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(記者有論)派遣法改正 働く側の権利はいいのか 沢路毅彦

2014年03月28日 | 労働・雇用

(記者有論)派遣法改正 働く側の権利はいいのか 沢路毅彦

2014年3月22日05時00分

 労働者派遣法の改正案が閣議で決まり、国会に提出された。成立すると派遣法の骨格はがらりと変わる。

 改正案の一番の目的は規制をわかりやすくすることだ。

 今のルールでは、派遣受け入れ期間に最大3年の制限がある業務と、制限がない業務がある。改正案では派遣労働者ごとに期間を制限することにして、どんな業務でも一律3年にする。

 ただ、こうなると、人を入れ替えれば、ずっと派遣労働者を受け入れられることになる。だから、労働組合や野党の一部は「“生涯ハケン”を可能にする改悪だ」と批判している。これに対し、「規制強化の面もある。派遣労働者のキャリアアップも義務づける」というのが厚生労働省側の反論だ。

 確かに、改正案ではすべての派遣会社が許可制になる。労働者に必要な教育訓練をすることも派遣会社の義務だ。教育計画を整えることが許可の条件になるので、経営体力が弱い業者は淘汰(とうた)される、というのが厚労省の説明だ。

 しかし、業界の淘汰が進んで一つ一つの派遣会社が大きくなったとしても、派遣労働者の処遇が良くなるとは限らない。教育訓練を受けることが、賃金向上に結びつくという道筋もはっきりしない。

 その理由は結局、改正案に盛り込まれたのが行政の権限ばかりで、派遣労働者自身の権利がほとんど強化されていないからだと思う。正社員との均衡待遇はうたわれてはいるものの、指針どまり。均衡待遇を求める声は事実上、門前払いされた。

 もう一つ、今回見送られた大事な論点がある。派遣労働者団体交渉権だ。

 派遣労働者が派遣先企業と団体交渉する権利は、裁判例労働委員会の命令では、限られた場合にしか認められていない。「派遣先との団体交渉権を認めて欲しい」というのは、処遇改善を求める派遣労働者の一致した意見だ。

 労働者派遣は、労働者を雇う派遣会社と、実際に働く派遣先の企業が違う「間接雇用」であることが最大の特徴だ。派遣会社と派遣先企業の関係は、企業間の商取引だから、派遣労働者は、よほど強い交渉力を持たないと、不安定な立場に置かれ、賃金が買いたたかれやすくなる。

 労働者派遣が解禁されることになって、来年で30年。派遣という働き方が日本社会に定着したというのなら、なおさら、派遣労働者の権利を正面から議論することが筋だ。

 (さわじたけひこ 編集委員)


「脱法」水際作戦横行 生活保護法 見直しに便乗

2014年02月04日 | 労働・雇用
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 生活保護費の抑制を目的とする改正生活保護法が昨年末に成立したのと前後し、全国の自治体で申請を拒む「水際作戦」が強化されている。扶養は保護 受給の要件ではないのに、あたかも要件であるかのような説明が横行。「法改正後も実態は変わらない」という厚生労働省の説明は早くも空証文となっている。  (上坂修子)

 改正法は一部を除き七月に実施される。自治体が扶養を断る扶養義務者に説明を求めたり、扶養義務者の収入や資産の状況に関し、勤務先などに調査することを可能にする。ただし、あくまで調査ができるだけで、扶養義務者が援助を断ってもこれまで通り、生活保護は受給できる。

 にもかかわらず、改正法の審議中に、全国の約三分の一に当たる四百三十六の福祉事務所が、申請の際に「扶養義務を果たさないと生活保護は受けられない」という誤った書面を扶養義務者に送っていたことが分かった。厚労省は該当する自治体に表現を改めるよう通知を出した。

  改正法成立直後には、大阪市が受給者を扶養する義務がある親族に援助を求める場合の金額の「目安」を公表。母子家庭に子ども(十四歳以下)の父親が援助す る場合、年収六百万円なら最大月八万円。まず親族に受給者がいる市職員に援助するよう求め、七月以降は一般市民も対象にする。

 大阪市福祉局は「あくまで目安。強制ではない」と主張している。しかし、改正法成立や昨年八月から始まった生活保護費の切り下げなど、安倍政権の「生活保護バッシング」に便乗した感はぬぐえない。

 NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの稲葉剛理事長は「非常に脱法的だ。『基準』にすると法律に抵触するので『目安』として数字を出し、扶養義務者にプレッシャーをかける。姑息(こそく)な手段だ」と批判する。

 若者の生活相談などを行っているNPO法人「POSSE」が二〇一一年から三年間で受け付けた二百九十九件の生活保護申請に関する相談のうち、明確に違法と判断できるケースが全体の四分の一に当たる七十七件あったという。

  都内に住む五十代の男性は十年ほど前に胃がんになり、働けなくなった。何度も拒まれたが昨年三月、申請にこぎ着けた。だが、福祉事務所から長年会っていな い兄に扶養できるか照会すると迫られた。男性は父親の遺産相続で兄と争っていた。住んでいた家が兄の名義で「何かあったら追い出される」と不安に思ってい ると説明したものの、取り合ってもらえないため申請を取り下げた。

 厚労省通知は「適当でない」と認められる場合は照会を差し控えるよう指 導している。吉永純花園大教授(公的扶助論)は「国会での改正論議を踏まえ、付帯決議で確認された『扶養義務の履行は要件ではない。申請権は侵害してはな らない』などの点を自治体は自ら点検し、しっかり法にのっとった運用をしなければならない」と話している。

<改正生活保護法> 昨年12月 に成立。保護の申請時に、本人の資産や収入などを記した申請書と所定の書類の提出を義務付けるなど手続きを厳しくし、不正受給対策として罰金の上限を30 万円から100万円に引き上げた。厚生労働省によると、全国の生活保護受給者は昨年10月時点で216万4338人と過去最多。

(東京新聞)


若い女性が貧困に陥るワケとは? ハマると脱け出せない2つの"貧困スパイラル"

2014年02月03日 | 労働・雇用

若い女性が貧困に陥るワケとは? ハマると脱け出せない2つの"貧困スパイラル"

投稿日: 2014年02月02日 17時09分

昨年11月、大阪で31歳の女性が生活に困った末に餓死するという事件が起こった。ガス・電気・水道などのライフラインはすべて断たれ、冷蔵庫には 中身のないマヨネーズしかなかった...などの悲惨すぎる状況が報じられ、「若い女性の貧困」が社会問題として注目を集めている。若い女性が、それほどま でに生活に困るのはなぜか。実際に、筆者が理事を務める困窮者支援団体に相談された事例からみてみよう。


■30歳女性・Aさんの場合

首都圏に住む30歳のAさん。一人暮らしだ。大学を出た後、正社員で就職したものの賃金は安かった。節約しながらの生活。貯金もしていたが、低賃金・一人暮らしでは、それほど大きな額が貯まるわけもなかった。

そんな中、友人の紹介でつき合い始めた男性と彼の家で半同棲生活となるも、しばらくして彼のDVが始まった。まさか友人の紹介でそんな目に遭うとは 思わなかったAさんだが、とにかく荷物をまとめて彼の家を出た。また居場所を知られないように自分の家も転居を余儀なくされた。

しかし勤務先は知られているので、「会社の近辺で待ち伏せでもされたら...」と不安になったAさん。思い切って上司に相談してみると、終業後飲み ながら親身に話を聞いてくれた...と思った。しかし、帰り道、ホテルに連れ込まれそうになり、断ると翌日からパワハラが始まった。

元彼について地域のDV窓口や警察にも相談したが、「元交際相手は配偶者ではない」「今は緊急性がない」と取り合ってもらえなかった。結局、元彼へ の不安や恐怖、上司からのパワハラでうつ病になり、退職するハメに。その後、日払いのアルバイトなどでつなぐが、転職もかなわず、手元の貯金は減ってい く。保険料、医療費も高額で支払えなくなり、病院にも通えなくなった。

田舎の両親は既に高齢で年金生活。自営業だった両親の年金の支給額は少なく、さらに無職の姉が同居しており、頼れる状況ではなかった。Aさんの手元にあるお金は3万円を切っていた...。


■不運が重なれば誰でも貧困に陥る

Aさんのケースは典型例だ。何か一つの原因で食べるものにも事欠くほどの貧困状態に陥ることは少ない。

仕事が低賃金過ぎてあまり貯金できない中失業した、虐待やDVなどがあり手元に資金のない中逃げてきた、病気や高齢の家族に援助していたら自分も共倒れに...など、いくつかの要因が運悪く重なりどうにもならない貧困状態に陥る。


■一度ハマると脱け出せない2つの "貧困スパイラル"

そして一度困窮してしまうと、「仕事」と「メンタルヘルス」の状況悪化によって、負のスパイラルに陥ってしまうことが非常に多い。

貧困状態では仕事は選べない。所持金が5万円を切った状態なら、すぐにお金がもらえる日雇いの仕事しかない。もう少しお金があってすぐに就職が決ま るようなら初めての給料日まで食いつなげるが、そんなに簡単に決まる会社は離職率の高いブラック企業である可能性も高い。実際、貧困状態にある人はブラッ ク企業につかまりやすい。日雇いの仕事が切れたり、ブラック企業で使い捨てられれば、すぐに生活が立ち行かなくなる。こうした働き方は「その場しのぎ」に しかならない。

また、働けず貧困状態にある人の少なからぬ女性が、Aさんのようにメンタルヘルスの問題を抱えている。一度メンタルヘルスに問題を抱えた人が貧困状 態になると、医療費がないために病院にかかれない、日雇いの仕事やブラック企業での労働でもやらなければならないなど、無理をしている間に健康状態はさら に悪くなる。病気が重症化すれば、当然仕事はできなくなる。


■公的制度を使って体制を立て直すしかない

こうした"貧困スパイラル"に陥った状態で、頼れる家族もいないとすると、何か公的な制度に頼ってまずは体制を立て直すことが大切であり、その最たるものが生活保護だ。

しかし、どんな状態であれば生活保護受給に該当するのか? 実際、窓口で受給をはばまれる水際作戦もあり、本当に生活保護が受けられるのか、受けてもいいのか、不安もあるだろう。次回「後編」では、万が一のときに参考にして欲しい生活保護申請のノウハウをお伝えする。


【関連記事】


(2014年1月23日「ウートピ」より転載)

 
 
 

 

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NHK「クロ現」に、ひとこと言いたい

2014年02月01日 | 労働・雇用

NHK「クロ現」に、ひとこと言いたい

大西連 | NPO法人自立生活サポートセンター・もやい

2014年1月29日 18時14分
 

 

■女性の貧困を取り上げた「クロ現」

1月27日(月)に放送されたNHKクローズアップ現代「あしたが見えない~深刻化する″若年女性″の貧困~」という番組。

女性の貧困、特に性風俗の世界で働く貧困状態の女性にスポットライトをあてた番組で、託児所と連携した風俗店の存在など、性産業が結果的に公的なセーフティネットよりも彼女たちを支えている現実と、そこで働く女性たちの姿を描いていました。

放送を見損ねた方のために、NHKのHPにて文字おこしされたものが掲載されています。

貧困の背景にある教育の問題や公的住宅など低所得者向けの住宅政策の課題など、提起も含めて放送していて評価できる部分もありました。

しかし一方で、生活困窮されている方と普段、接している立場としては、少し違和感のある内容にもなっていました。

っていうか間違った情報が流れていたので、訂正していただければと思います。

■生活保護の申請には2~3か月もかからない

「市役所にいくら通っても、申請するまで2か月かかるよ、3か月かかるよって。

待ってるわけにはいかないじゃないですか。

だったらもう自分で働こうって決めて、気持ちだけですね。」

体調を崩して働けなくなり、生活保護を申請しましたが、生活状況を細かく調べるのに時間がかかると言われ、断念しました。

女性は、再び風俗の仕事に頼るしかなかったといいます。

まず間違っているのは、生活保護の申請に2~3か月もかからないということです。

生活保護の申請はその日にできます。そもそも、市役所が申請を受理しないのは違法です。(生活保護法2条・7条・24条)

また、生活保護の申請を受けて、決定か却下か役所が判断をくだすまでの期間は、原則14日以内と定められていて、状況に応じて申請日からの生活保護決定も可能とされています(生活保護法24条)。

ですので、上記のようなことは、法律に反した対応を市役所がおこなったということであり、「水際作戦」と呼ばれる窓口での違法な追い返しの被害を受けたということです。

それを考えると、この女性は、生活保護行政の違法な対応により、本来利用できる制度利用にいたらず、風俗の仕事に頼らざるを得なくなった、ということです。

■正しい情報を伝えてほしい

生活保護制度に関しては、さまざまな誤解や偏見が広がっています。今回放送された内容を見て、生活保護の申請には時間がかかるため利用できない、という誤解を抱いてしまう方も多くいるかもしれません。

テロップでもナレーションでもかまわないので、

・生活保護申請はその日のうちに可能であること

・申請から決定(却下)まで法律上原則14日以内であること

・状況に応じて即日での制度利用等が可能な場合もあること

等について、正しい情報を伝えていく必要があったと思います。

■「社会保障の敗北」って簡単に言わないで

また、スタジオでのトークのなかでは、

「性産業というのが、実際、職と共に、住宅であるとか、夜間や病児の保育も含めた保育にまで、しっ かりとしたセーフティーネットになってしまっていて・・(中略)・・これ、社会保障の敗北といいますか、性産業のほうが、しっかりと彼女たちを支えられて いるという現実だと思いますね。」

と語られています。

「社会保障の敗北」というのは、かなり重い言葉でもありますが(共感する部分もあるのですが)、しかし一方で、ここで問題なのは、「公的な支援があるのに適切に利用させてもらっていない」という現実です。

先述したように、公的なセーフティネットは存在し、本来利用できるはずなんです。

でも、窓口での違法な対応により、または制度に対しての誤解や偏見により、結果的に利用できずに、性風俗の世界に頼らざるを得なくなっている。

これって「社会保障の敗北」ではなくて、社会保障を運用している役所の対応の問題や、そもそも私たち一人ひとりが公的制度に対して持っている偏見や無理解の問題なのではないでしょうか。

■抜け落ちる「生活支援」という発想

同様に、番組のなかでは今後の課題として以下の提起がみられます。

・教育段階から支援の手を入れて、生活や就職、自立の支援をしていくこと

・低所得者向けの住宅政策を充実させること

・就労について具体的な支援をしていくための仕組みを作ること

どれも必要な指摘ですが、一番大切な「当座の生活をどう支えるか」という発想が抜け落ちています。

例えば、その日の宿や食事に困っている人が、中長期的な就労について考えるのは難しいですよね。

多少違法な仕事だったり、嫌な仕事でも、生きていくためにやらざるを得ない状況に追い込まれてしまう。

だからこそ、自分の将来を考えたり、心と身体を休めて再出発していくためには、制度を利用して生活を安定させることが何よりです。

「生活を支える」ということは、ぜひ忘れないでもらいたい大きな視点です。

■相談機関の連絡先を載せてほしい

個人的に、実はこれまでNHKも含めたメディアの取材等にはかなり協力しているのですが、その際に必ずお伝えするようにしていることが、番組の最後に、相談機関の連絡先を流してほしい、ということです。

例えば、同じNHKの「ハートネットTV」では、HP上に各相談機関の情報を掲載してくれています。(もやいも協力しています)

ちょっとしたことなんですが、ぜひお願いしたいです。

■NHK「クロ現」に期待を込めて

今回の放送に関わらず、NHKの「クロ現」では、意欲的なテーマに取り組んだり、丁寧な取材によってさまざまな社会の問題を提起してきたりと、僕自身も非常に見ごたえのある番組として、いつも多くの学びをいただいています。

今後も、「貧困」をテーマについて扱う際は、取材協力も含めて協力していきたいと考えていますが、正しく制度理解を進めることや、必要な支援を紹介することなどを、ぜひ心の隅にとどめて、番組作りに活かしていただければ幸いです。

以上

大西連

NPO法人自立生活サポートセンター・もやい

1987年東京生まれ。新宿での炊き出し・夜回りなどのホームレス支援活動から始まり、現在はNPO法人自立生活サポートセンター・もや い、東京プロジェクト(世界の医療団)などに参加。生活困窮された方への相談支援に携わっています。また、生活保護や社会保障削減などの問題について、現 場からの声を発信したり、政策提言しています。主なテーマは「貧困」「生活保護」「社会的包摂」など。

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非正規社員の賃金が低いのは、日本だけ!

2014年01月30日 | 労働・雇用

非正規社員の賃金が低いのは、日本だけ!

河合薫 | 健康社会学者

2014年1月29日 15時36分

著作者: Lara Cores

企業は3年ごとに派遣労働者を代えれば、どんな業務でも、ずっと仕事を任せられるようになった。

派遣や契約などの非正規雇用がますます定着化し、数少ない“社員サン”のイスを就活生が奪いあうようになるのだろうか?

総務省の就業構造基本調査によると、初めて就職した際に非正規雇用だった人の割合は1987年10月~92年9月の13・4%から右肩上がりに増加し、2007年10月~12年9月は39・8%。

男女別では、男性の約3割、女性の約半数が非正規労働者としての採用だった。20年前に比べると、男性は3.6倍、女性は2.6倍に増加している。

最初に就く職業はその後のキャリア人生をも左右する、とても深刻かつ重要な問題だ。

なのに、正社員になりたいけどなれなかった人たちは、解雇されないために子供をあきらめ、「正社員」というニンジンをぶら下げられて、役職をもらえるまで走らされる。

私の知人のお嬢さんは新卒で非正規雇用となり、「1年後に成績が良ければ、正社員になれる」とニンジンをぶら下げられた。残業代が一銭も出 ないにもかかわらず、彼女は毎晩サービス残業をし、上司や先輩に嫌われないようにと、どんなに体が疲れていようとも、頼まれた仕事を抱え込んだ。

そして1年後。彼女は正社員になれたのか?

答えはノー。いや、正確には自分の意思でならなかった。もともと持っていたアレルギー症状が過労とストレスでひどくなり、仕事を続けること自体が困難になってしまったのだ。

さらに、「新卒では契約社員だった人」ではなく、「新卒で正社員になれなかった人」といった「非正規社員」への偏見が、彼等を苦しめることもある。

新卒だけじゃない。

「前の会社では非正規だった人」という受け取り方ではなく、「前の会社で正社員になれなかった人」――。

「非正規社員=正社員になれる能力のない人」―-。といった具合だ。

某食品関連の会社に契約社員として勤める38歳の男性は、非正規ということで、相手の親から“結婚”をダメ出しされた。

「確かに正社員に比べれば 給料は低いです。でも、彼女も働いているので、共働きでやっていけば何とかなる。確かに安定もしていないでしょ う。そのことに自分自身も不安がないと言ったらウソになります。でも、今のご時世、正社員だから安定していると言えるんでしょうか? 非正規だから収入が低く、将来も不安定と見られて、ダメ出しされるなんてショックでした」

正社員と非正規社員という、ただの雇用形態の違いが、今や、身分の違い、身分格差。この状態が、今回の法改正で、ますます広がる可能性は否定できない。

自己の利益を最大限守りたいという欲求を持つのが、人間だ。

ひとたび負け組の集団に属することになった人が、二度と自分たちの集団に這い上がってこられないような行動を無意識に取ることがある。

「今あるものを失うかもしれない」と恐怖を感じた時には、自分が生き残るために人を蹴落とすこともいとわない。それはまさしく、人間の心の奥に潜む、闇の感情が理性を超えて噴出した瞬間である。

ところが、“勝ち組”の枠内にいる人たちは、自分たちが自分たちの名声を守るために、下を蹴落としていることに気がつかない。それがまた、格差を広げさせる。

実際には、大企業の正社員でも、いつ勤務先の破綻に伴って失職するか分からない。将来の安定が保証されていないという点では、正社員も非正 規社員も、今やそう変わらない。にもかかわらず、「正社員=安定」という図式が迷信のようにいまだに残り続け、その“偏見”が彼れらを余計に苦しめ、この 先の暗澹たる将来もたらす可能性は否定できないだろう。

そもそも一体なぜ、「非正規社員の賃金は正社員よりも低くて当たり前」などという常識が、日本ではまかり通るようになってしまったのだろう。欧州諸国では、「非正規社員の賃金は正社員よりも高くて当たり前」が常識なのだ。

フランスでは派遣労働者や有期労働者は、「企業が必要な時だけ雇用できる」というメリットを企業に与えているとの認識から、非正規雇用には 不安定雇用手当があり、正社員より1割程度高い賃金が支払われている。イタリア、デンマーク、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどでも、非正規 労働者の賃金の方が正社員よりも高い。

これだけグローバル化だの何だのと言うのであれば、「非正規社員の賃金は正社員よりも高くて当たり前」という世界の常識に、日本も倣うべきなんじゃないだろうか。

世界の常識の背後には、国際労働機関(ILO)が掲げている、「同一価値労働・同一賃金」の原則がある。

「同一価値労働・同一賃金」の考えに基づけば、「解雇によるリスク」を補うには、非正規労働者の賃金は高くなって当然なのだ。

政治家のみなさん。本気で非正規社員の問題に取り組もうと思うなら、世界の常識に合わせれば済む話だ。

そして、私たちも常識を疑ってみた方がいい。非正規の賃金は低くて当たり前? 非正規は正社員になれなかった人? ってことを……。

河合薫

健康社会学者

健康社会学者(Ph.D.,保健学)。 千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。 気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。 2004年東京大学大学院医学系研究科修士課程修了、2007年博士課程修了(Ph.D)。 産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究。 フィールドワークとして行っている働く人々へのインタビュー数は600人に迫る。 医療・健康に関する様々な学会に所属し、東京大学や早稲田大学で教鞭を取る。

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「処遇に不満のある年収200万円」はごく普通の人

2014年01月30日 | 労働・雇用

「処遇に不満のある年収200万円」はごく普通の人

城繁幸 | 人事コンサルティング「株式会社Joe's Labo」代表

2014年1月29日 9時42分
 

先日、「アクリフーズ」群馬工場の農薬混入事件で容疑者の男が逮捕されたが、男の職場環境を巡っていろいろ議論が起きている。

当たり前の話だが、面白くないことがあったからと言って農薬入れるなんてやっちゃいかんわけで、その点で情状酌量の余地は一切無いが、背景を論点整理しておくのは意義のあることだろう。というわけで、現時点で思うところをいくつかまとめておこう。

正社員との格差は日本企業全体の問題

正社員との間に、生産性では説明できないほどの大きな格差が あったかどうかは、現時点では何とも言えない。ただ、日本企業の現場というのは、賃金に競争原理が働きづらいため、景気の良い時に好条件で就職した50代 の正社員(時給3000円超とか!)と氷河期世代のフリーター(時給千円以下)が平気で同じ仕事をしていたりする。で、そこに派遣社員がいたり請負がいた り、もうなにがなんだかわからない百鬼夜行状態なわけで、誰も賃金格差の理由なんてわかっちゃいないのが実情だ(今度は限定正社員なるものが出来るそうだ から、カオス状態にはますます拍車がかかるだろう)。

「入社時に結んだ契約は何があっても絶対に保護すべきだ、負け組は生まれた時代を恨め」というのが厚労省のスタンスだが、それで納得できる人は多くは無いだろう。正社員と非正規の格差問題というのは、日本企業共通の課題と言っていい。

賃金への不満は無い方が珍しい

「容疑者が処遇に対する不満を口にしていた」という報道もあるが、 筆者の経験で言うと、どこの労組でもアンケートとるとたいてい過半数の従業員が賃金に不満を抱えているもので、それ自体特に違和感は感じない。ちなみに、 以前1社だけ「従業員みんなが現在の賃金に満足している」という企業の人に会ったことがあるが、創業者の著作を全部そろえて手帳に格言とか書いてる目のす わった人だった記憶がある。

地方の工場で年収200万円は別に珍しくない

容疑者の年収200万円という金額も話題となっているようだが、地方の工場だと別に違和感は感じない。東京の感覚で言えば「学生のバイトレベル」なのかもしれないが、とにかく今の地方は仕事が無いのだ。

「でも年収200万円じゃ人生設計なんて出来ないだろう」という声もあるだろうが、そもそも会社に従業員の人生設計なんてする義務はない。それは国の仕事であり、雇用と社会保障を切り離した上で、現役世代向けの新たな社会保障制度を作るのが筋だ。※

従来、国は終身雇用の名の下、国民の人生設計を民間企業に丸投げしてきた。結果的に現役世代向けの社会保障は、GDP比で他の先進国の半分程度に抑制できたものの、それを提供できる大企業に入れる人材と入れない人材との間に深刻な格差を生じさせた。

厚労省はバカの一つ覚えのごとく「非正規の正規雇用化」を推進しようとやっきになっているが、地方で年収200万円で働いている人は冷静に 考えてみるといい。ある日突然、会社が「自分の人生設計が成り立つくらいの金額」をポンと出してくれるなんてことがありえるだろうか?そんなことが出来る のは政府だけである。

まだまだ事件の背景などはこれからいろいろ判明するだろうが、日本の労働市場や社会保障の歪みがいろいろと垣間見られる事件であることは間違いないだろう。

※個人的には消費税引き上げ+給付付き税額控除がおススメだ。

城繁幸

人事コンサルティング「株式会社Joe's Labo」代表

1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入 れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支 持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。 08年より若者マニフェスト策定委員会メンバー。

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厳寒の夜 JR北海道・函館駅舎で生活保護受けずホームレス15年の「主」を追う

2014年01月27日 | 労働・雇用

厳寒の夜 JR北海道・函館駅舎で生活保護受けずホームレス15年の「主」を追う

(01/26 10:55、01/26 15:24 更新)

厳しい寒さの中、開いた駅舎に戻る主(手前)たち=18日午前4時30分ごろ、JR函館駅

厳しい寒さの中、開いた駅舎に戻る主(手前)たち=18日午前4時30分ごろ、JR函館駅

 真冬日が9日続いた今月中旬の函館。厳寒の中で、それぞれの事情で仕事や家を失い、路上で生活する人たちがいる。JR函館駅で、「主(ぬし)」と呼ばれているホームレスの親分的存在の男性に迫った。

   ■元畳職人、足元サンダル

 冬の星座がくっきりと見える17日午後11時。屋外の気温はマイナス7度。函館駅内の木製ベンチに男性4人、女性1人のホームレスが、横になっていた。主は柱の横にあるベンチに陣取り、どっしりと座っていた。

 大きめのダウンジャケットに厚い生地のスラックス。大きなほつれや破れはないが、真冬なのに足元はサンダルだ。「この前、足首をひねってさ」。くるぶしから下が腫れ上がり、靴を履けない。「風邪をぶり返した」と激しくせき込むが、病院には行っていない。

 主は71歳。函館で生まれ育った。中学卒業後、畳職人になるため親方の家に下宿して働いた。両親は主が若いころ、亡くなった。

 50代の時に腰を痛め、畳職人を続けられなくなった。「何度かほかの仕事を探したが、体が動かねえ」。それから15年以上、駅で暮らす。収入や貯金はなく、生活保護も受けていない。

 「なぜ、生活保護を受けないのか」。記者の質問に、「家族関係を聞かれるし、親戚に迷惑がかかる」と、ぶっきらぼうに答えた。

   ■暗黙のルールで生活

 午前1時、バッグからコンビニのおにぎりや総菜を出し、食べ始めた。「駅近くの食堂に行くと、昔からの知り合いの客が『皆に何か食わしてやって』と、たまに2、3千円置いていってくれる」。

 月に2、3回もらうこの金で、主はおにぎりなどを買って、ほかのホームレスに与えている。

 函館駅には常時、7、8人のホームレスがいて、大半の人は主をリーダーとして見ている。主とそりが合わない人は駅を離れたり、駅舎の隅の方にいたりして、顔ぶれは頻繁に変わるという。

 3年前、主が親しくしている40代の女性ホームレスがいた。女性は男性を誘うため駅前で声をかけていた。「そんなことをするなら出ていけ」。主は女性を 駅から追い出した。「ホームレスにも、人に迷惑をかけちゃいけないという、暗黙のルールがある」。別の男性が主の行動を解説した。

 市内の医療、労組関係者で組織する函館地方社会保障推進協議会(社保協)によると、ホームレスになる理由としては「仕事を失う」「家庭内の人間関係」が多いという。

 社保協の支援で生活保護を受けるようになった別の50代の男性は、期間労働で新幹線工事をしていたが、契約満了後は再就職できず路上生活を始めた。

 主はこの夜、新顔の三、四十歳代の女性を見て「誰かがいなくなれば、別の人が来るんだ」とつぶやいた。

   ■未明には閉鎖

 函館駅は列車の発着がない午前3時半から1時間、閉鎖される。時間になると、ホームレスは別々に駅舎を出た。肌を突き刺すような寒さだ。主ら3人は、駅近くのホテルに向かった。

 玄関に入ると体を震わせ、大きく息を吐いた。従業員の視界に入る建物奥へは行かず、自動ドア付近で1時間、立ち続けた。駅前にある「どんぶり横丁市場」にも、駅にいた2人が“避難”していた。駅が開くまで歩き続ける人もいる。

 午前4時半、駅舎へ戻った。この夜初めて姿を見るホームレスもいた。しばらくすると主は2階に向かい、トイレに設置されているヒーターに近づき、重い口を開いた。

 「中学を出てから一生懸命働いてきたつもりだけど、生活が苦しくて年金も納められなかった。若いころは、年を取れば(生活が)楽になると言われてきたけど、ウソだね」

 夜が明け、列車を待つ客が増えると、ホームレスはそれぞれ、日中過ごす図書館やパチンコ店などに向かった。「(ホームレスに)なりたくて、なってるやつはいねえ。でも、おれはこのままでいい」。主はそう言い残し、雪の積もった街をサンダルで歩きだした。(和賀豊)


JR北海道の処分は妥当か?

2014年01月26日 | 労働・雇用
梅原 淳

 JR北海道の処分は妥当か?

投稿日: 2014年01月25日 11時41分

■検査データの改ざんはなぜ行われたのか?

 

ここ数年来、JR北海道は列車脱線事故や車両の不具合といった不祥事を立て続けに起こし、筆者はその真相を探るべく、取材と調査を続けてきた。途中経過ではあるが、JR北海道の現状と今後採るべき道を2013(平成25)年12月に『JR崩壊』(角川oneテーマ新書)にまとめたところ、大きな反響をいただき、感謝に堪えない。

 

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さて、JR北海道をめぐる問題はまだ続いている。同社は2014(平成26)年1月21日、軌道の検査データが改ざんされた問題について実施した社 内調査の結果を発表した。かいつまんで申し上げると、レールやまくらぎ、そしてこれらを支える砂利などの道床(どうしょう)から構成される軌道に歪みが生 じていないかどうかを検査する部門で、本来は補修が必要な数値が測定されたにもかかわらず、検査データを書き換え、補修を怠っていたというものだ。同社は 改ざんに関与した社員56人を処分し、経営責任の観点から同社の役員13人、そして過去に工務部長の職にあり、現在はグループ会社の役員を務めている6人 の報酬を減額した。社員への処分は厳しいものとなり、2人に下された懲戒解雇を最高に、諭旨解雇3人、出勤停止3人、減給8人、戒告13人、訓告9人、厳 重注意16人、口頭注意2人という事態となっている。
 
軌道の検査データの改ざんが明らかになったのは2013(平成25)年11月11日のこと。同年9月19日に函館線大沼駅構内で発生した貨物列車の脱線事 故を受けて国土交通省が実施した特別保安監査によってである。貨物列車の脱線事故現場を受け持つ部署の担当者が国土交通省の立ち入り調査を前にデータの書 き換えに手を染めてしまったのだという。「会社のためを思って」と語った当事者2人は先ほど挙げた懲戒解雇の対象となり、2人が所属する部署の3人の責任 者3人が諭旨解雇の処分を受けている。
 
貨物列車の脱線事故の責任を免れるために行った改ざん行為は許されるものではない。解雇となった社員は鉄道事業法第七十条十六号にあるとおり、国土交通省による立入検査時に虚偽の報告を行ったとして罰金100万円以下の刑事罰を受ける可能性もある。
 
とはいうものの、今回のJR北海道の発表によって筆者が同社が抱える問題の根の深さを感じたのはいま挙げた事象ではない。それは、JR北海道に軌道の保守 を担当する部署が同社には44カ所あるうち、4分の3に当たる33カ所で検査データを書き換え、本来実施すべき補修作業を怠っていたという点だ。
 
事故の責任を免れるためという理由は悪質とはいえ、比較的わかりやすい。一部の社員が引き起こした不祥事と言っても差し支えないであろう。しかし、大多数 の部署で改ざんがまかり通っていたとなると話は別だ。組織的な関与、要はJR北海道が全社的にデータを書き換えるよう指示していたと疑われても仕方がな い。
 
JR北海道は発表の席上で、軌道検査データの改ざんがなされた原因と背景として、「軌道検査データに対する認識不足」「軌道管理業務の不備」「施工能力の 低下」「本社による現場実態の把握不足」の4点を挙げた。そして、経営陣による改ざんの指示は一切存在しなかったと強く否定し、あくまでも固有の部署の抱 える問題だと結論づけた。だからといって経営陣に責任はないとは言うつもりはないが、確かにはっきりとした形で改ざんを命じた事実はなかったのかもしれな い。

 


■足りなすぎる線路保存費

 

筆者が気になったのは、JR北海道が発表の際に「現業機関社員からの意見」と題してまとめた生の声だ。予算の項目には次のような意見が寄せられている。

 

「毎年、予算を要求しても措置されず、職場全体が諦めている。」
 
軌道の検査であるとか補修といった費用は専門的には線路保存費と呼ばれる。国土交通省によると、2011(平成23)年度にJR北海道が支払った線路保存 費は177億6289万5000円であった。同年度のJR北海道の鉄道部門の売上高は757億6546万5000円であり、334億4820万1000円 の赤字を出しているから、この数値だけを見れば苦しい懐事情のなか、よくやっているとさえ思えてしまう。

 

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しかしながら、軌道1km当たりの線路保存費(表参照)を見れば、先ほどの社員の意見が説得力を増す。JR北海道の線路保存費は軌道1kmにつき571万9000円で、JR旅客会社6社はもとより、全国の鉄道会社の水準と比べても半額以下に過ぎないといったありさまだ。
 
JR北海道よりもJR四国やJR九州のほうが金額が少ないから、状況はまだよいなどとは言えない。なぜなら、JR北海道の線路保存費には除雪費用が含まれ ており、両社にはほぼ存在しないと言えるからだ。つまり、軌道1km当たりの線路保存費は実質的にはJR北海道がJR旅客会社中最下位となるであろう。
 
予算不足が原因で軌道の検査データを改ざんしたことをうかがわせる事実はJR北海道自身が発表している。書き換えられたデータの多くは、補修が必要な数値から1~2ミリメートル超えた程度であるという点だ。

 

「予算が足りないので、緊急に補修が必要な個所以外は工事に取りかかってはいられない。そうはいうものの、検査で異常値が発見されたのだから、数値を直して報告しておこう。」

 

多くの部署ではこのような会話が取り交わされたのではないだろうか。
 
何よりも安全が重視される業種であるので、本来はこのようなこともあってはならない。とはいえ、個別の社員や部署の責任者を処分しただけで解決する問題でないことも明らかだ。

 


■長年の疲弊のあぶり出しを!

 

予算にまつわる苦悩はJR北海道が1987(昭和62)年4月1日の誕生以来、片時も離れたことはない。何しろ、同社は本業である鉄道事業において一度も営業利益を計上したことがないからだ。
 
だからといって歴代の経営者が無能だとは言えない。人口密度の低い地域が多く、売上高を年々減らすなか、初年度の1987年度に535億7480万 8000円もあった営業損失を200億円以上も圧縮することに成功したからである。だが、その陰には本来必要な費用を削減してしまったという認識をもたな くてはならない。
 
今回の発表により、JR北海道が一連の不祥事に一区切り付けることができたと考えているのならばそれは甘いと言うべきだ。また、監督官庁である国土交通省 も安心してはならない。今回の問題はJR北海道が抱える構造的なものであり、少子高齢化の進展によってやがては全国の鉄道に波及する。安全よりも予算を心 配する鉄道会社など今後いくらでも現れるであろう。
 
ひとまずJR北海道が行うべきであるのは軌道の検査データ以外にも改ざんが行われていたかどうかだ。規則で検査が定められている対象は、軌道のほか、架線 や変電所、トンネルや橋梁といった構造物、何よりも利用客が命を委ねる車両が挙げられる。この数年来、不祥事が続いたJR北海道にもはや失うものはない。 ならば、この機会に一気に長年の悪弊をあぶり出し、予算面での抜本的な支援策や運賃・料金の改定など、解決に向けて策をめぐらすほうが建設的であり、鉄道 の将来にも役立つと筆者は信じる。


大阪のホームレス支援「Homedoor」の川口加奈さん

2014年01月26日 | 労働・雇用

大阪のホームレス支援「Homedoor」の川口加奈さん

投稿日: 2014年01月24日 16時20分
豊かだと思っていた日本に、凍死や餓死という現実がありました。 見向きもされないホームレス問題に疑問を感じ、Homedoorは歩みはじめました。
Homedoorホームページより。

現在ホームレス支援組織Homedoorの理事長を務める川口加奈さんは、14歳の中学2年生のときに参加した炊き出しの現場で、大阪市内でひどい ときには年間200人ものホームレスの方が路上で凍死や餓死をしている現実を知ったことからホームレス支援の活動を始めました。

「自分なりにできる精一杯のことをしたい」

自分ができることから始めましたが、結果的にその活動がただ単にホームレスの状態を一時的によくするだけのことに気付き、考えた結果、必要なのは、ホームレスそのものを生み出さない仕組みを作ることだという結論に至ります。

そしてホームレス研究が最も進んでいる大学に進学後、現場との関わりを通じて2つのアイディアに出会います。

•ホームレスの方と日常的に接する中で、空き缶拾い等を生業としていることから、自転車修理が得意なことを、ヒアリングを通じて発見。

•当時問題になっていた大阪の放置自転車問題を解決するためにシェアサイクル(街なかに複数の自転車の貸出拠点があり、拠点であればどこでも乗り捨てることが可能)というアイディアがあることを発見。

この2つのアイディアを掛け合わせれば、働くことを通じて、ホームレスの方々が支援される立場から、自転車問題を解決へと導く担い手になってもらえるのではないかと考えました。

そしてホームレス問題・自転車問題を解決するプロジェクトとして、HUBchariが2012年4月にスタートしました。
HUBchari | ホームレス状態を生み出さない日本へ NPO法人Homedoor

当初はシェアサイクル自体を置いてもらえる場所を見つけることも難しかった状況にも関わらず、地道に営業活動を続け、現在では大阪市内に11の拠点があります。

2013年8月1日時点で、これまで52名のホームレスの方が働き、半年間の就労支援プログラムを経て卒業していった方の内、半数が次の仕事を見つけることができています。

この活動以外にも定期的に生活保護受給者が日本で一番多い釜ヶ崎の街歩きや炊き出しを体験できるイベントも偶数月の第4日曜日に実施しています。
釜Meets | ホームレス状態を生み出さない日本へ NPO法人Homedoor

又、年間1億3千万本も使い捨てされるビニール傘の再利用プロジェクトHUBgasaもホームレスの方々と一緒に取り組んでいます。
HUBgasa | ホームレス状態を生み出さない日本へ NPO法人Homedoor

日常で感じた些細な問題意識から地域が抱える問題に真正面から取り組んでいる川口さん。今後の未来を担っていく素晴らしい活動だと思い、紹介させてもらいました。

社会のために活動されている方の取り組みや未来を考える上で参考になるコンテンツはこちらのブログでも紹介しています。

'Joey IwasaさんをTwitterでフォローする: www.twitter.com/@mirainostory


「派遣」の期限撤廃 労政審部会 促進方針変わらず

2014年01月17日 | 労働・雇用

「派遣」の期限撤廃 労政審部会 促進方針変わらず    

 労働者派遣法の見直しを議論する厚生労働省の労働政策審議会の部会が十七日開かれた。厚労省は昨年十二月に出した派遣期間の上限を事実上撤廃する ことを柱とする骨子案に沿い、より具体化した報告書案を提示。委員からはなお修正を求める意見が出たため、取りまとめは次回以降に持ち越した。同省は今月 開会の通常国会に改正案を提出、来年四月の施行を目指している。

 報告書案では、現行制度で一部の専門業務を除き、最長三年としている派遣期間の上限を廃止。働き手の入れ替えや労組からの意見聴取を条件に、企業は継続して派遣労働者を使い続けられる。

 労働者側委員は、労働者側の反対により派遣を延長できない仕組みの導入を主張していたが、労組がない企業で意見聴取する場合に労働者代表を投票などで民主的に選出することや、労働者側が延長に反対する場合は企業は再検討して方針を説明することなどにとどまっている。

 一方、派遣労働者を無期雇用する派遣会社は、これまで届け出制で開業できたが、すべて許可制とする。

 一昨年の派遣法改正で原則禁止された日雇い派遣についても見直し、収入条件を緩和するなど拡大させるよう求めている。

◆正社員希望に逆行

 派遣労働の問題に取り組むNPO法人「派遣労働ネットワーク」の高井晃(あきら)理事は、今回の労働者派遣法の見直しについて「完全な改悪で雇用劣化の象徴だ」と批判する。

 ネットワークが一九九四年から実施する派遣労働者へのアンケートからは、この二十年間で派遣労働者の雇用環境の悪化が浮き彫りになっている。九四 年に千七百四円だった時給の平均額は調査のたびに下がり、昨年は首都圏で千三百三十九円、全国では千百七十九円。年収平均は二百十三万円だ。仕事を掛け持 ちする人も16%いる。

 かつては正社員より派遣で働くことを望む人の割合が高かったが、十年ほど前からは正社員希望が六割、派遣は二割と逆転。低収入や休業制度を利用で きないことを理由に、仕事と出産、育児や介護など生活の両立を「できると思う」人も22%にとどまる。派遣のメリットとされる「生活スタイルに合わせた自 由な働き方」とは程遠い状況に置かれている人も多い。

 高井さんは「仕組みを抜本的に変え、企業が労働者を安く使い続けるための見直しだ。働く人には何のメリットもない」と指摘している。


ホームレス、全国で9576人=初めて1万人下回る-厚労省

2012年04月13日 | 労働・雇用
ホームレス、全国で9576人=初めて1万人下回る-厚労省

 公園や路上などで生活する全国のホームレスの人数は、今年1月時点で9576人だったことが13日、厚生労働省の概数調査で分かった。1年前に比べ1314人(12.1%)減少し、2003年の調査開始以来初めて1万人を切った。同省は「ホームレス自立支援センターやシェルターなどの事業が効果を上げた」と分析している。
 内訳は、男性が8933人、女性が304人、性別不明が339人。都道府県別では大阪が最多で2417人、次いで東京2368人、神奈川1509人。島根以外の全都道府県で確認された。
 調査は、東日本大震災の影響を受けた福島県の一部を除き、全市区町村で実施。市区町村職員らが公園や道路、河川敷などで生活している人を目視で確認した。(2012/04/13-15:38)

派遣会社との「特別な契約」。ジェイテクト亀山事件を傍聴

2011年06月02日 | 労働・雇用
派遣会社との「特別な契約」。ジェイテクト亀山事件を傍聴

2011年 5月 27日 20:13
《三重》 【フォト】 【取材ニュース】 <労働・雇用> <市民活動>

5月27日の午後16時半。
津地方裁判所で「ジェイテクト亀山事件」で訴えている労働者を代表し、原告の福島照子さんの意見陳述があったので、傍聴してきました。

この事件は、トヨタグループのベアリングメーカー、ジェイテクト亀山工場で期間工で働いていた人たちが、リーマンショックによる減産を口実に雇止めされた事件です。

福島さんらは当初、三重エデックという派遣会社から派遣されてジェイテクト亀山工場で働いていましたが、
三重エデックの社長から、

「いずれジェイテクトの社員になれる。
三重エデックはジェイテクトと特別な契約がある。」

と言われてまいした。
その後、期間工になりましたが、三重エデックの社長の話から、60才の定年まで働き続けられるという期待のもと、働いてきました。
ところが雇止めになってしまいました。

福島さんたちは労働組合に相談。
労働組合の人たちと共に、ジェイテクト本社に申し入れたところ「バカヤロー!」と怒鳴られたり、100日以上団体交渉への返答を先延ばしにされ、三重県労働委員会での斡旋を、ジェイテクト側が一方的に打切ってきたりしまた。
福島さんたちは突然の雇止めであるにも関わらず、ワガママ放題のジェイテクト&三重エデックに対して抱強く対応してきましたが、ついに裁判に移ったのでした。

トヨタの関連会社で発生した、大変悪質な事件といえます