毎日新聞 2014年03月08日 18時41分（最終更新 03月08日 19時30分）
【台北・鈴木玲子】台北郊外の新北市に建設中の台湾電力第４原発の建設中止などを訴える反原発デモが８ 日、台北市や南部・高雄市など８カ所であった。環境保護団体などが呼びかけ、原発立地の地元住民や若者らを含め、数万人が参加した。台湾で原発は３カ所に ２基ずつ計６基が稼働し、さらに日本企業が主要部分を供給する第４原発（２基）が建設中。２０１１年の東京電力福島第１原発の事故後、地震多発地帯の台湾 では原発の安全性を懸念する声が上がっている。
台北のデモは雨の中、市内３カ所から中心部に向かってそれぞれ数キロずつ行進した後、総統府前で集会を開き、「原発はいらない」などと訴えた。
第４原発については、昨年に立法院（国会）で同原発建設中止の是非を巡る住民投票実施案が審議入りしたのに伴い工事は中断。その審議は、政府による同原発安全検査報告書提出まで見合わせるとして凍結状態になっている。反原発を訴える大規模デモは昨年３月にも行われた
【ソウル時事】８日付の韓国紙・東亜日報は、軍関係者の話として、最近、北朝鮮が相次いで行った 短距離ミサイルや多連装ロケットの発射実験に関し、米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」が６日に終了したのに合わせ、江原道の元山や旗対嶺に配備していた 移動式のミサイル発射車両やロケット砲積載トラックが全て撤収したと伝えた。（2014/03/08-10:51）
【ワシントン時事】米国防総省の戦略研究部門「相対評価室」が、ロシアのプーチン大統領ら各国首脳の身ぶりを分析して心理や性格を読み取り、次の行動を 予測する研究に資金を拠出していたことが分かった。国防総省のカービー報道官が７日、米紙の報道を確認した。ＡＦＰ通信によれば、北朝鮮の金正恩第１書記 も対象だったという。
報道官はプーチン氏の研究について、２０１２年が最後で、ウクライナ情勢をめぐる政策の立案には利用されていないと指摘。ヘーゲル国防長官も、報道があるまで研究の存在を知らなかったという。
報道官によれば、研究は国務省によって１９９０年代に始められ、０３年ごろ国防総省に移管された。０９年以降の年間予算は約３０万ドル（約３１００万 円）。同省から研究を委託された学者は０５年、米誌のインタビューに応じ、プーチン氏の性格について、歩き方の特徴から「生き残りへの強い意志と、肉体の バランスと強さを求める衝動」を備えていると分析していた。（2014/03/08-15:09）
【ブリュッセル時事】ウクライナ南部のクリミア半島を軍事占拠したロシアに対して欧州連合 （ＥＵ）が発した経済制裁の警告をめぐり、欧州内から懸念する声が上がっている。ロシアはＥＵにとって米中に次ぐ３番目の貿易相手国で、制裁の規模が大き ければ、ＥＵにはね返る影響も甚大になるためだ。ＥＵ経済をけん引するドイツは特にロシアとのパイプが太く、メルケル独首相は難しい選択を迫られそうだ。
ＥＵは６日の緊急首脳会議で、ロシアがウクライナの占領地域を拡大したり事態を悪化させたりすれば、「さまざまな経済分野でＥＵとロシアの関係に深刻で幅 広い影響を招く」との声明を採択。武器禁輸にとどまらず、貿易や金融、エネルギー分野の制裁に踏み込む可能性を示した。
ロシア・マネーがロンド ンの金融街シティーから引き揚げられることを恐れ、制裁に消極的と見られていたキャメロン英首相も記者会見で「見て見ぬふりをするほうが後々大きな問題に なる」と指摘。英国が金融の分野で悪影響を被っても、「（制裁を）検討する必要がある」と語気を強めた。
一方、輸出主導で好調な経済が続くドイツのメルケル首相は、ロシアが占領を拡大するなら制裁で応じると語る半面、「そうしたことが起きないことを望む」と本音を漏らした。
ドイツはＥＵの対ロシア輸出全体の３割を一国で占める突出した存在。ロシアのＥＵ向け天然ガスも３割は対独輸出だ。ＥＵが経済制裁を発動すればロシアの報復も予想され、ドイツは大きな損失を避けられない。
ドイツからの報道によると、世論調査での対ロシア制裁の支持は４割弱にとどまっている。独政府当局者は７日、制裁に伴って深刻な影響が自国に及ぶことを認めた。
在ロシアのＥＵ企業などでつくる「欧州ビジネス協会」は７日、「ＥＵとロシアの経済は高度に相互依存している」との声明を発表。ＥＵに対し暗に制裁回避を求めた。（2014/03/08-15:31）
【北京時事】中国の王毅外相は８日の記者会見で、ロシアによるウクライナの軍事介入について、中 国の「公正かつ客観的態度」を強調した上で、関係国との連携を続け、政治解決のため建設的な役割を果たしたいとの意向を示した。対立が激化する欧米諸国と ロシアとの間の「仲介役」を務めることに意欲を示したものとみられる。（2014/03/08-13:23）
【オスロＡＦＰ＝時事】ノルウェー軍は７日、北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）が同国北部で奇襲攻撃を迎撃する軍事演習を開始したと発表した。ただ、この演習は以前から予定されていたもので、ウクライナ危機とは無関係だとしている。（2014/03/08-01:28）
ベネズエラの首都カラカス（Caracas）で、警官隊に向けて催涙弾を投げ返す反政府デモの参加者たち（2014年3月6日撮影）。(c)AFP/JUAN BARRETO
【3月7日 AFP】南米ベネズエラで1か月に及ぶ反政府デモは現在も収まる気配はなく、ニコラス・マドゥロ（Nicolas Maduro）大統領は就任からの約1年で最大の危機を迎えている。
犯罪の横行や生活必需品不足などへの不満から2月4日に発生したデモは、政権側によるデモ参加者の逮捕で、さらに市民の怒りを呼んでいる。
マドゥロ大統領は米テレビCNNとのインタビューなどで、米国の支援を受けた野党側の一部グループに扇動（せんどう）されたものだとデモを批判した。一方、デモ隊側は、政府軍によるデモの参加者への人権侵害が行われていると主張している。
こうした状況のなか、マドゥロ大統領は6日、南米各国首脳に向けて次週にチリの首都サンティアゴ（Santiago）で開かれる南米諸国連合（Union of South American Nations、UNASUR）の外相級会議で、ベネズエラでの混乱について協議する会合の開催を呼びかけた。
ベネズエラでは1か月に及ぶ反政府デモで、これまでに20人が死亡している。
その一方でベネズエラは前日、米国、カナダと中南米33か国が参加する米州機構（Organization of American States、OAS）がベネズエラに対する非難決議案を協議したことなどをうけ、加盟国であるパナマとの国交を断絶し、大使らに対し国外退去を求めた。(c)AFP/Marcelo Daniel BRUSA
毎日新聞 2014年03月08日 東京朝刊
午後１０時、シリアの首都ダマスカス市内にあるカフェには、水たばこの白い煙と甘い香りが充満してい た。黒シャツに黒ズボン、オールバックの髪形で統一した店員が行き交う店内は静かだ。イスラム教では飲酒が禁じられており、テーブルには炭酸飲料が並ぶ。 右手に水たばこのパイプ、左手にトランプ。約２０のテーブルがある店内で、男も、女も、カードに没頭していた。
ダマスカスを訪れたのは２月下旬。街の中心部では淡々とした市民生活が営まれていた。砲撃音が街に響い ても、人々は周りを気にすることもない。「もう慣れっこさ」。誰もが口をそろえた。物価は２０１１年に武力衝突が始まる前の２～３倍になり、１日３～６時 間の停電や、軍の検問による渋滞も慢性化した。それでも住民たちは悪化する状況に適応してきた。
無差別爆撃、餓死、虐殺。シリアにはこの３年で悲惨なイメージが定着し、国全体が苦しみに覆われている ように感じる。日々のニュースを追う私もそうだ。今回の取材でも、当初は砲撃音にびくびくし、郊外で破壊された建物を見るたびに心が痛んだ。シリア人が一 見普通に生活しているのを奇異に感じた。
だが絶えず緊張していては、心も体も病んでしまう。治安が安定しているダマスカスに、わずか４日間、滞在しただけなのに、心身ともに疲れた。市民が可能な限り日常を続けようとする理由が分かった気がした。
シリアが危機にあるのは間違いない。食料も電気も水も満足になく、砲弾が降り注ぐ地域も多い。政府軍に徴兵され、自国民に銃を向けざるを得ない若者もいる。もう異常に慣れるのは十分だろう。異常を「異常」と感じる日が来ることを願ってやまない。
毎日新聞 2014年03月08日 01時18分（最終更新 03月08日 02時58分）
【ソチ岸本悠】障害者スポーツ最大の祭典、第１１回冬季パラリンピックが７日夜（日本時間８日未明）、 五輪と同じロシア南部ソチのフィシュト五輪スタジアムで開会式を行い、開幕した。ロシアで初めて開催されるパラリンピックには、冬季史上最多の４５カ国か ら５００人以上の選手が参加、１６日まで５競技７２種目が行われる。
大会はウクライナ情勢の影響が懸念される。ボイコットの可能性もあったウクライナは、開会式前に、同国 パラリンピック委員会がソチで記者会見を開き、ワレリー・スシュケビッチ会長が「我々は残る」と参加を表明した。一方で「ロシアによる新たな軍事介入など があれば、すぐに去る」とボイコットの可能性も明言。６日夜にロシアのプーチン大統領と会談し、「大会中の平和をお願いする」と訴えたことを明らかにし た。
記者会見には世界各国の報道陣１００人以上が集まった。国際パラリンピック委員会（ＩＰＣ）のフィリッ プ・クレーブン会長はウクライナの決定に、「喜ばしいことだ。我々はウクライナ委員会にソチに残ってくれるよう働きかけてきた。パラリンピックの求めてい るものは政治ではなく、選手たちだ」とコメントした。
毎日新聞 2014年03月08日 東京朝刊
【キエフ樋口直樹】ウクライナ南部クリミア自治共和国議会がロシア編入を決議したことを受け、首都キエ フでは７日、抗議集会が開かれた。親欧州派が多いウクライナ西部では、ロシアによるクリミアの事実上の併合に向けた動きに対する怒りと、「ロシア帝国」復 活への恐れ、欧米頼りの現実からくる政権批判が交錯している。
親ロシア派のヤヌコビッチ前大統領を事実上追放した旧野党勢力の拠点、キエフ中心部の独立広場。政変後 も広場のテントにとどまり、新政権の行方を注視してきた建設作業員（５０）は「ロシアやかいらい（クリミア議会）に併合を決める正当性はない」と非難する 一方、「政府は断固とした態度でロシアに臨むべきだ」とも話す。
「国際社会の連帯には感謝するが、政治声明だけでなく、行動で示してほしい」。広場に駆けつけた男子大 学生（２３）は対露制裁の発動に慎重な欧州諸国の動向も心配している。一方で、「国民の団結こそが国際社会を動かす原動力だ」とも話す。「ロシア帝国復活 の恐怖に屈せず、国民が足並みをそろえれば危機は脱せられる」と語気を強めた。
７日昼にはキエフのロシア大使館前で抗議集会が開かれた。参加者は１００人余り。「プーチン（ロシア大 統領）の侵略を止めろ」「ウクライナは一つだ」と気勢を上げる参加者に、通りを走る多くの車がクラクションを鳴らして連帯感を示す。集会の呼びかけ人の一 人、クルルコさん（３２）は「国際社会はナチスの台頭を許した『沈黙』の歴史を繰り返してはならない」と訴えた。
