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重力波観測のトンネル公開=「かぐら」15年末試験運用-岐阜・神岡鉱山地下で東大

2014年07月04日 | 自然科学・技術・工学

重力波観測のトンネル公開=「かぐら」15年末試験運用-岐阜・神岡鉱山地下で東大

 

 超新星爆発などで発生する重力波を世界で初めて直接観測することを目指す東京大宇宙線研究所の巨 大装置「KAGRA(かぐら)」のトンネルが4日、岐阜県飛騨市の神岡鉱山地下で報道陣に公開された。超精密な観測装置の搬入、組み立てが近く始まり、 2015年末から試験運用する。
 かぐらは長さ3キロのトンネルを2本、L字形に配置。各トンネルに真空パイプと鏡を設置し、内部でレーザー光線を往復させる。宇宙から重力波が届くと空間が微妙にゆがみ、2本のトンネルでレーザーが届く時間に違いが生じるため、検出できる。
  地上の振動の影響を避けるため、地下200メートルより深くに設置し、鏡を極低温に冷却して熱変形を防ぐ工夫もした。東大宇宙線研の斉藤芳男特任教授は 「重力波の巨大観測装置は欧米にもあり、どれだけ感度良くできるかが大事。これから観測装置の整備が大変だが、日本が最初に重力波を捉えたい」と話した。 (2014/07/04-18:36)


ISSの飛行軌道高度を2千メートル上げる作戦実施

2014年06月26日 | 自然科学・技術・工学
25 6月 2014, 11:09
ISSの飛行軌道高度を2千メートル上げる作戦実施

  25日、ロシアのモジュール「ズヴェズダー」のエンジンを使って、国際宇宙ステーション(ISS)の平均飛行軌道高度を2千メートル上げる作戦が行われる。宇宙飛行管制センター・スポークスマンが伝えた。

  スポークスマンによれば「モスクワ時間で14時41分『ズヴェズダー』のエンジンにスイッチが入れられ、63,9秒間作動する。それによりISSには1メートル/秒のパルスが与えられ、その結果、ISSの平均軌道高度は1,8キロ上がり、415,7キロとなる。

   今回の作戦は、ISSが宇宙貨物船『プログレス』と7月24日にドッキングする準備のため実施された。」

    リア-ノーヴォスチ
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_06_25/uchuukokusaisute-shon/


東大:ロシアで原発観測衛星打ち上げ

2014年06月24日 | 自然科学・技術・工学

毎日新聞 2014年06月20日 14時25分

 東京電力福島第1原発の周辺地域の環境変化と、ウクライナ・チェルノブイリ原発事故現場周辺を同時に観測する東大の超小型人工衛星2基が19日深夜(日本時間20日未明)、ロシア・ウラル地方のヤースヌイ基地から打ち上げられた。衛星は間もなく軌道に乗った。

 両原発周辺の観測は早ければ9月ごろ始まる。光学カメラで原発周辺を定期的に撮影したり、地上の観測機器から情報を受信したりしながら、植生分布など環境の経年変化を調査する。

 衛星開発費は1基当たり2億8千万円程度と低額で、開発期間は2年未満。従来かかっていた費用や時間を大幅に減らすことに成功した。(モスクワ共同)


水と空気で走れる電気自動車が2017年頃にルノー・日産から実用化の見通し

2014年06月16日 | 自然科学・技術・工学

2014年06月14日 18時00分49秒

水と空気で走れる電気自動車が2017年頃にルノー・日産から実用化の見通し



トヨタ・プリウスに代表されるハイブリッドカーが街中にあふれ、さらにニッサン・LEAFのように100%電気の力で走行するEV(フルEV)の姿を見かけることも多くなってきましたが、今度は水と空気を燃料にして走行する「空気アルミニウム電池自動車」の開発が進められています。2017年にはルノー・日産アライアンスに よって実用化される予定であることも明らかになってきたこの技術は、従来のガソリンの替わりに普通の水をタンクに給水し、アルミニウムと反応する際に生じ る電力をエネルギーとして利用するというもので、理論上は1600kmという距離をノンストップで走り続けることが可能とされています。

Renault-Nissan To Use Phinergy’s Aluminum-Air Battery - HybridCars.com
http://www.hybridcars.com/renault-nissan-to-use-phinergys-aluminum-air-battery/

An Electric Car That Can Travel 1,600 Kilometers Unveiled By Alcoa And...
http://www.autogo.ca/en/news/technology-and-accessories/an-electric-car-that-can-travel-1-600-kilometers-unveiled-by-alcoa-and-phinergy

水と空気で走る究極のエコカーともいえる車両を開発したのは、イスラエルに拠点を置くPhinergy(フィナジー)社と、世界でも有数のアルミニウムおよび関連製品メーカー「Alcoa(アルコア)」のカナダ法人であるAlcoa Canadaの開発チーム。両者が開発した空気アルミニウム電池を搭載した車両はすでに走行実験を済ませており、F1カナダGPが開催されているカナダ・ケベックのジル・ヴィルヌーヴ・サーキットでのデモ走行も実施されています。


そのデモ走行の様子が以下のムービーに収められています。

Alcoa-Phinergy electric car demonstration at Circuit Gilles-Villeneuve - YouTube


走行デモに用いられたテスト車両。ベースとなっているのは、トヨタとPSA・プジョーシトロエンによる合弁企業が開発し、シトロエンが販売していたシトロエン・C1とみられます。左側のドアには、Phinergy社の赤いロゴがデザインされています。


反対側にはAlcoa社のロゴが見えていました。


トランク部分には、どーんと空気アルミニウム電池のシステムが搭載されています。


黒い姿を見せているのがシステムのメインとなる電池モジュール。正確なサイズや重量などは公開されていませんが、25枚のユニットをつなげたモジュールが上下に2台配置されており、合計で50枚のユニットから構成されています。


緑あふれるジル・ヴィルヌーヴ・サーキットの本コースに入りました。


順調に走行する車両。



さすがにレーシングスピードでの走行というわけには行かなかったようですが、4名の乗員を乗せて順調にコースを周回する様子。


2017年の実用化に向け、高いレベルまで技術開発が進められています。


Phinergy社が開発して実用化目前に達している「空気アルミニウム電池自動車」のシステムについて、以下のムービーで解説されています。

Phinergy drives car by metal, air, and water - YouTube


空気アルミニウム電池とは、空気中の酸素をアルミニウムで反応させることによって電力を発生させる電池。その仕組みは古くから知られていたものでしたが、実用化にはさまざまなハードルが立ちはだかっていました。


電池の内部では薄いアルミの板が負極の電極(Metal Anode)として持ちいられており、これに電解液(Electrolyte)となる水と、正極としての空気の層(Air Cathode)が配置されるいう構造になっています。通常の電池では正極にも金属を用いる必要があるのですが、今回はこれを空気に置き換える技術が開発 されたことで大幅な軽量化が可能になり、高い重量エネルギー密度を実現して長い航続距離を得ることになった、というわけです。



PhinergyのCEOであるAviv Tzidon氏は、この技術がもたらすのは「非常に高いエネルギー密度」であり……


二酸化炭素を一切排出しない『ゼロCO2エミッション性』


環境に負荷を与えないことなどによるサスティナビリティ(継続可能性)


そしてほぼ100%のリサイクル性を挙げています。


用いられるアルミの電極は、Alcoa社のような企業が提供するアルミナ(酸化アルミニウム)から製造されます。電池の中で化学反応を起こしたアルミ電極は水酸化アルミニウムへ と変化してしまい。以降はもう電極として利用することはできなくなります。そのため、Phinergyではアルミ板を交換可能なカートリッジ式とし、寿命 を迎えたアルミ板を取り外して再利用するというリサイクルシステムを作り上げています。取り外されたアルミ板は再処理が施され、新たなアルミ素材(アルミ ナ)として再利用される、という仕組みになっています。


この車両に実際に試乗したBloombergの記者によるレポートがこちらのムービー。

Phinergy 1000 Mile Aluminum Air Battery On The Road In 2017 - YouTube


手に持っているのが、実際に使われているアルミ電極です。


ムービーを見るとわかりますが、少し派手なのを差し引くと普通の乗用車のように走行するデモ車両。


運転の様子も、特に変わった点はありません。


そしてたまに必要になるのが、電池用の水の給水。


ガソリン車と同じように、給水タンクにホースを差し込んで水を流し入れます。


実際に給水されている水を飲んでみる2人。このように、まったく害のない普通の水が使われるのも特徴の1つとなっています。Alcoa社によると、化学変化を起こし続けるために必要な給水は通常で1か月から2か月に一度でOKとのこと。


なお、この技術は自動車向けの用途に限らず、さまざまな方面での活用が可能とのこと。停電時のバックアップ電源や、災害時に電源を確保するための予備電源としての活用も可能とされています。

これらのムービーを見てもわかるように、空気アルミニウム電池自動車の技術はかなり実用化に近いところにまで達しているようです。実際にアルミ板をリサイ クルする際には大きな電力が必要になるため、トータルで考えた二酸化炭素排出量やコストがどうなっているのか、注意深く見つめることも重要ではあります が、空想の世界でしか存在しなかった「空気と水で走るクルマ」がいよいよ実現するという瞬間が近づいてきているのは確実なようです。

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2014年06月14日 18時00分49秒 in ハードウェア,   サイエンス,   ムービー,   乗り物, Posted by logx_tm


ターボ車:低燃費で復権 エンジン小型化、馬力補う

2014年06月15日 | 自然科学・技術・工学

毎日新聞 2014年06月15日 08時16分(最終更新 06月15日 11時15分)

世界で発売されるターボ車(3.5トン以下)の数の推移
世界で発売されるターボ車(3.5トン以下)の数の推移
富士重工業のレヴォーグ=富士重提供
富士重工業のレヴォーグ=富士重提供
日産自動車のスカイライン=日産提供
日産自動車のスカイライン=日産提供

 「燃費が悪くなる」と敬遠されていた「ターボチャージャー搭載車(ターボ車)」が「復権」している。欧州の自動車メーカーが、エンジンを小型化し、不足した馬力をターボ技術で補う「ダウンサイジング」という手法で燃費改善に成功したからだ。燃費向上にしのぎを削る国内メーカーも相次いで市場に投入する。【山口知】

 ターボチャージャーは、国内では日産自動車が1979年、「セドリック」「グロリア」に初搭載した。「馬力が強い」「走り心地が良い」と人気を集め、ホンダ「シティ」やトヨタ自動車「ソアラ」なども続々採用。バブル景気も追い風に「ターボブーム」が起こった。

 ただ当時のターボ付きエンジンは、圧縮した空気が高温になり、「異常燃焼(ノッキング)」を起こしやすいという弱点があった。ノッキングは燃費悪化の原因。バブル崩壊や省エネ志向、環境意識の高まりで需要が激減し、90年代に入ってターボ車はほとんど姿を消した。

 流れが変わったのは2005年以降。エンジン技術の向上でノッキングが解消されたことから、独フォルクスワーゲン(VW)などの欧州メーカーが、ターボを「ダウンサイジング」の切り札として使い始めた。たとえば、排気量1400ccのターボ車は、2000ccの非ターボ車と同等の出力がありながら燃費は2割ほど良い。ターボ車は「低燃費車」に様変わりした。

 国内でもターボ車は 息を吹き返そうとしている。富士重工業は今月発売するスポーツワゴン「レヴォーグ」で、ターボを採用。前身の「レガシィツーリングワゴン」と同等の馬力 で、燃費を約2割改善させた。日産も今月、スカイラインとしては13年ぶりにターボ搭載モデルを発売した。2000ccで2500cc並みの馬力があると いう。両社は「ダウンサイジングによる低燃費化」を前面に打ち出し、「第2のターボブーム」を起こしたい考えだ。

 低燃費といえば、エンジンと電気モーターを組み合わせるハイブリッド車(HV)が代表格だが、高度な技 術が必要で価格は割高。このため、新興国などでは「HVよりもターボによる燃費改善が中心になる」(住商アビーム自動車総合研究所の宋太賢ストラテジス ト)とみられている。

 三菱重工業は、13年のターボ車(3・5トン以下)の世界販売台数が4年前の8割増に当たる2400万 台だったと推計。20年には4600万台になるとみて、米国での工場新設などを進める。国内向けでシェア6割を占めるIHIも、16年度までに生産能力を 現状より3割増やす計画だ。宋さんは「20年は世界販売の4割、国内でも3~4割がターボ車になる」と予測する。


小保方晴子ユニットリーダーのコメント全文

2014年04月01日 | 自然科学・技術・工学

 調査報告書に対する、小保方晴子ユニットリーダーのコメントは次の通り。(原文にない説明を一部補足=〈〉内)

     ◇

 調査委員会の調査報告書(3月31日付け)を受け取りました。驚きと憤りの気持ちでいっぱいです。特に、研究不正と認定された2点については、理化学研 究所の規程で「研究不正」の対象外となる「悪意のない間違い」であるにもかかわらず、改ざん、ねつ造と決めつけられたことは、とても承服できません。近日 中に、理化学研究所に不服申立をします。

 このままでは、あたかもSTAP細胞の発見自体がねつ造であると誤解されかねず、到底容認できません。

 レーン3の挿入〈画像の切り張り〉について

 Figure1i〈論文中の遺伝子解析の画像〉から得られる結果は、元データをそのまま掲載した場合に得られる結果と何も変わりません。そもそも、改ざ んをするメリットは何もなく、改ざんの意図を持って、1iを作成する必要は全くありませんでした。見やすい写真を示したいという考えから1iを掲載したに すぎません。

 画像取り違え〈博士論文と酷似の画像使用〉について

 私は、論文1〈STAP細胞の作製方法を示した論文〉に掲載した画像が、酸処理による実験で得られた真正な画像であると認識して掲載したもので、単純なミスであり、不正の目的も悪意もありませんでした。

 真正な画像データが存在していることは中間報告書でも認められています。したがって、画像データをねつ造する必要はありません。

 そもそも、この画像取り違えについては、外部から一切指摘のない時点で、私が自ら点検する中でミスを発見し、ネイチャーと調査委員会に報告したものです。

 なお、上記2点を含め、論文中の不適切な記載と画像については、すでにすべて訂正を行い、平成26年3月9日、執筆者全員から、ネイチャーに対して訂正論文を提出しています。

以上

最終更新:4月1日(火)19時51分

読売新聞

 

STAP論文:小保方リーダー代理人「撤回の意向ない」

2014年04月01日 | 自然科学・技術・工学

毎日新聞 2014年04月01日 20時02分(最終更新 04月01日 20時35分)

小保方晴子・研究ユニットリーダー=神戸市中央区で2014年1月、根本毅撮影
小保方晴子・研究ユニットリーダー=神戸市中央区で2014年1月、根本毅撮影

 「承服できません」−−。新たな万能細胞「STAP細胞」の論文不正問題で、理化学研究所発生・再生科 学総合研究センターの小保方晴子・研究ユニットリーダー(30)の代理人の弁護士が1日、小保方氏が調査委員会の最終報告書を受け取った時の様子などを明 らかにした。憤りの表情を浮かべたといい、同意したとされる論文撤回についても「本人にその意向はない」と明かした。今月9日までに、調査結果に対する不 服を申し立てるとしている。

 代理人の三木秀夫弁護士(58)=大阪弁護士会=が大阪市内の事務所で、報道各社の取材に応じた。

 三木弁護士によると、小保方氏は先月31日、神戸市内の理研の施設で、担当理事から最終報告を受け取 り、三木弁護士らとともに説明を受けたという。概要を聞くうちにみるみる顔が白くなり、「承服できません」と反論したという。三木弁護士は「驚きと、怒り と、憤りの感情が見て取れた」と振り返る。

 論文撤回を巡っては、先月14日にあった中間報告の記者会見で、竹市雅俊センター長が「撤回を提案する と、小保方さんは心身ともに疲れ切った状態で、うなずくという感じだった。それで了承したと判断した」と説明した。しかし、三木弁護士は「本人に撤回の意 向はない。STAP細胞の発見については疑いがないと考えている」と否定した。

 STAP細胞の作製が再現できないとの指摘が相次いでいることについては、「結果が出るまでに半年、1年かかるものを、なぜすぐにできないと言うのか」と不満を述べているという。

 小保方氏は今年1月末、英科学誌ネイチャーに論文を発表した際に毎日新聞などの取材に応じたのを最後 に、報道各社の取材を断っている。三木弁護士によると、現在、ストレスから体調を崩し、「精神的にも不安定で、感情がすぐ高ぶる状態」。関係者が常に付き 添い、事実上、仕事を休んでいる。ただ、小保方氏が自ら説明するため、記者会見の開催も検討しているという。【畠山哲郎】


ゲノム研究から新たな人種差別「ネオレイシズム」の懸念

2014年03月18日 | 自然科学・技術・工学

ゲノム研究から新たな人種差別「ネオレイシズム」の懸念

2014年02月25日 10:58 発信地:シカゴ/米国

南アフリカの反アパルトヘイト(人種隔離政策)運動の指導者だった故ネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)元大統領を追悼するために米カリフォルニア(California)州ロサンゼルス(Los Angeles)の教会で行われた礼拝のパンフレット(2013年12月8日撮影)。(c)AFP/Getty Images/David McNew

【2月25日 AFP】科学界ではこの数十年間、奴隷貿易やナチス(Nazi)の優生学を正当化する主張を覆す努力がなされてきたが、遺伝情報の解析が進歩した近年は、新たな科学的人種差別の時代に突入しようとしている──。米国科学振興協会(American Association for the Advancement of ScienceAAAS)の年次会合でこのような指摘があがった。

 米シカゴ(Chicago)で開かれた米国科学振興協会(American Association for the Advancement of ScienceAAAS)の年次会合でこの問題を掲げた人類学者たちは、「ネオレイシズム」といわれる新たな形態の人種差別が科学研究の場に根を下ろしつつあるとし、「人種」という概念が存在し、生物学的、習性的、文化的観点から異なっているという主張を広めていると説明した。

■人種隔離時代、再来の危険

 米ペンシルベニア州立大学(Pennsylvania State University)の人類学教授、ニーナ・ヤブロンスキー(Nina Jablonski)氏は「ゲノム科学は医療の個別化を大きく助け得る」と述べた上で、しかし「悪用」されれば、人間の能力には肌の色や民族的背景に基づき生まれながらに差があるという考えを広める恐れもあると警告した。

 そうした一例としてヤブロンスキー教授は、遺伝的にあらかじめ決定されている学習能力に基づいて子どもたちの学校を分けて異なる学習法を実践すべきと主張する新研究があることを説明した。

 さらに米国で黒人と白人の学校が分けられたり、アフリカ系は劣っていると考えられていた人種隔離の時代を引き合いに出し、「かつて聞いたことがあ る主張で、極めて心配だ。これを提唱している教育専門家たちは肯定的な観点から述べているようだが、実際に採用されれば、容易に歪曲されかねない」と警鐘 を鳴らした。

■健康問題は、遺伝的差異よりも社会的要因

 米国の第一線の科学者の多くは、「人種」が生物学的変数ではないことを認識している。それでも、共通の祖先が一定の生物学的特徴を与え得るという概念は受け入れていると、米ノースカロライナ大学(University of North Carolina)のジョセフ・グレーブス(Joseph Graves)副学部長は指摘する。

 これまでに発表されている研究では、白人よりも黒人のほうが、鎌状赤血球病を発症しやすい血液型やマラリアに強い血液型が多い傾向が見られ、また睡眠病を引き起こす寄生生物から身を守る「APOL1」と呼ばれる遺伝子を持っている確率が高いことが示されている。

 グレーブス氏はこうした発見に異議は唱えていないが、白人と黒人の健康状態の相違は遺伝的差異に大いに起因するという示唆は誤りだと述べる。

「アフリカ系は病気にかかりやすく、死亡率が高いという思い込みが米国にはある。私はこれを『遺伝的に病むアフリカ系伝説』と呼んでいる」

 グレーブス氏はまた、米国の黒人の健康問題は、遺伝的差異よりも社会的要因に負うものだと指摘する。「米国人は、社会的に定義された人種と、生物学的な概念としての人種をずっと混同してきた。ネオレイシズムは、部分的にこの混同がもたらしたものだ」

 さらなる懸念は、オンライン上で一般的に購入が可能なDNA鑑定だ。利用者はこれらの鑑定を通じて、自らのルーツを追跡することができるという。カリフォルニア大学(University of California)の文化人類学者ヨランダ・モーゼス(Yolanda Moses)氏は、そうしたDNA鑑定の流行は、ある人の人種的遺産がその人の健康状態を示すといった考えに拍車をかけるもので、「誤解を招く」と批判している。

■刑事司法への遺伝学の影響

 過去10年の間に、逮捕された人物や、逮捕されたが有罪にならなかった人物の遺伝子プロファイルを含むDNAデータベースが拡大したことについても、モーゼス氏は懸念を示している。「遺伝学は人種と刑事司法制度にも深刻な影響を与えている」と同氏は述べる。

 皮肉なことに、ゲノム学のベースとして「人種」に新たな焦点が当たったのは、研究費の世界最大の出資者である米国立衛生研究所(US National Institutes of HealthNIH)がその下で行う全ての遺伝学研究に可能な限り広範な多様性を義務付けたためだった。その目的は医療格差をなくし、非白人系の人々をもっと臨床試験に含めようとするものとされた。

 しかし、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San FranciscoUCSF)社会学部のキャサリン・ブリス(Catherine Bliss)助教は、80年代にヒトゲノム計画(Human Genome Project)が開始されたときはそうではなかったと話す。

「遺伝子地図の製作者たちが『人種』に触れたがらなかった時代から、さまざまな研究プロジェクトや医薬品も、非白人系の権利運動のごとく捉え直さな ければ生き残れない時代へと私たちは移行してきた。(しかし)今、私たちが直面しているのは、研究や応用を人種化せよという倫理的かつ財政的なプレッ シャーだ」

(c)AFP/Kerry SHERIDAN


STAP細胞:理研、対応が後手に 「単純ミス超えた」

2014年03月12日 | 自然科学・技術・工学

毎日新聞 2014年03月11日 22時57分(最終更新 03月12日 12時09分)

STAP細胞論文で不自然と指摘された主な点
STAP細胞論文で不自然と指摘された主な点

 新たな万能細胞「STAP(スタップ)細胞(刺激惹起<じゃっき>性多能性獲得細胞)」の論文2本が撤 回される可能性が出てきた。論文発表直後から次々と浮上した疑惑に対して後手に回った理化学研究所の対応に、科学界からも批判の声が高まっている。事態が 深刻化した背景で何が起きていたのか。【八田浩輔、須田桃子、根本毅】

 ◇日本分子生物学会が論文疑問点で声明公表

 「単純なミスである可能性をはるかに超え、多くの科学者の疑念を招いている」。細胞生物学など生命科学分野で国内最大級の日本分子生物学会は11日、STAP細胞の論文への疑問点に対する声明を公表した。この問題で同学会が声明を出すのは、3日に続き2回目。理研に論文の撤回を含めた対応を求めるなど、強い危機感を示した。

 STAP細胞の論文は「生物学の常識を覆す成果」として世界を驚かせたが、1月末の英科学誌ネイチャー への発表直後から、複数の画像に不自然な点があるとの疑いがインターネット上で広がった。問題を指摘した匿名の告発ブログは、降圧剤バルサルタンの臨床試 験疑惑や東京大分子細胞生物学研究所の膨大な論文不正を追及するなど、研究者の間で注目されている。

 だが、理研は調査開始時から「成果は揺るぎないと判断している」と強調、指摘には「単純ミス」で済ませるような姿勢だった。文部科学省幹部も「最初は論文撤回のような話ではないと思った。なぜこんなことになったのか」と明かす。

 その後も小保方晴子(おぼかたはるこ)・理研研究ユニットリーダーの過去の論文に疑問点が浮上、「実験を再現できない」との報告も続いた。理研は3月5日、STAP細胞の作製手順書を公表することで、事態の沈静化を目指した。研究チームも、論文の「撤回」ではなく「修正」を前提に、調査結果発表後に情報発信する準備を進めていた。

 ところが、理研内部でも一部研究者から「手順書と論文に矛盾がある。修正で済ませてしまえば、理研は終わる」と、論文撤回を求める動きが活発化した。さらに9日、論文中でSTAP細胞の万能性を示す根拠の一つとなった画像と、小保方さんが2011年に書いた博士論文中の画像が似ていることが、ネットで指摘された。博士論文の画像は骨髄細胞に関するもので、STAP細胞とは関係なかった。

 この指摘が引き金となり、理研の複数幹部が10日、研究チームに論文の撤回を打診。論文著者の一人である若山照彦・山梨大教授は同日午後、他の著 者に撤回を呼びかけるメールを送った。若山教授は11日、毎日新聞の取材に「国内外から、『よくやった』『立派だ』と私の判断を支持するメールが届いた」 と話した。

 日本分子生物学会理事の篠原彰・大阪大教授は「理研は当初から指摘を深刻に受け止め、元データの開示など適切な情報発信をすべきだった。過去の研究不正疑惑に対する研究機関の対応のまずさを教訓にしておらず残念だ」と話す。

 理研広報室は11日の記者会見で、「当初は、重大性を軽視していたと受け取られても仕方ない」と認めた。研究チームの一人は、毎日新聞の取材にこう漏らした。「調査と情報発信のバランスについて、我々は判断を誤ったのかもしれない」


サッカー競技場3個分の大きさの小惑星が地球に接近

2014年02月19日 | 自然科学・技術・工学

特集: 宇宙関連(397 記事)

 
19.02.2014, 10:25
印刷する 知り合いにメールで教える ブログに書く

метеорит астероид Земля

 
Photo: Vesti.ru

   サッカー競技場3個分の大きさの小惑星が、地球近傍を通過した。小惑星2000 EM26は2000年3月5日、天文学者らによって発見された。

   2000 EM26は2月18日、地球から約260万キロの距離を秒速12キロで通過した。2000 EM26の直径は、約270メートル。

   小惑星が地球の近くを通過する様子は、カナリア諸島にある望遠鏡が捉え、インターネットで生中継された。

   Vesti.ru


なぜ90日で止まるはずの火星無人探査機は10年間動き続けているのか?

2014年02月17日 | 自然科学・技術・工学

2014年02月15日 15時22分05秒

なぜ90日で止まるはずの火星無人探査機は10年間動き続けているのか?



NASAは「火星探査機ミッション」のため「スピリット」(MER-A)と「オポチュニティ」(MER-B) という2機の無人探査機を火星に送って調査を実施しています。火星に着陸した2機の探査機は、90日で稼働を停止すると予想されていましたが、オポチュニ ティは3560日経過した今でも地球へ写真を送り続けています。なぜ探査機は当初の予想をはるかに上回って10年も稼働することができたのか?ということ がまとめられています。

Why This Mars Rover Has Lasted 3,560 Days Longer Than Expected - SFGate
http://www.sfgate.com/technology/businessinsider/article/Why-This-Mars-Rover-Has-Lasted-3-560-Days-Longer-5173078.php


Mars Exploration Program: Spirit & Opportunity 10-Year Highlights
http://mars.nasa.gov/mer10/

2003年7月7日に「火星探査機ミッション」によって送り出された2機の無人探査機「スピリット」と「オポチュニティ」は、2004年1月24日までに 火星に着陸しています。ミッションは90日間を想定していましたが、スピリットは2010年まで約6年間にわたって稼働、オポチュニティにいたっては10 年が経過した2014年現在も地球に向けて火星のデータを送り続けています。


火星の地面は鋭い岩と険しい丘で覆われ、多くのちりを含んだ竜巻が地表を吹き荒らしています。火星の気温は夏に華氏80度(摂氏26度)まで上昇し、冬には華氏マイナス199度(摂氏マイナス128度)まで低下する厳しい環境。NASAのウェブサイトによると、探査機はゴルフカートほどの大きさで、険しい地面を乗り越えられる6輪の「ロッカー・ボギー」というサスペンションシステムによって転ばないよう設計されています。また、ボディの中に内蔵しているヒーターと温度感知装置によって厳しい寒さの中でも稼働することが可能です。


科学者チームは、火星に吹き荒れる風とホコリが数カ月の間に動力源であるソーラーパネルを覆ってしまうと考えていましたが、強い風はパネルの表面に積もっ た砂ぼこりを吹き飛ばしてくれるため、動力を維持することができているとのこと。火星探査機ミッションのマネージャーであるジョン・カラス氏は「厳しい環境下で稼働できる技術的な設計と、人知を超えた幸運によって想像もできない長寿を可能にしました」と語っています。


2機の探査機に与えられた最も重要な目的は、初期の火星の環境条件において水が存在した証拠や、生命が存在する可能性を調査することでした。調査の結果、 太古の火星には湖の存在や川が流れていた形跡を発見することに成功しています。さらにオポチュニティの最近の活動によって「エンデバー・クレーター」から、火星に少量の粘土鉱物が存在する可能性を示したり、不思議なゼリードーナツ型の岩を13日間にわたって撮影することに成功しています。


思いがけない数々の発見を収めている探査機は、現在までの走行距離は約39kmに達し、17万枚にのぼる写真イメージを地球に送信し続けていますが、カラ ス氏によると「探査機の10の計器のうち2つは故障しており、ロボットアームは『関節炎』にかかるなど、機体の老朽化が進んでいます」と話しています。


「iPSに誤解」山中教授 STAP細胞と比較 残念

2014年02月11日 | 自然科学・技術・工学

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)の生みの親で京都大iPS細胞研究所の山中伸弥(しんや)教授が十日、京都市内で記者会見し、理化学研究所(理 研)のチームが作製した新たな万能細胞「STAP細胞」をめぐり、iPS細胞はSTAP細胞よりがん化のリスクが高いなどとする「三つの誤解がある」との 見解を表明した。

 STAP細胞については「未来の医療、たとえば移植に頼らない体内での臓器の再生などにつながる可能性がある」とし、京大で研究に取り入れる意向を示した。

 ほかに誤解だとしたのは、作製効率はiPS細胞が0・1%でSTAP細胞は30%、iPS細胞の作製はSTAP細胞より難しい-の二点。

 山中教授は二〇〇六年に発表したマウスでのiPS細胞作製では、発がんに関連する遺伝子を使ったり、作製効率が悪かったりしたと説明した上で「今のiPS細胞は全く違う技術だ。なぜ昔との比較で報道されたのか、残念だ。心を痛めている」と述べた。

 安全性は動物実験で十分確認しており、人のiPS細胞の安全性は「臨床研究で最終確認を待つ段階」とした。作製効率は上昇したほか、世界中の研究者に作られている簡単な技術と強調した。

 マウスを使いSTAP細胞を作製したと一月に発表した理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダーには「できることは何でもさせていただきたい。ノウハウを教えてほしい」と呼び掛けた。


海水から簡単にリチウム回収=セラミックス膜で分離、「発電」も-原子力機構

2014年02月08日 | 自然科学・技術・工学

海水から簡単にリチウム回収=セラミックス膜で分離、「発電」も-原子力機構

 

 海水に含まれるリチウムを特殊なセラミックス膜で簡単に分離、回収する技術を開発したと、日本原 子力研究開発機構が8日までに発表した。リチウムイオンが膜を通過する際に「発電」もできる。今後、膜を薄くして効率を高め、面積を拡大して回収量を増や すことができれば、工業化が期待できるという。
 リチウムはリチウムイオン電池に使われ、携帯電話、パソコンや自動車、家庭用蓄電池向けに需要が 高まっている。大半が南米の塩湖で生産されるが、供給不足に陥る恐れがある。一方、海水にはリチウムが無尽蔵に含まれるが、濃度が非常に薄いため、回収に エネルギーが必要な場合は採算が合わない。
 原子力機構の星野毅研究副主幹らは、次世代のリチウムイオン電池の電解質材料として開発が始まっているセラミックスを分離膜として使う方法を考案した。
  実験では、容器に入った海水と希塩酸液をセラミックス膜で仕切り、膜の両面に電極を設置して電線でつないだ。その結果、海水中のリチウムイオンが自然に膜 を通過して希塩酸液側に移動し、濃縮された。海水側のマイナス電極からは電子と塩素ガスが発生し、電子は希塩酸液側のプラス電極に流れて水素ガスを発生さ せた。
 5センチ角で厚さ0.5ミリの膜を6枚使って30日間実験し、希塩酸液を処理したところ、炭酸リチウムを約20ミリグラム回収できたという。(2014/02/08-05:24)


iPS細胞の作製効率20倍に 理研、マウスで成功

2014年02月07日 | 自然科学・技術・工学

 タンパク質ヒストンを利用して作られたiPS細胞(理化学研究所提供)

写真

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作る効率を従来の約20倍に上げる作製法をマウスで開発したと、理化学研究所などのチームが6日付の米科学誌電子版に発表した。

 チームは、卵子の中に大量に存在するタンパク質ヒストンに注目。マウスの体細胞からiPS細胞を作る際に、山中伸弥京都大教授が発見した4遺伝子に加えて、特殊なヒストンを作る2種類の遺伝子を組み込んだ。

 その結果、iPS細胞ができる割合が従来の約10倍になった。さらにヒストンの働きを助けるタンパク質も加えると約20倍に高まった。作製は従来より2~3倍早くなり、通常数週間かかるところを1~2週間でできるという。

(共同)

鳥取大、癌は容易に正常細胞や良性細胞へ変換できることを発見

2014年02月04日 | 自然科学・技術・工学

鳥取大、癌は容易に正常細胞や良性細胞へ変換できることを発見

癌は、容易に正常細胞や良性細胞へ変換できる
単一のマイクロRNAの導入により
~抗癌治療や再生医療としての応用に期待~



【概要】
  鳥取大学の研究グループ(代表:鳥取大学医学部病態解析医学講座薬物治療学分野 三浦典正 准教授)は、自身がクローニングしたRNA遺伝子の機能解析に 従事している際、この遺伝子に関連して発現変動する単一のマイクロRNAを悪性度の高い未分化癌に導入すると、容易に悪性度を喪失させることができ、正常 幹細胞へ形質転換できることを、世界で初めて発見しました。同研究グループは、2012年に、肝癌において未分化型や高分化型細胞株を用いて、in  vivo(免疫不全マウスを用いた動物実験)において、いずれも悪性形質を失わせ、成熟型奇形腫、正常肝組織、腫瘍非形成の3種のパターンに誘導できるこ とに成功しています。また他の未分化型癌においても可能であり、本分子が有用であることが明らかになりました。このたった1つのRNA分子からなる製剤開 発により、癌に対する有効な医薬品に応用できるものと期待されます。
 本成果は、国際的科学誌である「Scientific Reports  誌」のオンライン版で平成26年1月24日に公開されました。なお、本研究は、文部科学省科学研究費(挑戦的萌芽研究)、独立行政法人 科学技術振興機構 (JST)A-STEP【FSステージ】シーズ顕在化、武田科学振興財団研究、高松宮妃癌研究基金の助成研究として行われました。

■背景
  研究グループ代表は、自身のクローニングした遺伝子がRNA遺伝子であり、癌の第一抗原と目されてきたヒトテロメレース逆転写酵素遺伝子(hTERT)と 関連して、特に未分化なヒト癌細胞において、その発現を制御させる性質をもつ特異な遺伝子として、発がんや癌の悪性度に関わる遺伝子として機能解析をして きました(2009年BMC Mol.Biol.に発表)。また、未分化型悪性黒色腫でも当該RNA遺伝子が増殖抑制できることを、製剤候補としてハイド ロゲルやアテロコラーゲンを用いて確認してきました(2013年Nucleic Acid Therapeuticsに発表)。この度、このRNA遺伝子 をshRNA法という遺伝子発現を抑制する手法により10種程度のヒトマイクロRNAが発現変動することを突き止め、その1つ1つを癌細胞の中へ導入する ことで、最も癌を制御できる有効なものを検討しました。その結果miR-520dが驚くべき現象を誘導しました。
 2012年2月に、山中教授ら が当初iPS作製に使用した293FT細胞、または未分化な肝癌細胞、膵癌細胞、脳腫瘍、悪性黒色腫細胞で、球状の幹細胞または癌幹細胞様の細胞へ容易に 変化させ、その細胞はP53という癌抑制遺伝子を高発現していることを見出しています。それまでは、マイクロRNAのがんや再生医療の報告として、 miR-302 family,miR-369,200cに関して多数種の併用でリプログラミングの試みがなされていますが、たった一つでこのような効果 をもたらす報告はありませんでした。


■内容
 本研究では、まず未分化な肝癌細胞がmiR-520dにより、12時間程度 でP53,Nanog,Oct4陽性の細胞へ変化し、miR-520d導入細胞がマウスでその癌とは全く異なる組織(奇形腫や正常肝臓組織)を形成した り、腫瘍を全く形成しなかったりすることがわかりました。高分化型癌でも1ヵ月程度で同様の細胞へ変化します。このことは、悪性度の高い低分化なものほど 容易に良性形質になりやすいことを意味します。この結果から、メカニズム解析と同時に、治療的効果の検討を行っており、脱メチル化による脱分化誘導がその 原因の1つであることも証明しました。
 他の癌でも派生元の細胞の性質をより強く持つ全く異なる細胞へ形質転換できることから、多くの未分化な癌 細胞で有用な分子であることがわかりました。たった一つの生体分子が、このように劇的に癌細胞の状態を変えてしまうことは、癌根絶の夢が目前に来ており、 この領域の研究及び製剤開発が推し進められることで早期に実現する可能性も高まりました。

■効果
 医療の現場では、癌細胞は集学 的に研究や治療が試みられており、癌幹細胞の根絶が困難なため再発が、担癌患者の心身を蝕みます。この小さなRNA分子(20mer)のメリットは、癌幹 細胞への感受性が高いことで、他に治療法のない末期的な担癌状態に奏効すること、また抗がん薬で有効でなかった癌細胞に癌治療のアジュバント療法として奏 効する可能性が極めて高いことです。このRNAからなる癌細胞へ送達できる製剤との併用により、従来にない作用機序の医薬品としての応用が期待できます。 また癌に対する核酸医薬の中心的な役割を果たすことが期待できます。またP53の発現を誘導することから、再生医療でもiPS細胞の品質管理などに応用で きる可能性があります。


【掲載論文】

 題名:“Hsa-miR-520d induces hepatoma  cells to form normal liver tissues via a stemness-mediated process”(ヒトマイ クロRNA(miR-520d)は幹性誘導により肝癌細胞を正常な肝組織に誘導する。)

 著者:Satoshi Tsuno,Xinhui Wang,Kohei Shomori,Junichi Hasegawa,Norimasa Miura

 雑誌名:Scientific Reports(出版社:Nature Publishing Group)

 オンライン版URL:http://www.nature.com/srep/2014/140124/srep03852/full/srep03852.html


【参考図】

 ※添付の関連資料を参照