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今日も地球は周ってる

管理人の趣味や日々のことを徒然に。宇宙戦艦ヤマト好きーが現在進行形。時々、六神合体ゴッドマーズ。ALの右オタも兼務

promessa-約束- in the future

2012-09-09 20:32:14 | GM_SS
ギシン星との戦いを終えた地球は、一時の安らぎを得た。
地球を守る為のシステム、各惑星基地が整えられ、地球防衛の最終ラインとして、宇宙ステーション・ケレスも建設された。

タケル達クラッシャー隊もベースをケレスへと移転した。
ケレスから眺める地球は漆黒の宇宙に輝くラピスラズリのように美しく、眺める者の心を捉えて離さない。

ミーティングを終えたクラッシャー隊のメンバーが、地球を臨むカフェテラスで一息いれていた時、そこへキャプテンのケンジがやって来た。

「タケル、済まないがちょっと来てくれ」
「タケル、何か仕出かしたのか?」

などとニヤニヤ冷やかすナオトとアキラに

「違うよ、…多分」

と、自信なさげに反論しながら、タケルはケンジの後をついて行った。

小さな、しかしセキュリティーのしっかりしたミーティングルームにタケルは連れて来られた。

「キャプテン…」

と、タケルが真剣な顔で口を開きかけたところでケンジがフッと微笑んだ。

「タケル、お前の新しい隊員カードが出来た。今日はそれを渡そうと思ってな」

ケンジの言葉にタケルが少し首を傾げ

「新しい、カード…ですか?」
「ああそうだ。今のカードをくれないか?」

ケンジが言うままにタケルは左腕のクラッシャー隊のマークの所からカードと呼ぶには小さなチップを取り出し、ケンジに渡した。
ケンジがチップをレコーダー機に入れると、モニターに表示されたのは、明神タケルと言う名と、隊員ナンバー、そして地球での両親である明神夫妻の名前のみで、他は全てUNKNOWNと表示されていた。
タケルは驚いてケンジの顔を見上げた。

「俺の隊員カードって、何も情報が入っていなかったんですか?」

普段隊員は自分のカード情報すら見ることは出来ない。
初めて自分のカードに自分の情報が一切記載されてないことをタケルは知った。

「ああ、正確な生年月日も生まれた場所も何も判っていなかったからな」

タケルの表情に影が差した。

「もしかして、俺は戸籍も…」
「ああ、戸籍も無かった。地球人と同じように成長するのかどうかも判らなかったからだそうだ」
「…」

タケルがグッと歯を食いしばったのがケンジにも判った。
赤ん坊の時から地球人として生きてきたのに、その証しが全くないと言われたのも同然だからだ。
そしてケンジは、ギシン星との戦いの中で、タケルが一番恐れているのが孤独だと気付いていた。
今、タケルはまた孤独感に襲われているのだろう。

「(あの戦いで、タケルが失ったモノはあまりにも多すぎたからな…)」

ケンジは一つ息を吐いて、隊員カードのチップを入れ替えた。
そしてモニターをタケルに向けた。

「タケル、これが新しいカードだ」

ケンジの声に、タケルの視線がモニターに落ちる。

「!?」

タケルの表情が一瞬の驚きの後、笑顔へと変わっていった。

「キャプテン…」

新しいカードには

NAME:TAKERU MYOUJIN/MARS of GISHIN
FATHER:TADASHI MYOUJIN/IDEA of GISHIN
MOTHER:SHIZUKO MYOUJIN/AIEDA of GSHIN
BROTHER:MARG of GISHIN

誕生日はギシン星暦を地球暦に変換した日付で、出生地は自宅のあった静岡とギシン星がそれぞれ併記されていた。

「キャプテン!」
「タケル、お前は正式に地球人として認められたんだ。
同時に本来のギシン星人としての情報も加味され、承認された」
「…」
「お前の戸籍も新しく作られた。
残念ながら明神夫妻の実子ではないから、お前だけの戸籍だ。
そして明神夫人との養子縁組もされている。
ギシン星の方でも、お前が実のご両親から引き離された時点で抹消されていたパーソナルIDが、元に戻されたそうだ」

ケンジの言葉に、タケルの瞳が嬉しさのあまりに揺れている。

「俺…やっと地に足が着いた気がします」

タケルの喜ぶ様にケンジも自然と微笑みが浮かぶ。

「良かったな、タケル」

ケンジが手を伸ばし、タケルの頭をクシャと撫でた。

「はい!有難うございます!」
「タケル、お前が地球人として地球の為に必死に戦った、その事への地球からの感謝だ。
 同時に生まれた星の事も忘れないで欲しいと言う願いもな」

ケンジが機器からチップを取り出し、タケルに手渡す。
それを両手でそっと受け取り、タケルはチップを制服の左腕に大事そうに収めた。

「用件は以上だ」

ケンジの声にタケルは椅子から立ち上がり、姿勢を正した。

「はいっ!明神タケル、失礼します!」

と、踵を返してタケルは部屋を出た。
ケンジはタケルの古いチップを手のひらに乗せて見つめた。

『飛鳥さん、約束ですよ!』

10年にもなろうとする、あの日の事を思い出す。

「(本当に一緒に宇宙に行けたな。苦しい戦いだったが)」

ケンジは小さく微笑むとチップを手にして部屋を出た。
このチップは最重要機密として処分される。
タケルの辛く苦しかった日々の記憶と共に。


**********************************************

あとがき
これ、携帯のメールでポチポチと書きました。
一晩で(爆)
実は先日のpromessa-約束-の続きになっていて、そっちも、携帯で一晩で書いたんですよねー(苦笑)

タケルが9歳の時のケンジとの約束は叶えられました。
自分の母星との戦いという、悲しい形ではありましたが。

本編でナオトがタケルの隊員カードを調べた下りがありますが、
ナオトでもかなりのハッキング能力があるってことですね。
そういうのはアキラの専門かと思っていましたが、やはりクラッシャー隊はエリートかと。

タケルが頭が良いというのは、イデアさんの息子と言う事でまあ文句無し。
ただ、兄さんと違って天然が入ってるのがタケルなのよねorz

でも、隊員カードがUNKNOWNしか書かれてなかったと知ったタケルはショックだったでしょうね。
自分の今までの誕生日だって嘘だったわけですから。

そんなわけで、タケルにきちんとした隊員カードを作ってあげたくて、この話を書きました。
ギシン星との戦いが終わった後というのが、一番タイミングが良さそうで、そうしたらケンジからタケルへ渡すという、2人の繋がりも書けますので。
あ、英語のofの使い方、これで合ってるのか判らないまま書いてます。
旅先での英会話なら、なんとかなっても、いざ文章にすると副詞だとか接続詞だとかなんだとか訳判らなくなっちゃいますんで。
間違ってたらこっそり教えて下さい(笑)

最近すっかりケンジ&タケルにハマっておりますw
いつまでこのブームが続くかは不明です。
書きかけのも幾つかあるんですが、暗かったり、Rがついたりwなので、しばらくは放置かな。

2本連続でアップしたので、ちょっとGMは一休みします。
(今日、ニュータイプエースを読んで、ヤマト2199が自分の中で高まってきたので)

携帯メールでSS書くの、結構便利かもしんない( ̄▽ ̄)

promessa-約束-

2012-09-06 15:15:41 | GM_SS
訓練が終わったケンジは、外の空気を吸おうと、いつものように抜け道と化しているメディカルエリアを通り抜けようとしていた。
メディカルエリアの特別診察室の前に差し掛かったら、長椅子に一人ポツンと座っている少年がいた。

「(此処は普通、VIPか重症患者しか来ないし、ましてや民間人が…)」

ケンジは何故か少年が気になって仕方がなくなった。
年頃は7~8歳だろうか。
半袖半ズボンからスラリとした白い肌が覗いている。
髪は明るい茶色で、体格と相まって日本人離れしている感じだ。
ケンジは吸い寄せられるように少年に近づき

「隣、座ってもいいかい?」

と口にしていた。

「(おれは岬に行くつもりだったのに、どうしちまったんだ)」

ケンジの声に顔を上げた少年は「どうぞ」と、にっこり微笑んだ。
薄い茶色の琥珀のような瞳。明るい茶色の髪は癖毛らしくあちらこちらに跳ねている。

「君、1人なのかい?ここは防衛軍の人間と特別許可証を持った人しか入れない場所だよ。迷子だったら…」

ケンジの言葉は少年の言葉で塞がれた。

「心配してくださって有難うございます。さっき僕の検診が終わって今は両親が先生と
お話ししているんです」

「検診?君がか?」

普通、ここでは民間人の検診などすることは無い。
何か特別な少年なのか?ケンジは好奇心を抑えられなくなって、思わず質問してしまった。

「君は日本人かい?何歳なんだい?どこか具合がわるいのかい?」

タケルは少し真面目な顔して、服の中に入れていたIDカードを出した。
それは基地の長官室にまで入れるほどの上級カードだ。
そのカードにケンジはかなり驚いた。

「(何故こんな少年が…)」

戸惑っているケンジをよそに、少年は自己紹介を始めた。

「僕は明神タケルと言います。9歳です。毎月、ここで検診を受けてます。検診の後はいつも先生と両親が長い話しをするので、僕はいつもここで待っているんです」

つられてケンジも自己紹介をしてしまった。

「俺は飛鳥ケンジ。この4月に入隊したばかりだ」

何故自分まで自己紹介しなきゃならないんだと思いつつも、つい話してしまう。

「じゃあ、僕の方が基地歴が長いですね(笑)だって、赤ちゃんの時から毎月来てますから」

タケルがニッコリと微笑む。
それにしても。とケンジは思った。9歳の少年が、こんなに折り目正しい言葉を話すものなのか?

「タケル君、学校は?」

タケルは驚きもせず普通に答える。

「僕は学校には行っていません。オンラインシステムの教育プログラムで、今は大学準備過程を受けていて、来月にはMIT入学です」

ケンジは目が点になった。
自分達とて15歳までに大学過程をクリアしていたが、この少年は9歳でMITに入学すると言う。

「タケル君、君は将来何になりたいんだい?」

呆気に取られてケンジは自分でも間抜けな質問をしたと思った。
しかしタケルは気にすること無くケンジの質問に答えた。

「僕、小さい頃から宇宙が大好きなんです。不思議だけど懐かしい感じがするんです。だから、宇宙飛行士になりたいんです」

タケルの言葉を聞いたケンジは思わず

「タケル君、俺と一緒に宇宙に行こう。きっと普通の宇宙飛行士よりももっと遠い宇宙にいけるぞ」

その言葉にタケルの瞳が輝いた。

「じゃあ、約束ですよ飛鳥さん!僕のこと、覚えていて下さいね!」

ガチャリとドアが開いた。
学者風の壮年の男性と、もの静かそうな女性が出てきた。

「待たせたなタケル、早く帰ってゆっくりしよう。検査は疲れただろう?」
「大丈夫だよお父さん。飛鳥さんが僕と色々お話ししてくれたから待っている時間が短く感じたぐらいだよ」

母親と思われる女性がケンジに声を掛ける。

「息子がお邪魔をしてしまったようで申し訳ありません。今後は飛鳥さんにも他の方にも、お邪魔にならないよう、言い聞かせておきます」

謝られたケンジの方が焦った。最初に声を掛けたのは自分だったのだから。

「じゃあ、失礼します」と、親子3人はケンジの前から立ち去って行った。

途中でタケルが振り向き

「飛鳥さん、約束だよ!」

と言うのに、ケンジも

「待ってるぞ!」

と返した。

ふと気づくと、次のカリキュラムが始まる時間が迫っていて、ケンジは慌てて研修室へと駆け出した。

タケルのような少年が、将来、自分とチームを組めるといいな。
ケンジはまるで未来を見るようにそう願った。





***************************************
あとがき

最近、某さまのところでケンジとタケルという2人に注目した二次創作を拝見して、ちょっと触発されて書いたものです。

タケルは発見された状況が状況なだけに、恐らく身体検査をこまめに受けていたと思うんです。
どのように成長するかも判らないだけに、学校に安易に通わせられず、オンラインで特殊な教育プログラムを受けると同時に、その知能や精神状態を調べられてもいたのではないかと。

MITっていうのは、特に意味はありませんが、世界で一番頭が良さそうな大学だと思っているので書いただけです(笑)
MITもアメリカに行くわけではなく、やはりオンライン上での受講ということになります。
監視という名目の為に。

子供の頃から大人に囲まれ、同じ年頃の少年たちと遊ぶ機会の無かったタケルですから、言葉づかいが折り目正しくなるのも自然だろうな…って。
そうじゃないと、静子や明神博士と会話するのにあの丁寧な言葉使いって…てなりますもん。
地球防衛軍に入って、初めて同年代の人間と生活を共にするようになって、やっと少し砕けた感じが出てきたんだろうなあって思います。

ほんの僅かの絆でも

2012-07-13 14:18:03 | GM_SS
今日の戦闘は、神経を非常に使った。
と、ケンジは1日を終え、自室に向かっていた。

「(何故、マーグはタケルを攻撃する?
 それにあの冷たい表情、タケルを見ても全く変わらなかった…。
 むしろ、タケルが動揺して苦しむのを愉しんでいるかのようだった。
 …一体、本当のマーグはどちらなんだ?)」

富士山麓で容赦の無いマーグの攻撃を受けたタケルは、マーグの変貌が理解できず、追い詰められ、身も心もズタズタに傷つけられてしまった。
今はメディカル・ルームの特別治療室で眠っている筈だ。

『母さん!どうして俺を本当に産んでくれなかったんだ!?』

眠らされる前の、タケルの悲鳴にも似た悲痛な叫びが耳に残る。
あれほど、「自分は地球人だ」と断言していたタケルが、自分の身体に流れるギシン星人の血を疎み、嘆き、育ての母親に詰め寄る。

ようやく出会えたたった一人の、血の繋がった兄。
その兄から伝えられた、生まれた星の、生みの親の、自分達のこと。
自分という存在が何なのか判らず怯えていたのが嘘のように、タケルは変わった。
ギシン星人の自分でも、地球の為にギシン星と…いや、ズールと戦えるとタケルは言っていた。

「(マーグは何故変貌してしまったのか?
 それとも、元からのマーグが今日のマーグであって、土星のマーグはタケルを懐柔するための罠か何かだったのか?)」

ケンジは考えを巡らす。

**************************************************************************************

ズ―ルがタケルに最初に接触した時は、自らを父だと名乗ったと言う。
その言葉を拒否したタケルに刺客が差し向けられ、そのうち、『皇帝の息子ならば皇帝の命令に従え』と、言われなくなったとも言っていた。
『皇帝の息子』から『裏切り者』『反逆者』と、タケルは完全にギシン星から突き放された。
タケルを救っていた謎の声の主が実の兄だと判ったのは、タケルの心が完全にギシン星から離れて、地球と運命を共にすると決めた時。
あまりにタイミングが良すぎるのではないか…。

「(地球の為にギシン星と戦う決心は出来たものの、異星に生きるたった一人のギシン星人という孤独は、何物でも埋め難かったのだろうな)」

だからこそ、土星でマーグと巡り合った時のタケルの歓喜は、それまで誰も見たことが無いほどであった。
時間を作ってはマーグが眠る病室を訪ね、マーグが眠っていればそっと寝顔を見つめ、目覚めていれば、少しづつ会話を重ねていた。
マーグの病室に通う度に、タケルの表情が薄皮を剥ぐように明るくなり、その琥珀色の瞳が輝くようになっていくのにケンジは気が付いていた。

同時にタケルはマーグとギシン星についての事情聴取も受けていた。
地球防衛軍は、ギシン星との戦争状態に入って以来、タケルがギシン星人と接触する度に事情聴取を行っていた。
それはギシン星に関する諸々の情報を少しでも集める為であり、同時にタケルが地球に対して翻意を示していないかを確認する為でもあった。
翻意に関しては全く兆候が見られなかったが、同時に、タケルから得られるギシン星の情報も皆無に近かった。
しかし、マーグとの接触により、タケルは自分が生まれてからの17年間の情報を得ることが出来た。
地球側にとっては、最新の具体的なギシン星の、事に軍事関係の情報を得られる機会と考えたのだ。
しかし、タケルが知るのは自分の出自、両親の死、六神ロボが作られた経緯程度で、地球側が期待する程の情報は無かったのだった。
思うような情報が手に入らない地球政府と地球防衛軍は業を煮やしていたのをケンジは知っている。
だが、タケルはそれを知らない。
このままマーグを地球へ連れて行けば、マーグは敵軍の捕虜として扱われることになる。
軍事裁判にかけられる前に、ギシン星に関する情報を全部吐き出させられることになるだろう。恐らく、どのような手段を使っても。

地球の命運の鍵となっているタケルに、地球政府も地球防衛軍も一切手を出すことは出来ないが、その双子の兄ならば…と。

もし、地球上層部の考えを知ったら、タケルはどうするのだろう。
そう考えると、ケンジは自分が身震いするのを覚えた。

「(タケルは、きっと"どんな手段"を使ってでもマーグを取り返すだろう。
 そして…)」

きっと、地球はタケルから見放されるのだろう。

数ヶ月前のあの時、タケルが孤独に怯え震えていた時に、手を差し伸べるどころか、あまつさえ、追放までしたのだから。
地球側とタケルとの和解は、謎の声…マーグの呼びかけによってのタケルの自主的な物だ。
つまり、地球の命運はやはりタケルの気持ち一つで決まってしまう…。

ケンジは背筋に冷たい物を感じる。
マーグを『地球』が取り上げてしまったら…。

そう考えたケンジは、土星基地の通信室に取って返し、大塚に自分の意見を具申した。
そして、地球政府にも一考して貰うように頼んだのだった。

『地球はともに暮らせる人を拒否することはせん。一緒に来るがいい。』

これは大塚の個人的見解ではなく、タケルに対する地球側首脳陣の妥協であった。
この言葉にタケルは素直に感謝し喜んだ。

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だが。
それゆえに、タケルは今日、地獄の苦しみとも言える戦いを迫られたのだ。
血を分けた双子の兄との。

マーグと巡り合わなければ、タケルは己の存在への孤独感に襲われるだけで済んだのだ。

『たった一人の血の繋がった双子の兄と心を通わせてしまった』

為に、タケルはマーグに刃を向けることが出来ずに苦戦し、危うい状況に陥ってしまったのだ。

「俺は生きる!」

タケルの正しく血を吐くような叫びが、ケンジの耳に残っている。
通信機を通して、クラッシャー隊のメンバー全員が耳にした筈だ。
バトルキャンプの指令室に居た大塚も。

タケルの最後の決心がタケル自身の命と地球を救った。
だが、それまでのタケルはどうだった?
マーグの的確で素早い攻撃をかわし、マーグにコンタクトを取るのに必死なタケル。
どうしても隙が出来て防御が遅れる。
超能力自体はタケルの方が上と思われるが、マーグに対する動揺や迷いが全ての判断を鈍らせ、攻撃も防御も後手に回ってしまう。

かたやマーグは、何の枷も無くむしろ愉しむがごとくタケルへの攻撃を続け、決して手を緩めることは無い。
タケルを殺せば自分もその場で地球と共に爆散してしまうことにも躊躇を見せない。

もし、"マーグ"の存在が架空の物であったら。
タケルが受け継いだと言う記憶が偽の物であったら。

ケンジの額に冷たい汗が浮かんだ。

ギシン星の、いや、ズ―ルという存在はなんと恐ろしいことか。
人の生きる意味すらも攻撃の手段として選ぶ無慈悲さ。
土星で、地球の為に良かれと判断し具申した自分の意見すらも見透かされていたと言うのか。
それすらも利用されたのか。
無慈悲、冷徹、無情…言葉では表せぬ氷のような、いや冷えた鋼鉄のような無機質な冷たさをギシン星にズ―ルに覚える。

そのような敵と地球は…タケルは戦っている。

「("マーグ"という存在は地球にとってもギシン星にとっても切り札足り得る、"諸刃の剣"と言う訳か。)」

一度、甘い蜜を味わってしまえば、その蜜の味は忘れられない。
タケルは"マーグ"という、ギシン星によって準備された極上の蜜を味わってしまったのだ。

「(タケルが目覚め、再びマーグと対峙した時、タケルはどうするのだろう。
 マーグと戦うのか、それとも…マーグを求めて地球を去るのだろうか?
 我々はタケルにとって"マーグ"以上の蜜を用意することは出来ない。
 明神夫人であっても、"マーグ"以上の存在になり得ることは無理だろう。)」

ケンジは妙な焦燥感に襲われ、先ほど退出したばかりの治療室へと踵を返した。

ノックの音に反応は無く、鍵はケンジのIDカードで開いた。

室内にはタケルがベッドで一人、昏々と眠っているだけである。
先ほどまで付き添っていたタケルの養母・静子も席を外しているらしい。
部屋は複数のカメラでモニタリングされ、タケルの脳波や心拍なども全て隣室で医師がチェックしていることもあり、人が傍に付いている必要は特には無いのだ。
先ほどは、マーグの攻撃で意識を失ったタケルが目覚めた際に、精神的に不安定な状況にあることを予想していたため、静子を始め、クラッシャー隊のメンバーや大塚も付き添っていたのだ。

扉が閉まると、タケルに取り付けられている脳波計や心電図といった機器の音だけが静かに響く。
その合間に今は穏やかになったタケルの寝息が微かに聞こえる。

つい先ほど、言葉を荒げて育ての母に詰め寄っていた悲痛な表情は無い。
穏やかな寝顔で眠っている。
頬が若干紅いのは傷による発熱なのか、それとも、先ほどの興奮によるものなのか。


「悲運…か」

先ほどミカに返した言葉を繰り返す。
それと同時にタケルが意識を取り戻し、目覚めた時の事をもう一度思い出す。

『兄さんと…いや、マーグと戦っていた』

タケルは直前に見ていた夢を、そう静子に話していた。

「(と、言うことはタケルの気持ちの中では既に決着が着いているということなのか?)」

タケルは、マーグを兄では無いと、そう決めたのだ。
でなければ"兄さん"と一度口にした言葉を敢えて"マーグ"とは言い換えはすまい。

ケンジは"マーグ"がタケルの兄で無いことを願った。
タケルを揺さぶる為に用意されたギシン星の作戦上の存在であって欲しいと思った。
でなければ、これからマーグと戦わなければいけないタケルがあまりにも救われないではないか。
たった一人、血の繋がった双子の兄を自らの手で殺さねばならぬとは。

ごそり。
布が擦れる音にケンジはふと我に返り、目の前で眠るタケルを見た。
寝返りを打ったらしく、点滴の刺さった、マーグの攻撃で傷だらけの痛々しい腕が掛け布から投げ出されている。
ケンジはそっとタケルのその手を取ると、タケルの眠りを妨げないようにそっと腕を掛け布でくるんでやった。

キュッ。
ケンジの指先が掴まれた。

「!?」

ケンジはタケルが目覚めたのかとハッとしたが、タケルはまだ眠っている。
しかし、ケンジの指先を握りしめている。
ケンジは腰を落として、眠るタケルの顔の高さまで視線を下げた。
治療室の照明に照らされたタケルの髪の色は、いつもと違って柔らかなオリーブグリーンの色に見える。
タケルの寝顔が無垢の赤子のように見える。
思わずケンジはそっとタケルの髪を撫でてやった。

「…兄…さん…」

小さくタケルが呟いた。
そして閉じたままの両瞼から一筋の滴が流れた。

ケンジは自分の指先を握っているタケルの手の上に、自分のもう一方の手を重ね、そっと囁いた。

「…マーズ、ゆっくり眠るんだ。
 俺がいつも傍に居てやる。」

ケンジの指先を握っていたタケルの手が離れ、掛け布の下へと潜った。
そして小さな吐息を一つ漏らし、タケルは身体を小さく丸めた。
まるで胎児のように。
再び、静かな寝息が室内に広がった。

その様子を見てケンジは握った拳に更に力を籠めた。

自分達がタケルを支えなければ、タケルは脆く崩れてしまうかもしれない。
何としてでも、タケルを支えてやろう。
タケルが地球の為に戦っているからではない。
同じ地球に住まう者であり、同士であるのだから。

人一人を救えなくて、どうして地球を救えるのか。

この言葉の意味を重く噛みしめ、ケンジは治療室を後にした。
先ほどのささやかな行為で、言葉で、それでタケルが穏やかに眠れるのであれば。
いつでもタケルの為にそうしてやろう。
と、ケンジはクラッシャー隊の隊長ではなく、タケルを見守る一人の者として思うのだった。



**************************************************************************************

あとがき
結局アップしたったーw
当初は裏に持ち込もうとしたんだけど、それを書くにはリハビリが…w
長年書いてないから、こう、細かな用語とか。ねww←をい、こら
(書く気満々だぞ、こいつ)

て訳でもないのですが、ケンジさんが書きたくなったので書いたお話し。
ケンジさんて、いつも一歩引いたところからしかタケルを見てないのよね。
だから直接対峙させてあげました(苦笑)
マーグのフリなんてあざといこともさせてあげました(苦笑)
クラッシャー隊の隊長は大変ですね、隊員のお守までしなきゃならんのですから(爆)

…そうじゃなくて。
本当の兄なのか、それともタケルを動揺させる為に仕組まれたことだったのか、この時点では"地球側"には判別がついていないのです。
(記憶の伝達中に超能力で、血の繋がった兄弟だと判っているとは思うんですけどね。何せエビデンスが無いwタケルだけですもん、エビデンスが)
そういった"当事者以外には全く判らない"状況っていうのは、仲間同士の結束にとって楔になりかねませんからね。
ホント、ギシン星編のタケルは疑われてばかりで可哀想です。
(地球編の苦しみにくらべれば、まだマシなのかしら?って比べられるものじゃないか)

気が向いたら、これのちょっと設定を変えたバージョンをアップしたいと思います。
アップできるかどうかは、ケンジさんが思うように動いてくれるか次第にかかっています( ̄▽ ̄)
期待せずにお待ち下さいね。

a little teddy bear

2012-06-23 22:53:43 | GM_SS
シュッ…
空気が素早く動く音がして扉が開いた。

部屋の奥の大きな窓からは満月の光が煌々と室内を照らしている。

「(タケル…)」

静子はそっと、窓辺に近いベッドの傍に立った。
いつもであれば、ドアの開く気配だけで目覚めるタケルだが、今夜は昏々と眠っている。

月の光りに照らされたその表情は、もうすぐ18歳を迎えるというには未だ少し幼さも残っている。
南極で一度だけその顔を見ることが出来た、二度と目を開ける事のないタケル-マーズの双子の兄・マーグと、随分年齢差があるようにも思える。
それでも、髪の色は別にしてもよく似ていた。と、静子はマーグの顔を思い出す。

蒼い月夜に照らされたタケルの顔は、普段見ているタケルとは思えない程に蒼白く透き通っているように見え、あの時のマーグの容貌に重なる。

「(まさか!…いいえ大丈夫…大丈夫、ほら、ちゃんと呼吸しているわ)」

慌てて静子は両の手で口を塞いだ。
そうしなければ、嗚咽が口から溢れ出てきそうだった。



宇宙の支配者を名乗るズ―ルによって、デビルリングというまさに手枷を架けられてしまったタケル。
その生命の灯は、戦うごとに小さくなっていくのだと、静子は聞かされた。
外す術も無く、それでも絶望の淵に沈むことなくタケルは戦っているのだと。
ズ―ルと、デビルリングによって否応なく与えられる、身体と心を蝕む激痛と。

静子が枕元に佇んでいるにも関わらず、タケルが目を覚まさないのは、タケルが静子に心を許しているからだけではない。
静子の気配に気がつかないほどに、タケルのその能力(ちから)までもが疲弊しきっているのだった。



小さな、そして規則正しい寝息を立てて眠るタケルは、その苦境にあっても穏やかな表情をしている。

「(よかった。タケルが眠りの中でまで苦しんでいなくて…)」

まなじりに浮かぶ涙をそっと指先で拭い、タケルの枕元から立ち去ろうとした時、静子はふっと気がついた。

「(あれは…)」

タケルの枕の横、丁度、タケルの向こう側の肩口に隠れるように小さなブラウンのテディベアがあった。

「(ちゃんと持っていたのね)」

静子の口元に小さな微笑が浮かんだ。




それは、明神礁で発見された謎の赤子が静子と夫・正の許に来た時に、記念にと選んだものだった。
"タケル"と名付けた、柔らかで小さな命の赤子の、その髪の色に似た色の15cm足らずのテディベア。
伊豆の山中で静かに暮らす一家の許を訪れる人は極少なく、小さなタケルの遊び相手としてそのテディベアはそこに在った。
テディベアの目が取れた…と、タケルが泣きながらそれを持って来れば、静子は小さな黒い釦を縫い付けてやった。
糸がほつれれば、繕ってやった。
遊び相手が周囲に居なかったタケルにとって、そのテディベアはただの縫いぐるみ以上の存在だった。

成長するにつれ、遊びが室内から屋外に代わり、テディベアがタケルの相手をする機会は少しづつ減っていった。

タケルが中学に入学した頃に静子がふとテディベアのことを尋ねると、タケルはそっと頭を掻いた。

「どこかに紛れちゃったみたいで、見つからないんだ。ごめんなさい、お母さん」




もう失われたと思っていたのに。
あんな事を言っていたのに、今、ここにテディベアが在るということは、タケルはずっと持っていたのだ。
クラッシャー隊への入隊が決まって、此処、バトルキャンプに来る時にも。

「(あの時は、大事に持っているって素直に言えなかったのね)」

ふっと口元に笑みが更に浮かぶ。
同時に、熱い滴が頬に流れた。

「(私達の、たった一つ残された家族の証しなのね)」

ズ―ル皇帝の放った暗殺者によって、夫・正と瀟洒な自宅は失われた。
思い出の詰まった全てを失ったとも思っていたが、タケルの傍らには家族3人を見守ってきた証しが残っていた。

「(タケル…あなたは私の大事な子供よ。ギシン星のご両親から私達に託された、大切な…)」

月の影がいつの間にかその場所を移していた。
静子は足音を忍ばせ、気配を残さないようにそっと部屋を出た。


「(…母さん…)」

月明かりに照らされたタケルの頬を一筋の光が流れ落ちた。




**********************************************

あとがき

ブログにテディベアの写真をアップした後、お風呂に入っていて突然降ってきた御話です。
あまりに自然に降ってきたので、書いた本人がびっくりしておりますww
実際に、1時間かからずに書いてしまいましたから…。

ネタの神様が降臨される時はそういうものなんですよね。


話の背景は、地球編です。
大塚長官からタケルの生命が残りわずかだと知らされた後。
で、誕生日前のお話です。
どうしても地球編の話は暗くなるんですよね。
そりゃ、もともと根暗な(?)主人公が、ズ―ルにズタボロにされるんですから、明るくなりようが無いという。
でも。
それでも地球編が好きなのは、タケルが生きることを諦めないからだと思います。
不器用なまでにひたむきに、ただ生きようとしている。
生きるためにもがき、足掻き、苦しみ、でも絶望の淵には沈まない。
(いや、よく"オレはもう駄目だ…"とか言ってましたけどww)
そんな真摯なタケルの姿が、あの当時の私に強く印象づいたからだと思います。

(この歳になると、もっと別な理由もあったりしますがww、いや、番組終了直後にはあったかな(爆))

久しぶりにネタの神様降臨で書けた短編です。

HAPPY BIRTHDAY !! ※でかい画像アリ、要注意w

2012-06-16 00:31:18 | GM_SS
お誕生日おめでとう、双子!!
(って、もう名前すら言わないってw)

兄さんは永遠の17歳ですがw
弟は…30歳なの?…なんか急にオッサンに思えてきたorz
サイトでお誕生日更新してた頃は、「タケルと同い年の新入社員が居るよー」とか思ってたのに(爆)
嗚呼、月日は百代の過客にして行き交う年もまた旅人也…

いかんいかん。

30歳のタケルは何処で何をしているのだろう。
昨年のGM30周年イベントでは、水島裕さん(タケル役)と鵜飼るみ子さん(ロゼ役)が"それは無いだろー"的な発言をなさってましたが。
ワタクシ個人といたしまして、やはりタケルとロゼには一緒に居て欲しいんですよ。
でね。多分、地球には住まないと思う。ギシン星に居るんだろうな。
宇宙の各地に散らばったズールの欠片を数年掛かりでキレイに掃除して、ギシン星に戻って来るの。
その後は2人ともギシン星の行政府のトップでバリバリ仕事してたりしてね。
タケルにイデアさん(実父)の記憶がどこまで受け継がれているかは判らないけれど、もしかしたら科学者としても第一線にいたりしてね。(養父の明神博士も学者だったから、そういう素地はありそう)

なんてことを妄想してたりするわけです。

本当はその辺りをSSにしてアップしたかったのですが、タイムアップになってしまいました。
替わりにすぐ書けそうなのは、暗くて重い話しになってしまったので、そちらも諦めて。

なので、本日は2005年の誕生日にサイトにアップしていたのを再掲載です。



双子の誕生日は地球の日本では梅雨時ですので、せめて爽やかな青空を…と、この背景にした覚えがあります。
そして、共に過ごせる時間があまりにも少なかった双子に、一緒の時を過ごさせてあげたいと、こんな絵にしたような。


なにはともあれ、お誕生日おめでとう、双子!なのです。
これにてGMW(ゴッドマーズ・ウィーク)終了です。
月末の2199公開が迫ってきているので、また暫くはヤマト色になりますww

双子誕生日前日

2012-06-15 06:50:12 | GM_SS
なのですが、お祝いムードじゃなくて悲壮感漂っております。
なぜなら。

私の絵のストックが少ないからです(爆)



はい。これもポチると大きくなります。

イラストの中にかいてある言葉、お判りになる方はピン!とくるかと思いますが、
THE ALFEE アルバム『「夢幻の果てに」(1995/1/20発売)の中の1曲"幻夜祭"詞:高見沢俊彦』からの抜粋です。
元の曲は1960年~70年代頃の学生闘争のことが書かれているのですが、
イラスト中の文章だけが、物凄く双子にしっくりハマったように思えて抜粋しました。
ちなみに、この曲の全歌詞は こちら

ALFEEの曲の数は膨大なのですが、その中かからGMにしっくりくる物を探そうとなかなか難しくて…。
右さんボーカルの、ちょっと壮大系の曲なんかだとハマりやすいかな?って思いますが、本気で探したことはないですw 
これもライブに行った時にたまたま聴いて、「双子にハマるじゃん!」ってインスピレーションが湧いた。っと言う感じです。

J-POPは基本的に、今はALFEEしか聴いていません。(それも覚えるまで聴きこまないw←ライブに行けなくなったから)
昔は浜田省吾、大江千里、川村かおり、尾崎豊…80年代頃のニューミュージックは聴いていたんですけどね。
ALFEEにハマり過ぎてからは、他の人のライブに行く暇が無くなっちゃった(爆)←こういうのを追っかけといいますw

肝心のイラストですが、三段に別れたイラスト構成ですが、上と下は第15話「六神合体がくずれる!」
で、洗脳された兄マーグと、それを知らないタケルが初めて直接対峙した時の物。
マーグ、断然強かったですね。そりゃ、タケルは戦えませんでしたもの。
そんな訳でタケルはズタボロです。マーグ余裕w
真ん中の絵は第19話「マーグ・地球に死す!」
クレバスに落ち、気を失ったマーグを己の手で殺す覚悟をタケルがした時、意識と共に記憶を取り戻したマーグに思わず抱きついたタケル。
「長かった…土星で別れてからもう10年も20年も経ったような気がするよ。」という台詞がこの時のもの。
この「長かった…☓☓で別れてから…」てのは、実際に友達同士の間でシチュエーションを変えて使って遊んでました。
いや、今でも昔の事を思い出す時に呟きますけど(爆)

このイラストは、6年前の兄さんの命日に合わせてサイトに出してた物です。
まさか誕生日前日に再度お目見えすることになるとは思いませんでした。

と、そんなわけでお誕生日前日はこのあたりで。



…何年イラスト描いてても、やっぱり背景描か(け)ないのね、自分orz

また一休み 手抜き線画アップ ※画像修整

2012-06-13 16:56:51 | GM_SS
長文を書くと、次の日は駄目ぽのようです。
不甲斐ない。

そんなわけでして、手抜き線画アップです。


※gifをjpgに修正

えと。
真黒クロスケですが、ポチるとデカイ絵が開きますので、背後にご注意ください。
(気が乗れば小さい画像が見られるように直します。つか、なんでgifで保存してあるのかが本人にも判りません:(笑))←よく覚えてないけど2値化するのにgifにしてたのかなあ??忘れちゃったw
※色塗ったのもあるので、そのうちお目見えするかもしれません。
※他にもタケロゼのいちゃいちゃwが出てきたけど、ちとエロいので載せるのはどーかなーとw
※需要があるのなら、プチエロのタケロゼ載せます(爆)

タケルの孤独について書いていて、何かハマるイラストが残ってないかなーってHDDを漁ってたらこういうのが出てきたので。
確か、ニキータっていうなんか派手派手女性雑誌を見ながら描いたかな。
(艶女(アデージョ)とか艶男(アデオス)とかいう言葉を流行らせようとした雑誌w)
だから、この二人(タケルとロゼ)としては本編では絶対にあり得ない状況になっております。
タケルに至っては、ガン飛ばしてるw
この2人がこんなになるなんて、あり得ないような気もするけど…。
何せ、告ったのもロゼだし。
純粋培養・兄ちゃん大好きタケルが一人前の男になる日はいつなのだろう…。

今日は一休み 昔のイラストアップ

2012-06-12 18:48:36 | GM_SS
昨日、支離滅裂な長文wを書いたせいか、本日は文章が書けず(滝汗)

代わりに、昔のサイトに載せていたイラストをアップします。



本編の私服があんまりだったタケルw
男性ファッション雑誌を見ながら描いた記憶があります。
と、言う割にはえらくシンプルな服装ですがww

最近はめっきり描かなくなりましたが、この頃はちょこちょこ描いてたんですよ。
自分でも懐かしいや。

もう絵を描く手じゃなくなってるので、かなりリハビリしないと描けないかもです。
やってみるか?自分。

と、言うことで本日はここまで。

A HAPPY NEW YEAR -EARTH SIDE-

2012-01-02 16:31:03 | GM_SS
ピピピ

俺の通信機が軽い電子音を発した。

「あら?ナオトの通信機?」

音に反応してミカが声をかけてきた。

「ん?ああ、俺ンだ」
「バトルキャンプ内にいるのに、誰かしら?」

通信機を見た俺の顔が緩んだらしい、すかさずアキラに突っ込まれた。

「あ、ナオト。誰か可愛い子ちゃんからなんじゃないのぉ?」
「違ぇーよ、アキラじゃあるまいしよ」
「応答もしないなんて…、一体誰からだったの?ナオト?」

俺はニヤリとして

「タケルからだよ」

アキラもミカも呆気に取られている。
そりゃそうだ。
タケルは一週間も前に地球を離れて、今は宇宙の遠いどこかを旅している筈だから。


一ヶ月ほど前。
ズールの攻撃でタケルが死の淵に立たされた時、俺はタケルの通信機にアラームをセットしたんだ。
新年、1月1日の午前0時。
タケルが新年を迎えてアラームを聞くことが出来るように祈りつつ。
そして俺の通信機のアラームにも同じセットをしておいた。


きっと今頃、タケルは宇宙のどこかでこのアラームに気がついて笑っていることだろう。



゜・*:.。.A HAPPY NEW YEAR.。.:*・゜


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タケルのアラームをセットした犯人は…ナオトでしたw
タケルがギシン星人だと判った当初こそ、物凄く敵対心を剥き出しにしていましたが、それも地球を想うが為だったんですよね。
基本的にイイ奴なんです。
タケルのライバルというよりも、親友なのでしょうね。

いつか、タケルが地球に帰還した時も、黙って肩を叩いてそうです。

2008.01.01 サイト初出

A HAPPY NEW YEAR

2012-01-01 00:29:02 | GM_SS
見渡す限りの星の海。
遠くに近くに、星が瞬く。

昼も夜もない空間を、6体ともう一機の影が滑るように飛んでいく。


あの日。
ズールを打ち破った後、地上に降り立つことなく地球を離れた。
あれから何日が経ったのだろう。
光のような速さで宇宙を飛ぶ彼らには、もはや地上の時の流れに縛られることもないのに、
時々、ふと時の流れを思ってしまう。

ピピピ・・・

不意に彼が身に着けている通信機が軽い電子音を発した。


「どうしたの、マーズ?」

モニターの中の緑の髪の少女がマーズに問いかける。
マーズは慌てて、腰に下げたホルダーから通信機を取り出した。

「あ、ロゼ。なんでもないよ。
通信機が鳴ったんだ。地球からの通信なんて、もう届かない筈なのに」
ロゼに話しながら、マーズは通信機の表示部を見た。
通信ではなく、アラームがセットしてあったようだ。
一瞬不思議そうに見開かれた琥珀色の瞳が、柔らかく細められる。
くっくっくっと、小さく愉快そうにマーズは笑った。

「マーズ?」

小首を傾げながらロゼが訝しげな表情をする。
そのロゼに気付いたマーズが、モニターの彼女に向かって優しく微笑んだ。

「HAPPY NEW YEAR・・・ロゼ」
「え?」
「今日は、地球の新しい一年の始まりの日なんだ」

マーズの言葉に、モニターのロゼも明るい笑顔で微笑む。

「おめでとう、マーズ」

笑顔で見つめあう二人を、星が優しく照らしている。

゜・*:.。.A HAPPY NEW YEAR.。.:*・゜


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明けましておめでとうございます。
今年が皆様にとってよりよき年になりますように…。


その第一弾がGMです(笑)
昔に書いたものをそのままアップしただけです。
ヤマトのお正月ものが書けなかったので…。

これは、以前掲載したGM-SS「夜明け」から続くお話です。
ズール皇帝を倒した後に、地球を旅立った二人のお話。
さて、アラームをセットしたのは誰なのでしょう?うふふ。

何はともあれ、本年もヤマトにGMにAさんにと、色々とヨロシクお願いいたします。

2005.01.01 サイト初出