カエルと鳥の声しか聞こえない中で、久しぶりにぐっすり寝て4時50分に目覚める。時間通りに玄関前に行くとほどなく、昨日の尼僧さまを含め6名あまりの僧侶の方がお揃いになった。玄関先にいる「笑い寅」と「なで兎」にご挨拶して出発。僧侶の奥さまも一緒に本堂に向かい、ご本尊さまの不動明王さまの向かいに正座した。僧侶さま方はご内陣に上がり、奥さまとにゃんこが残る。般若心経は何とか唱えられたが、その後のお経が??? 手だけ合わせていたら、奥さまが隣に来て経本を見せてくれる。
「見ているだけでもお勤めになりますから。でもできれば一緒にお唱えしてみて下さい」
そんなお心遣いもいただいて、朝のお勤めが終了と思いきや、内陣の方に招き入れられる。導師さまから五鈷杵をいただき、ちょうど大祭時期にご開帳になっているご本尊さまのお近くでお参りさせていただくという幸運に恵まれた。
その後、尼僧さまのご案内でお戒壇めぐりへ。これ、長野の善光寺さん以来だ。中は本当に真っ暗闇。尼僧さまおの導きでその中を進む。進みながら、悟りの道のお話をしていただいた。そして、ご本尊さまに繋がる錠前のところへ…これを見つけると、ご本尊さまとご縁が結べるというので必死に探すが、あれっ?あれっ?どこ?どこ?と段々焦って来た。
「大丈夫、絶対にありますから、落ち着いて探して下さい」
というひと言で冷静になり、すぐ前にあった錠前に触れることができた。導きとは、こういうことかもしれないと感じた出来事だった。
本堂から千手院まで下る道すがらも、いろんなお話をしていただいた。
「苔ってね、こんなに弱々しいのに、下駄で踏まれても翌日にはまたふんわりと元の姿に戻っているんです。高野山に行くたびにそれを見て、こういう風に生きたいと思うんですよ。人間は強いだけじゃ脆いんです。途中でポキッと折れないように、しなやかに生きられたらいいですよね」
この言葉、深く心の底に沁みた。これから生きていく様々なシーンで、きっとこの時の情景を何度も思い返すに違いない。聖徳太子ゆかりの萱のご神木の下に来た時、その実を拾って下さった。萱ってこんなに芳しい匂いがするんだ…この尼僧さまのように、透明感のある存在に近づけるように努力しよう。護摩堂に戻り、激しい炎を前にしてご真言をあげる。ここに来られて良かったという思いが心に広がっていく。お勤め後は、綺麗な味の朝食をいただいてお部屋でひと息。僧侶さまと奥さまは、今日の準備に忙しそうだ。この奥さま、きっとにゃんこよりお若いと思われるのだが、本当に落ち着いている。僧侶さまのお言いつけに、はいっとお返事してすぐに作業にとりかかる。こういう関係もあるのだなぁと感動し、きっとこの方はこの勤めをまっとうするために生まれてきたのだろうと思った。大祭の雰囲気が高まって来た信貴山を後にし、ひとり再び薬師寺に向かう。(つづく)
信貴山・千手院→http://www.senjuin.net/
「見ているだけでもお勤めになりますから。でもできれば一緒にお唱えしてみて下さい」
そんなお心遣いもいただいて、朝のお勤めが終了と思いきや、内陣の方に招き入れられる。導師さまから五鈷杵をいただき、ちょうど大祭時期にご開帳になっているご本尊さまのお近くでお参りさせていただくという幸運に恵まれた。
その後、尼僧さまのご案内でお戒壇めぐりへ。これ、長野の善光寺さん以来だ。中は本当に真っ暗闇。尼僧さまおの導きでその中を進む。進みながら、悟りの道のお話をしていただいた。そして、ご本尊さまに繋がる錠前のところへ…これを見つけると、ご本尊さまとご縁が結べるというので必死に探すが、あれっ?あれっ?どこ?どこ?と段々焦って来た。
「大丈夫、絶対にありますから、落ち着いて探して下さい」
というひと言で冷静になり、すぐ前にあった錠前に触れることができた。導きとは、こういうことかもしれないと感じた出来事だった。
本堂から千手院まで下る道すがらも、いろんなお話をしていただいた。
「苔ってね、こんなに弱々しいのに、下駄で踏まれても翌日にはまたふんわりと元の姿に戻っているんです。高野山に行くたびにそれを見て、こういう風に生きたいと思うんですよ。人間は強いだけじゃ脆いんです。途中でポキッと折れないように、しなやかに生きられたらいいですよね」
この言葉、深く心の底に沁みた。これから生きていく様々なシーンで、きっとこの時の情景を何度も思い返すに違いない。聖徳太子ゆかりの萱のご神木の下に来た時、その実を拾って下さった。萱ってこんなに芳しい匂いがするんだ…この尼僧さまのように、透明感のある存在に近づけるように努力しよう。護摩堂に戻り、激しい炎を前にしてご真言をあげる。ここに来られて良かったという思いが心に広がっていく。お勤め後は、綺麗な味の朝食をいただいてお部屋でひと息。僧侶さまと奥さまは、今日の準備に忙しそうだ。この奥さま、きっとにゃんこよりお若いと思われるのだが、本当に落ち着いている。僧侶さまのお言いつけに、はいっとお返事してすぐに作業にとりかかる。こういう関係もあるのだなぁと感動し、きっとこの方はこの勤めをまっとうするために生まれてきたのだろうと思った。大祭の雰囲気が高まって来た信貴山を後にし、ひとり再び薬師寺に向かう。(つづく)
信貴山・千手院→http://www.senjuin.net/