結論は10年後じゃなくてもうでていますが、参考になるのでよかったらどうぞ。南相馬は葬式ラッシュだそうです。火葬場はかなり順番待ちみたいで、お亡くなりになられた方も気の毒です。福島原発による被爆で亡くなっても何の『因果関係も証明されない』わけですから日本政府も東電もmurdererと言われても仕方がないでしょう。
【結論は今から10年後に出る。】より転載
文部科学省の放射線審議会は16日、厚生労働省がまとめた牛乳や幼児用食品1キロあたりに含まれる放射性セシウムを50ベクレルとするなどの新基準を了承する答申をまとめた。これについて、平野大臣は17日の閣議後会見で、「厚労省として、適切に設定され、運用されると理解している」と述べた。
審議会の前会長が関係学会の会員に反対意見の投稿を求めると受け止められるメールを送っていた件について、平野大臣は事実関係を調査したうえで、「いち研究者としての発信で、なんら問題はない」として、議論には影響がなかったとの考えを示した。
これは厚生労働省が募集したパブリックコメントで、乳幼児食品の規制値に対し、現放射線審議会委員である丹羽大貫氏が求めた基準緩和の要請に関するものであった。
しかしパブリックコメントの8割は、規制強化を求めるもので、厚生労働省は乳幼児食品を50ベクレルと規制するよう答申をまとめた。
では、毎日乳児、子供(9歳)、成人が各々放射性セシウムを摂取するとどのようになるか計算してみた。
1)乳幼児(規制値50Bq/L)
毎日50Bqの放射性セシウムを慢性摂取すると、乳児の場合の時定数(生理的平衡状態に達する時間)30を用いて、約150日後に体内蓄積量は1500ベクレルとなる。
乳幼児の体重を10キロと置くと150ベクレル/Kgとなり、決して少ない量とは云えない。実質的にはこの20分の1以下に抑えるべきであろう。
2)子供(規制値100Bq/Kg)
毎日100Bqの放射性セシウムを慢性摂取すると、子供(9歳)の場合の時定数53を用いて、約300日後に体内蓄積量は5300ベクレルになる。
子供の体重を20キロと置くと265ベクレル/Kgとなり、かなり高い数値となる。実質的にはこの20分の1以下に抑えるべきであろう。
3)成人(規制値100Bq/Kg)
毎日100Bqの放射性セシウムを慢性摂取すると、成人の場合の時定数144を用いて、約600日後には体内蓄積量は14400ベクレルになる。
成人の体重を60キロと置くと240ベクレル/Kgとなり、かなり高い数値となる。実質的にはこの10分の1以下に抑えるべきであろう。
放射線審議会の主張は、実際の食品中の放射性セシウム量が減っていることから、乳幼児用も100ベクレルで問題なしとしたものだが、規制値であるから厳しくするのは当然である。
厚生労働省が独自に調査した福島県の汚染地帯の食事試算では、4ベクレルとされたが、これはチェルノブイリでもそうであったが、実際に田舎になると自家栽培による地産地消が中心となることから、実際に摂取される放射性セシウム量はずっと高い数値になると推定される。
では事故前の摂取量・日・人がどれくらいであったかと云うとわずか0.048ベクレルでしかなかった。従って100ベクレルでさえ決して低い数値とは云えないのである。ベラルーシの汚染地帯で長年活動してきたBELRAD研究所は、子供達のため効果的な被曝予防のためには放射線の干渉を公式な危険限界(例えば15-20Bq/kg)の30%に設定することが必要であると指摘している。
これは子供への介入レベルが20ベクレル/Kg(体内摂取量ベース)であることから定められた基準であるが、これからすると乳幼児50ベクレル基準も決して低いものではないことが分かる。寧ろ、セシウム137による地表面からのガンマ線外部線量が長期間減退しない環境下においては、内部被曝は極力減らす必要がある。
ここで本紙は、これまで調査してきた放射線に関する知見に照らし、見解を述べておきたい。
まず政府は、福島県のセシウム137による100Kベクレルを超える汚染地帯における初期(3月末まで)・中期(9月末まで)の初期被曝量見積をきちんと公開していない。昨年9月の患者調査は行われなかった。これでは、政府による被ばく証拠隠しと糾弾されても仕方がない。まず放射線の後遺障害を測るには、放射線の蓄積線量が重要になる。
蓄積線量とは、どれだけの放射線量を浴びたかを示す指標であり、中通り住民は初期被ばく時のヨウ素131、テルル132並びに希ガス・キセノン133からの緊急外部被ばくを除き、2ミリ~数ミリシーベルトの間で被ばくしているものと推定される。仮に5ミリと置くと今後数年内に10ミリシーベルトの蓄積量に達する。
重要なことは、毎年自然放射線とは別に1ミリシーベルト被ばくすると10年後には10ミリシーベルトとなるが、毎年被ばくに関わるリスクは1ミリづつ積み上がると覚えておいてもらいたい。10ミリシーベルトは、著名なゴフマン博士の示す1ラドに相当し、その過剰率の指数となっている。
毎年毎年1ミリづつ放射線を浴びると急に何処かでがん死リスクや虚血性心疾患リスクが増えるのではなく、毎年毎年、積み重なって行くのである。そして、おそらくこの結論は、今から10年後に出る。一般的疾患は既に増加していると見ているが、なにしろ患者調査をしていないので分かっていないだけと考えている。
ベラルーシでも、一般的疾患が37K~185KBqの放射線管理強化区域で有意に増加した研究を以前に報じたが、国際機関は放射能との因果関係を認めていない。だが因果関係を認めていないことと、おびただしい病気が増えた事実とは異なることを忘れてはならない。
がん、心疾患、脳血管疾患、糖尿病などが驚くほどに増えているのは事実なのである。それを国際機関は、心理ストレスや風土病と説明しているだけで、病気自体は厳然とそこに存在しているのである。チェルノブイリの被災者は300万人と云われているが、そのうち100万人が子供たちとされている。
そして事故から25年を経た今も、がんは成人にも増え、子供たちの不健康な状態は継続している。ゴフマン博士が独自に広島・長崎原爆データから求めた1ラドあたり過剰率は、0~9歳=16.6%/ラド、10~19歳=4.74%/ラド、20~24歳=1.89%/ラド、35~49歳/ラド=1.05%/ラド、50歳以上未確認であるが低値である。
つまり1ラド(約10ミリシーベルト)あたり過剰率は、子供は、成人の約10倍放射線リスクが高いことを示している。また放射線被ばくに関してのリスク評価は、蓄積線量であり、そこには後戻りが出来ない厳しい現実がある。
ゴフマン博士はこの現実を、「細胞が放射線障害を受けてガンや白血病が発現するのは被曝後直ちに明白になるのではないということを知らなければならない。長い潜伏期間の後に悲しくもサジを投げ出さざるをえないことを悟る。電離放射線の破滅的効果の本当の怖さを認識し理解できていなかったことを悔いることになろう。」と警告している。
彼は、原爆生産時代の著名なローレンス・リバモア研究所の副所長兼生物医学研究部門長の職にあった。
これらの知見は、「人間と放射線」という一冊の書籍となっている。
(彼は平易であると云うが、よみこなすには基礎知識が必要である。)
現在、政府の曖昧な放射線防護政策とは別に、放射線リスクは蓄積とともに増加し後戻りは決してできないことを忘れないでおいてもらいたい。
10年後ある意味でひとつの結論が出ると考えている。
それは、われわれにとっては、前述のとおり、病気は増えたか、出生数の増減はどうであったか、死亡数は増えたか、とりわけがん羅患率、虚血性心疾患羅患率に注目している。
しかしながら、放射線によるものと考えられる病気が目に見えて増えたと認識されるとき、その時は残念ながらゴフマン博士の指摘とおり、もう後戻りはできないと悟ることとなる。
以上
オリーブ拝 ( 2012/02/18 18:55 )