地域連携で補助する試みを始めた。
守は自分の店を持つ為に勉強を始める。
陽菜のお腹には新しい命が宿る。
向井(シゲ先輩)は、子供達にサッカーを教えるようになっていた。

自分と関わり、色々な思いをした人達が新しい道に向かって歩き始めている。
それを知った拓人は嬉しくて、そして満たされた気持ちになったに違いない。
夜、眠っている筈の拓人の小さな声に起きたメグの見たのは…
眠りながら微笑んでいる拓人だった。

公園で拓人は一人佇んでいた。
池から飛び立つ水鳥が水を蹴る音。
芝生に咲く水仙の花。
鮮やかな黄色の菜の花に寄ってくる蜂の羽音。
咲きほころぶ梅の花の香り。
羽ばたく鳥達の鳴き声や羽音。
木々の葉ずれの音。
そして、陽射しの温もり。
身体が動かなくなっても、声が出せなくなっても、自分はこういうものに囲まれて生きて、生かされる。
そして、周囲の人達の温もりや助け、前を向いていく気持ちにも。

拓人は講演会で、自分の本心を曝け出した。
それは中学生達に聞かせると言うよりも、まるで、自分の過去を再確認するようでもあった。
少しずつ奪われる身体の自由。
失う度に増える目標。
自分は何のために生まれてきたのか。
これから自分に何が出来るのか。
そして、拓人は覚悟を決めた。
「生きる」覚悟を。
それは「僕のいた時間」の全てが、これからの自分の生きる道を支えてくれると。


人工呼吸器をつけた拓人はもう、顔の一部しか動かすことが出来なかった。
医師に紹介された機械を通し、呼吸器を装着する前に予め録音しておいた自分の声でメグと会話をする。
それは、人工呼吸器を付ける前と大して変わらない日常だった。

人工呼吸器を装着する前に新たなメッセージを入れたシャンパンボトルを埋めてから三年。
拓人とメグは、あの海岸に再度来ていた。
瓶を掘りだすメグ。
2人が書いたメッセージは…

「拓人へ
  私のとなりにいてくれてありがとう
               恵より」
「メグへ
  オレのとなりにいてくれてありがとう
               拓人より」

*******************************************************

最終回は最初っから涙腺崩壊してました。

「ほら泣け、泣けるだろww」
と言われてるような気がするぐらいに(苦笑)

細かな台詞や仕草の全てが拓人の最後の覚悟に繋がってるんですもん。
もう気が抜けないったらありゃしない。
でも、入院時に拓人がお粥を食べたシーンで
「拓人は人工呼吸器を装着するな」
と、はっきり判りました。
保さんはミキサー食を拒否し、人工呼吸器を装着しない生き方を選びました。
拓人はお粥を食べた。それは保さんと違う道を選んだ事を示していると思ったんです。
今までのストーリーの全てがこの最終回への伏線だったのだと思うと、本当にすごく緻密に練られたドラマだと再確認しました。

陸ちゃんも良いキャラに育ちましたねー(笑)
でも、人のスマホをいきなり取り上げちゃダメでしょーがww
講演会の「あと15秒」とかw
もう、本当に良いキャラだわー(笑)
でも身近にいたら蹴り入れると思うけど(苦笑)

兄弟のお父さんも、最初はすっごく冷たそうで、世間体しか考えていなかったのに、
難病患者の地域連携や補助の提案をするなど、拓人がいたからこそ本来の医師と言う目的を見いだしたのかも。

お母さんは拓人の頭や頬をワシャワシャと子供のように撫でまくって褒めてあげて。
ずっと忘れていた母親としての気持ちを素直に表してたなあって。

マモちゃんと陽菜ちゃんは「こだわり」の店を持つ為に頑張ってる。
赤ちゃんも授かるし。

シゲ先輩も、すっかり吹っ切っていて、まさか子供達のサッカーのコーチするなんて。

家具屋のバイト先輩は社員になっていて、障がい者雇用のチームリーダーしてるし。

スミレちゃんも、目標を見つけた。

一見普通に見えてたけど、それぞれ問題を色々抱えていた。
それが、拓人がALSを発症した事がきっかけで、自分達を見詰め直す事になり、ひいては将来を考える事に。
拓人のALSは話の軸として大切。
それを踏まえた上で、拓人の周囲の人達が新しく出発するきっかけとなった。

このドラマは一人のALSという難病に侵された青年を描きつつ、その周囲の人々の再生を描いた
群像劇であり
ヒューマンドラマでもある
ものだと思っています。

基本的にTVドラマって嘘丸出しの綺麗事や、過激な言動などでつまらない物ばかりでした。私にとって。
だから、ドラマはろくに見た事がありません。時代劇や大河ドラマなどを気が向くとかいつまんで見ていた程度。
そんな私が1話から最終話まで、常にリアルタイムで視聴してなお且つ録画までしたドラマ。
リアルを描いたフィクションとして、非常に素晴らしい出来栄えだったと思います。

三浦春馬さんは、去年のラスシン辺りで何故か突然ハマってファンになってしまったのです(苦笑)
ハマった理由はここではちょっと書きかねますけど(苦笑)←ヲタ過ぎて書けないww
ラスシンでも「芝居が上手いなあ」と思っていましたけど、「僕いた」では彼の役者根性をガッツリ見させて貰いました。
10話から最終話でその辺りが本当によく判ります。
例えば、声。
10話の前半はまだ普通に話しているのですが、それが次第に力無い声になっていき、やがて抑揚もなくなります。
講演会の頃には声のトーンも落ちています。
再び瓶を埋めに行く頃には抑揚も無くなって、もう呼吸筋も声帯を動かす筋力さえも落ちていることが判ります。

撮影はバラバラなのに、計算して演技しているのだから凄い。
前後の繋がりを細かくチェックして、きちんと合わせているんですよね。
舞台のように一気に数時間で演じるのならば、気持ちのテンションや力の入れ具合抜き具合も調節しやすいですが、
ドラマのように、放映順でなくバラバラに撮影していく中でそのテンションや演技の調節をつじつまが合うようにしている。
プロだから当たり前とは言え、最近はプロの俳優と呼べる若手が少なくなってきているので、尚更、彼のプロ根性がハッキリと見て取れます。
(ジャニがドラマに出てても、彼らの事は私は俳優と看做してないですから。岡田准一氏を除いて)

マモちゃんの風間さんはジャニーズでありながら、俳優一本でやってきている稀有な人。
17歳の時には「遊☆戯☆王」で武藤遊戯を演じていました。
私は彼の事を新人の声優だと、つい先日まで疑っていませんでしたw
と、いうかマモちゃんの中の人が遊戯の中の人だと知ったのがつい先日だったと言うww

陸ちゃんの野村くん。陸人を演じた事できっと彼の存在感は、俳優界の中で増したと思います。
視聴者が「本当に嫌な奴」と言うぐらい、嫌な陸人を演じてましたもの。
私も最初の頃の陸人は本当に嫌いでしたw

斎藤工さんは、実写版ヤマトに出演してらしたので名前は知っていました。
「あ、山本の人だ!」てのがキャストを見て最初に思った事w
あの時は芝居らしい芝居もあまり無くて、敬礼して散っていきました…
惜しい。
しかしまあ、この方もいい役者になってらして♪
嫌味な感じも、最終話の爽やかさもピッタリハマる。自分を出さないと仰ってるだけに、上手いです。

多部ちゃんは、もう言わずもがな(笑)
CMでも一緒だし、この2人がいるのはごく自然な雰囲気。
見ていて違和感が全くないカップルでしたね♪

主治医の先生は、今の大河で天皇をやってらしたと言うww
そのギャップに大爆笑。
飄々としていても、常に冷静な医師を何とも上手く演じていらっしゃった。
「はい」の一言。足をポンと叩く仕草一つ。
どれを取っても無駄が無く、効果的。

小市さん。実は私とあまり年齢が変わらないそうでビックリしました(苦笑)
良い感じで老け役をやられましたねえ。
講演会で一筋涙を流した演技が印象に残りました。

原田美枝子さんと浅田美代子さんは言うに及ばず。
同年代のお二人が本当に対照的な、でも、それぞれらしい母親を演じていらっしゃいました。

陽菜ちゃんは、モデルさんなんだそうですね。
でもサラリとした自然な演技には無理感がなくて好感が持てました。
これから頑張ってくれるかな?
エドが好きというのはご本人の趣味だとか(笑)


脚本の橋部敦子さん。
実は同い年だと判りました(苦笑)
だから、台詞や色々な点で何もかもがストンと腑に落ちるわけだ。と。
同じ時代に育ち、同じような音楽を聴き、番組を見てきたから判る、同世代の見えない繋がり。
そんなものを感じました。
橋部さんの脚本は無駄が無く、台詞の一つ一つが思わぬ伏線だったりするのが、
私達世代が子供の頃に良く観たドラマやアニメの脚本を手掛けた藤川桂介氏に似ていると感じました。
藤川脚本、好き世代なんです、私。

そして制作スタッフの皆様、
日本ALS協会の皆様、
素晴らしい作品をありがとうございました。

TV嫌いだった私をここまで夢中にさせた初めてのドラマです。

本当にありがとうございました。

メモ 春馬さん、雑誌登場時はダーーーーッと出るので、困る♡

2014-03-19 15:30:26 | 春馬さん
ああ、金欠が 4/7
CREA 4/9
週刊女性  4/9
女性自身  4/12
FRAU   4/15
YOU RARER フリーペーパー 4/16
週刊朝日 4/19
BARFOUT! 4/20
non-no  4/24
月刊ザテレビジョン 4/16
BARFOUT! 4/20
+act mini 5/1
Audition 5/8
anan 5/10
Gainer  5/21

「助けて」

2014-03-12 23:17:38 | 春馬さん
9話の感想が書けてないままですが。


最終回の予告の最後。
拓人がつぶやく
「たすけて」
は、

"死にたくない"
と、言う思いからなのか
"生きることから解放されたい"
と、言う思いからなのか。

とても、重い一言。


来週もしっかり見ます。

「僕のいた時間」 #08話 認める

2014-02-27 22:49:02 | 春馬さん
この記事を書こうと、録画を見直してるだけで泣けてくるやないですか(T_T)


もう、右手で手摺りを掴めなくて、
体重を預けるしかできなくなっている拓人


でも、やっぱり病気は静かに進んでいて



自分一人では排泄もできなくなってしまった。

それを認めて受け入れなければ、この先には進めない。

会社を辞める決意をして、店長に話すも、先輩バイトの宮下さんに
「在宅で出来ますよね」
「車椅子を運ぶ手間も省けるし」
と、笑って言われ、皆も笑って頷く。
拓人は店にとって大切な存在だと認められている。
そして、無理をして通勤しなくても良いのだよと、皆も認めていてくれる。


メグに再び会った時、メグは拓人が必死に隠して抑えてきた事全てを言い当てた。
「図星でしょ」

メグは保の介護で解っている。ALS患者がどう生きているかを。
「そんな綺麗事を言って、生きているって言えるの?」
一人では様々な事が難しくなっている事を痛いほど解っている拓人には、メグに言い返す事は出来なかった。
「帰れよ!二度と来るな!!」

メグに言われた事を認めたくなかったから。
でも、泣きたいのに。顔を手で覆って泣きたいのに、右手を顔まで上げる事もできない。

泣けない拓人は、その想いを叫ぶしかなかった。


弟の陸人が母に
「僕の人生から出て行って下さい」
と、言った。
それは、自分の人生は自分の物だと、人に強制される物では無いと認識したから。
自分は自分だと認める事が出来たから。

母の言いなりだった弟が、自分が母とは別の存在だと言う事を母に認めてもらおうとしている。

拓人も思わず母に言ってしまう。
「唐揚げが好きなのは俺だよ」
「一人の夜は怖くてどうしようもなかった」
「どうして見てくれなかったの?」


そして、母もまた認められようと必死だったのだった。
母に褒めて貰える陸人を羨ましいと思いながら育ってきた拓人には、
まだ、母の葛藤を知る事は出来なかったんだね。
母に言いたかった事をぶつけたことで、母は拓人の存在や気持ちを認めてくれた。
そして拓人は、母もまた一人の人間で女性である事を認めた。




兄弟のわだかまり、母子の確執がようやく消えて、拓人は小さいけれど、親子の幸せを手に入れる事が出来た。
母も息子達の本当の気持ちをやっと理解して認める事が出来た。
そして、自分が何に囚われていて、何が見えていなかったのかを認める事が出来た。

大事な息子達のそれぞれの好物を作る母の姿はとても嬉しそうで、その姿を見ているだけで拓人の頬は自然とほころんでしまう。



そしてやっと、拓人はずっと抑えて押し殺していた自分の気持ちを認めた。
「俺のそばに居てください」

その言葉は、メグに受け入れられて。

拓人は、同じ高さの視線で共に前を見て行ける人を得た。



この最後の拓人が瞳がうるうるキラキラで、もう、何と言っていいのか、
全てを受け入れて、断られても構わない。
でも、自分の気持ちを、本当の想いをメグに認めて欲しい。
それだけでも良いんだ。
そんな潔さにも似た、まっすぐな想いを感じられました。

来週は話がまた動いて、一挙に進む感じです。
また一週間が早いんだろうなあ。
「僕のいた時間」が始まってから、本当にあっと言う間に一週間が過ぎてしまう。
画像をキャプチャして、ブログを書いて、前回の内容を思い返して、スタッフブログを読んだりしていると、
本当にあっと言う間。

TV嫌いの私がこんなに熱くドラマについて語る事になるなんて、思ってもみませんでした。
最近は見るアニメだって少ないのにね(苦笑)

「僕のいた時間」
視聴率は今一揮わないけど、見た人の心に強く訴える物がある、本当に良作だと思います。
正直な話、民放のドラマでこんなに泣いてる作品は初めて。
そもそも民放のドラマってほとんど見ないから(苦笑)
最近、一番見たのが「ラスト・シンデレラ」だったって言うぐらい(苦笑)
その間に見て良かったと思ったのが某公共放送の「アテルイ伝」ですかね。
「軍師・官兵衛」も嫌いじゃないけど、よく見忘れるw
次の大河はヒロインの夫役が大沢たかおなので、多分、見る(笑)
1年通して見るのって、結構大変なんだもの(苦笑)

持病を持っていると、「出来ない自分」を自分で認めないと辛い思いをするばかりなんだよね。
生まれつきでもそうなのに、ずっと健康でいた人が治らない病を得たら、それは辛くて、そんな自分を認めるのが嫌で自暴自棄になっても当たり前だと思うんだ。
でも、あがいてももがいても、なってしまった物は仕方無いと思うんだ。
治せる見込みがあるなら、そちらに向かって進めばいい。
治療方法が無くても、症状を遅らせられるなら、その方法を選べばいい。
自分が病気であると認められるかどうかで、予後は大きく変わると思う。
だから、辛くても認めよう。
苦しんで、のたうちまわって、泣いて叫んでも良いから。
そうやって、前に進んでいくのが人間らしいと思う。

「僕のいた時間」 #07話 透明感

2014-02-24 01:28:31 | 春馬さん
7話は、物語としては、拓人とメグが一瞬、昔に戻ってしまった。
と言う程度。

でも、それでもメグにとってはとても大きな出来事だった。
メグは何故か、拓人のほんの僅かな表情の違いで、拓人の本音が解ってしまう。
それは元からではないだろう。
もしそうだったら、拓人が別れを切り出した時にも解っていたはずだから。
介護士として色々な人に接するうちに、メグはほんの僅かな表情の違いで、人の気持ちが解るようになってた。
だから、拓人が言っている事が本当なのか嘘なのか解ってしまう。

それって、本人に本音を聞かされるよりも辛いよね。
知られたくなくてついてる嘘も見抜けちゃうんだから。
今の時点では、拓人よりメグが辛いのかもね。



最近、ふとした拓人の表情がとても透き通っているように見える事がある。



柔らかな陽射しの中に融けてしまいそう。



メグに抱きしめられたまま、そのまま消えてしまうのではないか。





なんて言うのだろう。
儚いとも違う。薄いのでもない。

透明感。

拓人が「今を生きる」と思うほど現れてくる透明感。
「死にたくない」でなく「きちんと生きる」と言う想いが純粋で、
それが拓人の透明感に繋がっているのだと思う。

某新聞のインタビューでは「陶器のような」と、評された顔立ち。
それはきっと陶器の中でも「陶磁器」なのだろう。
白磁のような滑らかさ、白さ、透明感。
きっと彼はそういうものを纏っていたのだと思う。
今の春馬さんは春馬さんだけど、拓人が憑依している。
そんな感じなのだと思う。

透明感=Pureだとは思わない。
Pureとは純粋ということであり、それは透明感とイコールではないから。

今、こういう透明感を醸し出せる俳優はどれほどいるのだろう。
若いから透明感が出せると言うものでもないと思う。
歳を重ねていても、そういう雰囲気を纏える人は居るはずだ。
恐らく、稀であろうけど。

時にドキュメンタリーかと思わせるようなリアルな演技を見せ、
時に現実離れな透明感を見せる役者。

三浦春馬は本当に不思議な存在である。
私が今まで好きになった俳優とタイプが全く違う。
それだけに、彼にはまだまだ未知数の魅力があるのだろう。

ふっと消えそうな透明感を持つ役を演じた後、彼はどのような役を演じるのか、非常に楽しみである。

「僕のいた時間」 #06話 生きること

2014-02-14 14:11:33 | 春馬さん
※PCリカバリーで、幾つかソフトが行方不明になってしまった為、TV画像の切り出しができませんでした。
今回はテキストのみになります。
後日、ソフト入手次第、画像を追加いたします。


今回は陸人フィーチャリング回でしたね。
陸人は陸人で、子供の頃から悩みを抱えて生きてた訳で…。
それはそれで苦しくて辛かったろうと思います。
でも、病気で動けなくなっていくのに笑顔の絶えない兄と、
兄をサポートし、いつも一緒にいる守を見て、やっと気がついたのでしょうね。

そして、兄弟は本音で話してもいい、だけど他人とはダメだ。
と、陸人は学んだのでしょう。

きっと初めて聞いたのでしょう、陸人の「ごめん」と、言う言葉。
一瞬とまどったものの、拓人はそれに笑顔で返し、そして陸人も笑顔になって。
やっと兄弟の間のわだかまりが融けたようですね。

もし、拓人が病気にならなかったら、陸人は何にも気づくことが出来ず、
引き籠ったまま、外に出られなくなっていたことでしょう。


沢田家の両親は、子供の事を心配してないのではないけれど、とても不器用で、
そして、臆病なだけだったんですね。
院長として忙しいはずの父親が、あれだけの論文を読みこなし、丁寧に付箋を貼って主治医に出すとか、
主治医がその専門分野での第一人者であるのは判っていても、父親として自分がしたことを知って欲しかったのでしょう。
本当に不器用だけど(苦笑)

愛の形は様々で、拓人と陸人の両親のように、偏った行動でしか示せない人もいる。
逆に守のように以前と変わりなく寄り添ってくれる人もいる。
「ノートが欲しい」と言う拓人に「今なら書けるもんな」と言う守
彼らは確実に「今」を生きている。
未来は考えたところでどうにもなるものじゃない。って判ってる。
だから「今」出来ることを考える。

それは拓人の職場でも同じ。
症状に合わせ、新しい仕事を用意してくれる。
そして新しい仕事を覚える。
それは悲しいことじゃなくて、嬉しいこと。
もしかしたら知らずにいたことを知ることが出来る。
「今」出来る事をやらせてもらえる。
職場の仲間だという事を感じさせてくれる。
これは障害者雇用の事を考えても、非常に興味深い話でした。
私が過去に居た職場に、事故で両膝から下部を失った若者が配属されました。
車いすで自由自在に動き回り、若すぎてちょっとヤンチャで、
始めの内は無断欠勤もあったけど(苦笑)、いつの間にかすっかり落ち着いて、
今では役職付になったとか。
飲み会や出張などで車椅子では困難な場面では必ず同行者の誰かが手助けし、
一人で行ける場所には一人で出張などしていたようです。
だから、拓人の職場のシーンは見ていて安心しました。


そして、出会ってしまった拓人とメグ。
向いあった二人。
拓人ばかりが喋って、メグは一言も発しなかった。
拓人は嘘をついて別れを切り出した経緯があるから、謝りたいけど、
謝ってしまったらメグを更に傷つけるから謝れない。
メグはあの時の拓人の「重い」という意味を取り違えていた事に気がついたのかもしれない。
動かなかった左手、そしてALSに侵されている現在。
もし、あの時もう少し踏み込めば、今、自分は拓人の車椅子を押していたのかもしれない。
と、言う気持ち。
拓人の言った「重い」はメグの事ではなく、病気の事だったのだと…。
後悔してもしきれない自分のとった行動。

新居を掃除しながら零れた涙は、自分の愚かさに涙したのか、
拓人の、別れてからの気持ちを慮って涙したのか、
それとも繁之とのことを考えて涙したのか。
これは、来週にわかりそうですね。

「会わなきゃいけない人には、絶対に会えるんじゃない?」

拓人とメグの事を暗に示しているセリフだけど、それだけじゃないのじゃないかな。
拓人の周りに居る人は、誰もが拓人に会わなきゃいけない人ばかりだった。
そうとも受け取れる。
そして、拓人は会った人たちの心に、我知らず、小さな種を植えていく。
拓人にも種はあある。
互いに出会うことで種が芽吹き、若木に育ち…
それが、あのアニメーションなのかな?って。

折り返し点に来ても新しいドラマが生まれていきます。
本当に目を離すことができない「僕のいた時間」です。

「僕のいた時間」 #05話 周囲の人と共に

2014-02-06 15:49:05 | 春馬さん
向井(シゲ先輩)に病気の事を知られてしまった拓人。
もう、隠し通す事は無理だと悟ったのか、親友である守に打ち明ける。



ディスプレイの書かれた言葉を食い入るように読む守。



そして愕然とする。
「(治らないどころか、この先には死しか無い)」
とっさに
「メグミちゃんには話したの?」
と、問うが、拓人は「絶対に言わないでくれ」と、言うだけだった。



毎朝、向井とウォーキングすることになったメグは、母に色々と突っ込まれるが、拓人と別れた事を話す。
2人が別れる直前、拓人と一緒に食事をした自分が何かやってしまったのかと気にするメグの母。
だが、そこに答えは出てこない。
メグの気持ちは、まだ拓人に向いたままだった。



職場で、左足が突然思うように動かなくなる。
何でも無いと言うふうに振舞うが、先輩アルバイトに訝しげに思われる。



左手、左足と、少しづつ自由を奪われていく拓人。
次は何処の自由が奪われるのかが不安になる。



そんな不安を抱え帰宅すると、マンションには母が来ていた。
しかし、拓人に「大丈夫?」と問うたのは、拓人の事でなく、大学を休んでいる陸人の事だった。



大学へ行かず、博物館で恐竜を見ていたと言う陸人。
メグに言われた「友達失くしちゃうよ」の一言がトゲのように刺さって、
自分を振り返った時、友達と呼べる人が居ない事に気が付いてしまったのだろうか。



翌朝、朝食を終えた陸人は「大学に行く」と言って家を出る。
陸人を見送った母は拓人に言う。
「ちゃんと見ててあげて」
その言葉に思わず拓人は
「母さんはちゃんと見てるの?」
と。
陸人の心も、拓人の病気の事も何も見えていないのじゃないかと母を責めてしまう。















この映像って素晴らしいですね。
拓人が流した涙が落ちた場所に美しい色彩が広がる。
そこから芽生えた一つの芽。
高く、枝を伸ばし一本の樹になる。
青々とした葉が繁り、それはやがて枯れ、そして落ちていく。
しかし、その後に淡い桃色の花が咲き乱れる。

それは、拓人の生き様と、拓人を取り巻く人々を表現しているようで。
拓人は悲しくて、絶望して涙を流す。
でも、その涙が何かに触れた時、絶望は祈りと想いに変わる。
「生きる」と言う祈りにも似た想いは今を必死に生きて、青々とした葉を茂らせるまでに育つ。
充分に生きた!
その充足感を得て、拓人は「死」に向かう。
葉が枯れ落ち、もう死んでしまったと誰もが思った樹に美しい花が咲き乱れる。
拓人が残した想いは、人々の中で美しい花となって開花し、昇華する。

これらの映像を見て、私が勝手に思ったイメージです。
「拓人のいた時間」は、いつか周囲の人々の中で昇華され、心の中に共にあり続けるのだと。



陽菜と守が、いい雰囲気に。
見た目で判断されて、自分の気持ちを素直に言えない陽菜が、本心を打ち明けられると思ったのが守。
守になら、本当の自分を知って欲しい。
陽菜の心が優しくほぐれた瞬間。




拓人の病気は更に進行し、左足が思うようにならなくなってきた。
自転車に乗ろうとしてもペダルに足を乗せる事が出来ない。



苛立つ拓人は、思わず自転車を地面に叩きつける。



病状が悪化する中、拓人は周囲の人々に理解して貰いたいと、自分の病気を告白することに決めた。









職場で、自分の病気を打ち明け、病気について自分が書いた資料を渡す。
それを読む同僚たちの顔つきが変わっていく。
自分は突き放されるのか、不安な拓人。
しかし、それは同僚達も同じだった。
理解はしても、どこまで、どのように接したらいいのか判らない。
突き放される事は無かったが、過剰な新設に戸惑う拓人。

そんな時、守が一緒に食事をしようと言う。
拓人の様子を心配しつつも、いつも通りに振舞う守に、拓人は安堵する。



そこで守が話したのは陽菜との事だった。
2人の様子を聞いた拓人は、驚くやら面白いやら。
自分の病気の事を忘れたかのように目を輝かせて守をからかう。





拓人の部屋を辞する守に、「捨ててくれ」と、メグとの揃いのマグカップを渡す。
もう、メグとの想い出に縋るのは止めて、新たに生き直そうという、拓人の想いなのか。




前回の診察で医師に言われた「ALSと共に生きるコツ」を、拓人は医師に尋ねる。
しかし、医師は「教えなーい♪」と、笑いながら拓人に返す。
それは自分自身が病気と闘う中で見つけなければならない物なのだろうか。




陸人と母と共に食事をしていると、陸人に見合いの話があったと嬉しそうに話す母。
当の陸人は面倒臭そうに「まだ早いよ」と呟く。
将来の話に加われない拓人。
食後、寛いでいた母が「そろそろ休むわ」と立ち上がった所で、思い切って母を呼び止める拓人。



「肩、揉んであげる」
と、言う拓人に怪訝そうな母だったが、陸人の「いいじゃん、揉んでもらいなよ」の一言に、ソファに座る。
陸人は何かを感じたのか、TVを消すとリビングから姿を消した。



「もう、揉んであげられないかもしれないから」
と、病気の話を切り出す拓人。
その言葉に怪訝そうな母。



拓人は母の肩を右手だけで揉みながら、自分の病気の事を静かに話し始めた。
筋肉が力を失って、少しづつ動けなくなっていくこと。
いつか話せなくなってしまう事。
そして呼吸も出来なくなってしまう事。
淡々と、拓人は話す。



母はその言葉に思わず拓人の左手に触れる。
拓人の言っている事は本当なのか?
まさか。



堪らずに立ち上がって拓人の左手を取り、壊れ物を触るように触れる母。



あまりの事に気が動転して、「お父さんに話さなきゃ!」「その医者が間違ってるかもしれない!」
今まで陸人の事しか気にしていなかった母が、自分の事で気が動転してしまっている。





リビングのただならぬ雰囲気に陸人が出てきて息を呑む。

拓人は、母親にやっと本当の事が話せた事に安堵し、そして、告げてしまった悲しみに涙を流す。





メグはあの海岸に1人で来ていた。
拓人と一緒に埋めた瓶を探しに。
だけど、探しても探しても見つからない。
そう、もうどれだけ探しても、過去を振り返っても、隣に居た拓人は居ないのだ。
メグは拓人に最後になるであろう電話をかけた。



電話からメグを消す事が出来なかった拓人。



少し電話を見つめてからボタンを押した。



メグは何処にいるとも知れない拓人に向かって話す。
「ちゃんと終わりにしたかった」
と。
拓人もそれに頷く。
その拓人の視線の先には…



メグが浜辺に立っているのを、拓人は先に掘りだしておいたあの瓶と共に見つめる。
その日はあれから3年が経っていたのだった。

メグが立ち去るのを見て、拓人は満足げに空を仰いだ。





1人で瓶の中の手紙をそっと開く拓人。
『恵へ
  あなたのとなりには誰がいますか?
               恵より』
メグの隣には、もう自分は居ない。
今、メグの隣に居るのはきっと…。

向井はメグに交際を申し込む。
そして、拓人との気持ちにけじめをつけたメグは承諾する。
今、メグの隣に居るのは向井なのだ。




拓人は、自分が入れた手紙を開く。
だが、その手紙は…



何も書かれていなかった。
目的もなく、ただ生きているだけだったあの時の拓人には3年後の自分が想像出来なかった。
3年後に、拓人は自分の人生にタイムリミットを突き付けられていた。
メグと別れ、周囲の大切な人に打ち明け、残された人生を"生きる"覚悟をした拓人は、白紙だった手紙に書いた。

『拓人へ
   今を生きていますか?
         拓人より』

拓人の決意だった。


次回は、拓人がもう車椅子に乗っています。



あの決意をしてから何年経ったのでしょう。
陸人が心配げに拓人の様子を見ています。



そして、施設で出会ってしまう拓人とメグ。



メグと向井の結婚を知っていた拓人はメグに「おめでとう」と、微笑む。




ああ、冷静に、客観的に見ようと心掛けているのに、どうしても涙腺が緩みます。
殊に今回の5話は、母親に告白し始めた所から涙腺が崩壊してしまいました。

1人の青年の生きる姿と、彼の周囲の人々を淡々と描いているだけのドラマなのに、
どうして、こんなに心を揺さぶるのでしょう。
本当に素晴らしいドラマです。

「僕のいた時間」 #04話 "はなす"と言う事

2014-02-02 20:28:44 | 春馬さん
「愛している…言葉が世界を変える
 心の壁はやがて消えてくだろう」

家族を信じる事が出来ない拓人にとって、
恐らく家族以外で初めて心を預ける事が出来たのがメグだったのだろう。





だから
「大切な人ほど早くはなさなきゃいけない」
って、拓人は言ったのだろう。



もう、自分から離れていく人を見るのは耐えきれないから。

でも、「はなさなきゃいけない」と言う言葉。
医師は「話さなきゃいけない」と聞いて微笑んで肯いた。
でも、拓人は「離さなきゃいけない」と言っていた。

大切が人が自分から離れていくのはもう嫌だ。と。
だから自分から離すのだと。

でも、拓人には踏ん切りがつかない。
離れて行かれる怖さと、怖くて離れて欲しくない想いと。







キャンドルの炎を見ていても、思うのは自分の生命の灯のこと。
風に吹かれれば、ふっ…っと簡単に消えてしまう灯のような自分の生命。

「もし左手が治らなくても…」
「ずっと傍にいるよ」



メグは離れていかない。
でも、自分の左手の代わりをさせる訳にはいかない。
先が短い自分の為に、メグに自分の動かない身体の代わりをさせて、メグの時間を奪う訳にはいかない。
だったら。



大切だからかこそ遠ざけなくてはいけない。
そして、「傍にいる」と言ったメグに病気の事を知られてはならない。
知ってしまったら、メグは絶対に自分の傍から離れないから。

だから。
拓人にとってメグは「重い」存在になっていた。
愛の重みと、自分がメグの枷になる重み。
どちらも拓人には重すぎた。



別れを告げて、もう、これで良しと思った矢先に、思わぬ事で病気を知られてしまう。







よりによって、その人はALSの事を知っていた。
ああ、自分が必死になって作った壁は、不覚にも自分が穴を開けてしまった。
知られて、離れて行かれる恐怖。
「何か手伝えることは無いのか?」
その言葉すら、今の拓人には病気に向かって追い立てられるように聞こえるだけだった。

だから逃げたかった。
忘れたかった。
捨てたかった。

なのに、捨てる事が出来なかった。



メグには自分の口から言えたのに。
なのに、お揃いのマグを捨てる事が出来なかった。

メグを離しても、メグと居た事を捨てる事が出来なかった。



医者になろうと勉強している弟には気持ちが伝わらない。
今、一番自分の事を解って欲しい存在なのに。



父や母に解って貰えなくても、弟になら解って貰いたかったのに。

拓人の心の壁は、耐えきれずに崩れるのか、
それとも、拓人を思う人達が崩すのか。


このドラマは「ALS」と言う難病を軸に、
家族、恋人、友人、社会 それぞれと自分との関わり方を描いています。
病気を持っていなくてもうまく行かない事もある。
それをどのように再構築していくのか。
そんな人間ドラマだと思っています。

できるだけ客観的に見て、理解したいと思います。
自分の事は棚に上げちゃうけど(苦笑)

「僕のいた時間」 #03話

2014-01-25 15:53:15 | 春馬さん
1/22の夜に、03話を見終わってから、何て書こうかって一生懸命に考えた。
胸を締め付けられて、揺さぶられて、涙を零しそうになって、でも、堪えて見た03話。







告知と、それを受け入れきれず、誰にも言えず、独りで慟哭する拓人の姿は、
恐らくは、治療手段が無い病気を告知された誰かの物でもあるのだと思う。







子供の頃に母に作って貰った唐揚げ。
今、母は拓人の為には作らない。母に従順な弟、陸人の為にしか作らない。



その唐揚げを頬張り、拓人は母を想い「助けて」と呟く



ぼんやりとしか捉えていなかった「自分の死」と言うものが、
母親の唐揚げを食べた事で、厳然たる事実として迫ってきたのだろうか。
それとも、家族とも呼べない家族に救いを求めたのか。



この時、拓人は初めて「死の恐怖」を実感したのだと思う。




この回はBGMや効果音なども、本当に要所要所でしか使用せず、とても演出が凝っていました。
脚本の底力。
演出によるドラマの流れ。
演じる人によるそれぞれの人の表情。

本当に良く練られたドラマだと思います。

春馬さんの前回のドラマ「ラスト・シンデレラ」がコミカルタッチだっただけに、
「僕のいた時間」のシビアさが、かなりのインパクトを持ちます。
広斗と拓人。同じ俳優が演じているのか?と、思えるほどに。

「ラスト・シンデレラ」の時の春馬さんは、直前まで公演があった「五右衛門ロック」の影響か、
若干、演技が舞台っぽい部分も窺えました。
しかし、今回の「僕のいた時間」では、かなり抑え気味の演技。
ごく普通の、何処にでもいる若者という存在感。
それだけにポイントポイントで感情を露わにする演技がビシッと決まる。
相手役の多部さんも、ごく普通の若い女性を上手く演じていらっしゃいます。
先輩役の斉藤さんもこれまた、自分を出し過ぎず、良い芝居をなさっています。
マモちゃんもヒナちゃんも、陸人も。
今回は若い俳優陣がとても頑張っているのが好印象。

本当に良いドラマになっているなあって思います。
ただ、自分の感情がどこまでドラマに耐えられるのか…。が、問題(苦笑)
辛すぎて、見られなくなるかもしれない。
でも、最後まできっちりと見たいと思っています。

基本的にTV嫌いの私が、最初から最後までちゃんと見るつもりのドラマなんて、そうあるもんじゃありません。
春馬さんのけん引力が大きい事は確かですが、第1話を見た段階で「見るに耐える」と、手応えがあったのも事実。

役者さんはじめ、スタッフの皆さん。
寒くて辛い時期のロケが多くて大変かとは思いますが、
素晴らしいドラマを作り上げて下さい。
拓人がどのように生きていくのか、最後まで見つめていたいと思います。