昨年、札幌からほど遠い森林を歩いていると、大きな口を空け精気を吐き出しているようなウロを見つけた。
このウロの主はシナノキ。
北海道の伐採を免れた深い森ではウロ持ちのシナノキが多く、このような森にはエゾフクロウが住み着く。
このウロは内径が1.5m、高さも1.5mくらい。
また、ウロから続く樹幹も上方へ1m程空洞になっている。
こんなウロで、今年はコブスジコガネを採ろうとトラップを仕掛けていた。
何度もチェックしているのですがトラップに集まる虫は今週も居なかった。
残念無念・・・。
憧れの虫を得るにはまだまだ経験を積まないといけないようだ。
「ここでは採れないのか・・・」と落胆し、その場を離れようとすると、
見たことも無い小さな赤いカミキリがこの木の外部を登ろうとしていた。
赤い・・・
細い・・・
樹洞・・・
キーワードを頭の中で重ね合わせ、思い当たったのがベニバハナ・・・。
でも、実物見たこと無いし、自分のイメージではもっと大きいと思っていた。
ベニバハナカミキリ[Paranaspia anaspidoides]
2008.7.28 (室内撮影)
後で調べるとやっぱりベニバハナカミキリ。
北海道では広範囲に記録があるが、採集例が非常に少ない稀種である。
昔は全国的に珍種であったようだが、ケヤキの樹洞で発生するのが判明してから、
比較的採れるようになったとの事。しかし、ケヤキは北海道には自生しない。
道南には植樹されたケヤキは比較的多く見られるが、ウロ持ちのケヤキはまだ見たことがない。
偶然であっても、一度採集経験を積むと他の場所でも探してみたくなる。
お盆休みはウロウロしようと思う。