食農ステイション

食と農に関するお話しを徒然なるままにいたしましょう。

韓国は燃えているか?

2011年03月09日 | 食と農

いま,韓国のチェジュ(Jeju)島にいます。

今回の2泊3日の出張は,グリーンバイオマス研究プロジェクトの関係で,チェジュ島で行われている菜種のBDF事業についてヒアリングすることと,アメリカやEUとのFTAの締結が韓国の農業現場ではどのように受け止められ,その対策は進んでいるのか確認することです。

同行(リード?)してくれるのは,本学の韓国通,第1人者のY先生です。当初ご一緒できる予定だったC先生はJSPSの報告書作成のため急遽キャンセルとなりました。残念。

今日の道のりは結構ハードでした。朝4時30分に起床。5時過ぎに自宅を出て,F駅から羽田空港国際線ターミナルまでリムジンバスで向かいました。車中では爆睡。国際線ターミナルは初めての利用でしたが,早朝と言うこともあり,人混みも少なくスムーズに出国審査が終わりました。9時45分の出発までお店巡りをしましたが,買ったのは調査先へのおみやげと水一本でした。買うもの無いね。

チェジュ島へはソウル・金浦空港で国内便に乗り換え,午後3時頃に着きました。今日の仕事はほとんど終わったようなものでしたが,4時からチェジュ農協中央会・地域本部で聞き取りしました。

ここからY先生の本領発揮。ハングルの読み,書き,リスニングがほぼ完璧。頼りにしていた日本留学の経験があるひとは専門用語が分からないとのことで,Y先生がほとんど通訳されました。感謝!!!

本題に入りますが,チェジュ島における菜種の栽培面積は,1975年13千haから1990年5.2千ha,2010年には500haにまで減少したそうです。これはカナダや中国からの輸入菜種油との価格競争に負けたからにほかなりません。菜種栽培からニンニクやタマネギなどの野菜栽培へ転換しているとのことですが,2007年から国のナタネBD事業により,kg当たり420ウオンの価格補填がついてもこの状況と言うことです。

消費者のGMナタネへの拒否感はないのかと聞いたところ,まったく無いそうです。日本には一部に菜の花プロジェクトやトラスト運動のような取り組みもありますが,油の原料に関する無関心さは日本も似たり寄ったりです。単収も100~150kg/10aと低く,風前の灯火のようです。

さて,いまひとつの調査目的であるFTA締結による韓国農業・農村への影響です。明日の行政機関へのヒアリング結果を待たなければなりませんが,今日の感触では日本の農業団体のように「火の玉」になってはいませんでした。

チェジュ島はミカンと野菜と畜産の島です。農業用水が少なく,水田はほとんどありません。柑橘農家は全農家の86%を占めています。

そのため,政府のFTA基金を使って露地栽培からハウスミカンの栽培に転換し,カナダ,ロシア,EUへの輸出ドライブをかけているようです。日本への輸出は無いのかと聞くと,日本人が好むような高品質ミカンはできないとのことでした。今後,柑橘と牛肉の関税が下げられていくと,影響は大きくなるだろうとのことでした。

興味深かったのは地元の済州(チェジュ)大学の先生は,FTA締結が農業にどのように影響するかなど何も興味がないようだ。レポートができたら是非送って欲しいと頼まれたことでした。ヤレヤレ...。

いやはや,韓国Jejuは冷静でした。

機内から見えた海苔ひび