大道具さーん ちょっとー!

舞台美術製作 金井大道具㈱ごきげん営業阿部 ここに日々の業務を垣間見る。お気楽に「大道具さーん、ちょっとー!」

藤間紫先生逝く

2009年04月01日 | スーパー歌舞伎
3月29日(日)
藤間紫先生のお通夜に参列する。
スーパー歌舞伎の稽古場などにいらっしゃると、必ずスタッフにも差し入れしてくださる暖かい先生だった。



「西太后」のラストシーン。
沈んでいく太陽が、やがて滅び行く清朝を象徴する。
ここで紫先生の最後の長台詞。
声はけして大きくは無いのだが本当に力強く言葉が響いているのだ。
「この落日を旭日に変えて見せよう、この西太后のちからをもって」(確かこんな言葉だった)

安らかにお眠りください。合掌。

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水は流れる

2009年03月04日 | スーパー歌舞伎
新橋演舞場3月公演が開幕。
猿之助十八番の内「獨道中五十三驛」
三幕三十場(!)のお芝居。

第一幕で半分の十五場。
この幕の舞台転換はまあ大変。
とにかくきっかけ(仕掛け物)がいくつもあり、
無事に終わるとほっとしたい。

が、ほっとする間もなく、
第二幕では本水を使った大立ち回りが見どころ。
舞台上に20トンの真水を流す。
(写真はそれに使う水道管やバルブ)
その水が真っ赤に染まったり、
滝つぼの中からお姫様の霊が現れたり、
こちらもきっかけがいくつもある。
無事に終わるとほっとしたい。

が、ほっとする間もなく、
第三幕では舞台全面所作舞台を並べ、
そこで市川右近十二役早替り。
こちらもきっかけがいくつもある。
無事に終わるとほっとしたい。

が、ほっとする間もなく、
夜の部の準備をしなければならない。
昼の部とまったく同じことを繰り返す。

今月はほっとする間が全然ない。



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ひとつ終わり、ひとつ始まる

2008年07月31日 | スーパー歌舞伎
洞爺湖サミットがあったり、地震があったりしたこの七月ですが、
無事に歌舞伎巡業「公文協東コース」「中央コース」が千穐楽を迎えました。

お疲れ様でした。

東コースの練馬文化センターにて
「毎日暑いですねえ」と声をかけると、
「暑いなんてもんじゃあ・・・札幌で31℃ってどういうことよお??」
とある役者さん。
日本全国、暑い夏ということですね。


午後は「新・水滸伝」の稽古場仕込み。
実際に使うセットを組んで稽古します。
新作のお芝居です。
どんなドラマになるかとても楽しみですね。


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さばかれるアーティスト

2008年06月24日 | スーパー歌舞伎
「ヤマトタケル」中日劇場で残りわずか。
まだ見ていない人は名古屋へGO!!


“クマソの館”屋体崩し後の舞台裏。
羽目板はすべて後方に吹っ飛ばされる。
普通、板さんといえば魚をさばくのが仕事だが、
こちらの板さんは、役者さんの通行の邪魔にならないように“さばかれる”のが仕事。
毎日毎日、くくりつけられた紐で舞台袖まで引かれていく。
酷使に耐えながら、稽古場から数えて五ヶ月。
大千穐楽まであとわずか。
もうすこしだ、ガンバレ。
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トランスルーセントドロップ

2008年06月21日 | スーパー歌舞伎
スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」で使っているドロップ(背景画)。
普通の絵の具ではなく、光を通す染料のようなものを使い、
ベタッと塗るのではなく、細かい点の集まりで色を構成していく。
テレビのブラウン管と思っていただければわかりやすいか。
その完成した絵に、
後ろから光をあてて、透かして、絵を浮き上がらせるというなんとも手間のかかる方法で舞台上に飾られている。

絵描きさんたちは舞台で光を当てられることを想定してドロップ製作をするわけだが、実際に照明があてられるまではその完成度はまったくわからない。熟練者の勘だけが頼り。


ドロップの後ろに照明バトンを仮設。
ドロップと照明の間にスクリーンを一枚はさんでいる。
照明さんは、後ろから前から光を当ててこの場面を完成形に持っていくのである。


第二幕 富士山のふもと。ヤマトタケルとタケヒコがセリあがって登場するシーン。
富士山はまるで写真のように見えます。
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ベルベット 黒

2008年06月19日 | スーパー歌舞伎
スーパー歌舞伎では
一文字幕、袖幕、大黒幕、暗転幕などの黒幕は
すべてベルベット素材を使用している。
ベルベットとは、表面に羽毛が織り出されていて、
手触りがとても柔らかく、おもに、ドレスなどの衣服に使用する高級素材。
照明が当たっても、光を吸い込むようになるので、舞台上では普通の黒幕よりもさらに黒く、より黒くなる。
その扱いはとても厄介で、
たたんだ際にできるシワを丁寧にスチームを当てて直していきます。

客席からはあまり意識されない黒幕だが、
かなりの手間がかけられている。


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大道具の整体

2008年06月16日 | スーパー歌舞伎
今月、名古屋の中日劇場ではスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」が上演されている。
4ヶ月連続公演の最終地だ。
稽古場にいたときは真冬だったのに、もう夏になってしまった。
関係者の皆様、健康に気をつけて、最後の月を無事乗り切ってください。
大道具たちも毎日の本番と、長距離の運搬にかなりお疲れの様子。
そこで必要なのが、ゆがみ、ずれの矯正。&お肌のチェック。
ここ中日劇場では多くの大道具たちが整体に訪れ、英気を養い、リフレッシュされたのでした。


一幕:早代わりに活躍する大赤柱。
下地の板は割れ、打物の板も欠ける。
打物をすべて取り外し、板の割れを手当てし、そして新しい打物を取り付ける。


二幕:火の立ち回りに使う赤布。
振り竹にぐるぐる巻きにされ、振りかぶされ、揺らされ、落とされ、引っ張りまわされるというかなり過酷な労働を強いられているこの赤布。
縫い目を一つ一つチェックして、弱っているところを補修。
東京から持ち込んだミシンが大活躍。

道具たちはたちまち元の姿に立ち返りまた現場へと向かうのでした。



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4/3 ヤマトタケル博多座 開幕

2008年04月03日 | スーパー歌舞伎

劇場近くの公園では桜が満開。
おにぎりとお茶持参でベンチに腰掛け、花見。一人で。

本日初日。
客席最後列から観劇する。
私が言うのもなんですが、
「面白いなあ」と思う。
たとえば、
第二幕の“焼津”の場では舞台一面が炎で覆われる。
“走水”の場では一面が海になる。
それは本物の火や水ではなく、
役者とスタッフが協力して作り上げる“炎”と“海”です。
もともと歌舞伎にある手法なのだけれど、新鮮さを感じます。
20年前に観たときも感動したけれども、
今見ても改めてそのすばらしさを感じる。
あふれるスピード感と驚きの連続。でもその中にしっかりとしたお芝居がある。
こういう作品があるということを多くの方に知ってもらいたいですね。
たくさんのお客さんに観て欲しいなあと思います。

カーテンコールでは猿之助さんも舞台に並ばれて、
客席は総立ちでした。
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4/1 ヤマトタケル博多座

2008年04月01日 | スーパー歌舞伎
先月演舞場で上演されていた「ヤマトタケル」
今月は福岡県の博多座で上演されます。
仕込みも無事に終わり、昨日から舞台稽古が始まりました。

第一幕は小碓命(オウスノミコト)が九州:筑紫の国のクマソタケル兄弟を征伐するシーンがハイライト。
そこでタケルの名前をもらい、以後ヤマトタケルと名乗るようになります。
博多のお客さんはこのシーンをどう観るのでしょうか。

4月3日初日→26日千穐楽 です。
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歌舞伎美人

2008年03月11日 | スーパー歌舞伎
歌舞伎美人(かぶきびと) 歌舞伎公式ウェブサイト
に、こんな特集が組まれました。

歌舞伎を支える仕事 第5回 『ヤマトタケル』大道具の製作現場

工場に取材に来られたことは聞いていましたが、こんなに大きく扱われるとは。
うれしいことですね。
写真もきれいだし、インタビューもおもしろい。
登場している嶋田さんは私が入社した当時の親方です。
書き抜きや墨だしのスピードとその完成品の美しさは今でも若い人たちの目標です。
ほかにもルーセントドロップの技法などが紹介されています。

衣装さんや床山さんの特集もあるのね。
こういう記事を見て、若い人たちに興味を持ってもらえればうれしいですね。
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