時空を超えて Beyond Time and Space

人生の断片から Fragmentary Notes in My Life 
   桑原靖夫のブログ

アメリカ移民法案上院可決

2006年05月26日 | 移民政策を追って
  
    国論を二分するほどになったアメリカの不法移民問題だが、その後少し変化があった。

  ABCなどが伝えるところでは、アメリカ上院は5月25日、一定の条件を満たす不法移民にゲストワーカー(一時労働者)の資格を認め、将来の市民権獲得に道を開く計画を盛り込んだ法案を62対36で可決した。ブッシュ政権の路線にほぼ沿った内容である。しかし、下院が昨年末に通過させた不法滞在者に強硬な法案との調整が残っており、上下院の衝突が予想されている。下院には不法移民に強硬な立場をとる議員が多い。ブッシュ政権が目指す年内成立のめどは立っていない。

  上院可決の法案では、年に20万件のゲストワーカー・ビザの発給を認めた。不法滞在の年数に応じ、(1) 5年以上の場合は、英語を習得し犯罪歴がないことなどを条件に市民権申請を認める。(2) 2年から5年の場合はいったん帰国し、グリーンカード(永住許可証)を申し込む。(3) 2年以下の場合は本国に送還とされている。またブッシュが提唱した最大6千人規模の州兵派遣も含んでいる。

  ブッシュ政権側としては、上院・下院の妥協が成立しそうな内容であるとしているが、まだまだもみ合いが続くだろう。さらに、もはや無視できない存在となった(合法、不法を問わず)ヒスパニック系移民の動きも見えていない。いずれにしても、不法移民問題の根源への視点が欠如しており、長期にわたり難路が続くだろう。
コメント
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