「星降り山荘の殺人」
ミステリーマニアにとってはお約束の「外界から閉ざされてしまった山荘」ものです。
閉ざされた山荘とは
雪のために車が使えなくなり山を下りられなくなる、、、、、、。
山荘につながる唯一の道にかかった橋が落雷で壊れる、、、、、。
荒波で船が出せなくなった孤島、、、、、。
そして犯人は電話線を切り外界との連絡も閉ざされる。
ただ現代では携帯電話があるのでなかなか閉ざされるシチュエーションがつくりにくくなりましたが。
とにかく登場人物のインアウトがなくなり、限定された人数の中で殺人が行われなければなりません。
しかも警察の介入がなくなるので科学的捜査ができず、指紋採取もなければ死亡推定時刻もあいまい。
そして全員が容疑者であり、全員が探偵として推理をする。
その中で犯人だけがウソを言っている、、、、。
こんな非現実的な世界をなんの抵抗もなく受け入れられなければ、ミステリーファンはやっていけません。
さて「星降り山荘の殺人」もベタな雪の山荘ものです。
山荘ものとしてはめずらしく名探偵が登場します。
名探偵が登場すると全員が探偵役にならないので、山荘ものの面白みが一つ減ることになります。
でもこの小説にはとても面白い仕掛けがあります。
「あっと驚く結末」には多くの伏線を必要とするので、「どんでん返し」ものは気軽に読みにくいものが多いのですが、この作品は「手軽に」「驚ける」最高峰の作品になっています。