食農ステイション

食と農に関するお話しを徒然なるままにいたしましょう。

フェーズ4

2009年04月28日 | 食と農
先週末の東京は,風雨が強くて,びしょ濡れになった人も多いのではないでしょうか。(私もその一人です。)
北日本では季節外れの大雪が降ってたいへんなようです。

そんなとき,メキシコ発の大きなニュースが飛び込んできました。
メキシコで豚インフルエンザウイルスのヒトへの感染が拡大していることです。そして,本日朝,世界保健機関(WHO)は,新型インフルエンザの警戒レベルを「フェーズ3」から「フェーズ4」に引き上げました。これはヒトからヒトへの感染拡大を恐れての対策です。

これまで,WHOはアジア発の鳥インフルエンザへの警戒を行ってきましたが,意表を突かれた感じです。

心配なことは,メキシコの青年期の感染者が重篤化していることです。豚インフルエンザウイルスはH1N1型の弱毒ウイルスであり,ヒトが免疫を持たない鳥インフルエンザ(H5N1型)とは異なります。H1N1型は,Aソ連型と同じ型であるため,私たちはある程度の免疫を持っていると言われています。

しかし,若者達の死亡率が高いということは,このウイルスの毒性が変異しているのかもしれません。でも,無用に慌てるのではなく,正しい情報に基づき冷静な行動をとる必要があります。

もし,「感染爆発」になると多くの犠牲者が発生し,世界経済も一段と悪化するでしょう。早めに封じ込めることが出来ればよいのですが。ただ,現実感がなく,何か映画の予告編を見ているような感じがするのも事実です。

日本では明日からの大型連休を楽しむ人も多いことでしょう。地球の裏側ではたいへんな事態が起きていることを少しでも認識しておいたが良さそうです。

今年は暦どおりの休みが取れそうですが,遠出はしない予定です。

早寝,早起き,三文の得

2009年04月21日 | 食と農
新緑がまぶしい季節になりました。いつの間にか4月も下旬に入り,街は桜からハナミズキやツツジの花に替わっています。

この季節は,私にとってbest seasonです。今日の東京の日の出は5:01ですが,この頃には目が覚めて活動を始めます。朝起きて,まずコーヒー豆を挽きドリップします。朝刊を読みながら,立て続けに2杯飲みます。

その後,メールのチェックをしたり,原稿の修正をします。朝の静かな時間が,私にとって一番頭がクリアな気がします。その後,テレビニュースを見て,6時過ぎに家族を起こします。娘の通学時間が1時間掛かるようになって,皆早起きになりました。

夜は私が一番早く寝ます。昨晩は疲れたこともあり,10時過ぎには床に着きました。ハヤッ! お陰で今朝は4時に起床です。

最近になって,1週間の会議と講義と研究の時間配分が固定しつつあります。今週末には,合宿しない「新入生合宿オリエンテーション」や流通学会の部会研究会があります。それが済めば4月のメイン行事は終わりです。

これからも無理せずボチボチ行きましょう。

学科長デビュー!

2009年04月11日 | 学科長
初夏のような陽気が続いています。
先週末,久しぶりに畑に行って春耕しました。アスパラガスがたくさん芽吹いていました。

今週初めから,オリエンテーションや運営委員会や学科会議など学科長としての仕事が本格化しました。メールや文書が山のように舞い込みます。それらを遺漏無く処理するのに,日々神経をすり減らしています。

最初の大きな仕事が新入生オリエンテーション時の挨拶でした。前もって原稿を作って備えました。原稿どおりに話すことはしなかったのですが,準備した原稿を紹介します。一部イニシャルに置き換えています。
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 新入生の皆さん,入学おめでとうございます。ここに居られる皆さんは厳しい受験競争を勝ち抜いてこられたわけです。いま,受験勉強から解放された安堵感でほっとしていることと思います。

 皆さんがなぜ本学の生物生産学科を選んだのか,様々な理由があるかと思いますが,その一つに昨年前半期まで世界中で問題になった原油価格の高騰に端を発した,穀物価格の高騰があるかと思います。その後,リーマンショックを契機に世界経済は急速に減速し,結果として原油や穀物などの1次産品価格は落ち着きを取り戻しました。
 しかし,長期的に見ると地球の人口は2030年頃には80億人に達すると予測されています。そして,国際稲作研究所の推計では地球が養える人口は83億人と推計しています。これでは,世界中の人達に食料が十分行き渡らない恐れがあります。このような地球的な食料・農業問題の解決に皆さんの力が生かされるよう希望します。

 農業は,太陽エネルギーを植物の光合成を通じて,人間が必要な食料や天然繊維,嗜好品,医薬品等々の多彩な工業原料を供給する営みです。それによって人間生活を広く支えている欠かせない産業です。また,農地とそこに形成される生態系は,自然と深く結びついた環境構成要素であり,国土保全や環境保全に多面的な役割を果たしています。さらに近い将来には,再生可能なバイオマスエネルギーの重要な供給源になることが期待されています。 

 では,生物生産学科とはどのような学科なのか,皆さんに簡単に紹介したいと思います。研究室毎の詳しい説明は24日の合宿オリエンテーションで行う予定になっていますので,ここでは生物生産学科で何を学ぶか概略をお話しするにとどめます。

 農学部は農学を学ぶ学部ですが,生物生産学科はその農学の中心的な領域をカバーしています。農学とは食料生産をはじめとする生物関連産業の振興,農村地域社会の発展及び地球生産環境の保全を通して,生産者のみならず広く人類の福祉の向上に貢献する事を使命とする学術です。

 明治維新をきっかけとして日本における近代農学教育はヨーロッパの科学の観点に立って構築され,1876年の札幌農学校と1878年の駒場農学校の開設を基にして発展してきました。そして,本学はT大農学部とともに駒場農学校の流れをくむ大学であり,それを一番色濃く残しているのが生物生産学科なのです。

 生物生産学科では,日本および世界の農業を広く深く理解するとともに,農業に関わる最先端の科学と技術に関する知識を身につけて,その知識を農業の持続的発展や農産物の流通・加工,さらには農業の多面的機能の積極的利用に活かすことのできる人材の養成を目指しています。

 この目的のために,生産技術環境,植物生産,動物生産(家畜・昆虫)および農業経営経済の4つの領域の基礎的事項について学生が理解し,そのうえで,学生個々人の選択に基づき個別分野に重点を置いた履修や全分野型の履修を進めています。これらの教育は問題解決の能力や独創的発想を生み出す能力を伸ばすことを意図して行われます。

 卒業後の進路は,公共部門及び私企業部門の技術者,研究者あるいは行政担当者と多様ですが,いずれの場合も農業関連分野で指導者として活躍できる資質の育成を目標としています。

 生物生産学科では,皆さんが求める知的欲求に対しては私たち教員は丁寧に応えるように努力しています。そして,次の言葉を皆さんに贈ります。

 「求めよ,さらば与えられん。尋ねよ,さらば見出さん。門を叩け,さらば開かれん」。これは,新訳聖書「マタイによる福音書」にある有名な言葉です。与えられるのを待つのではなく,自ら積極的に求める姿勢が大事であるという意味です。私は敬虔な仏教徒ですが,この言葉は好きです。(笑)

 大学における講義や研究は皆さんにとっては,将来研究者,技術者,総合職として,自分で問題を見つけ自分でそれを解決し,それに基づいて社会に貢献するための訓練であると私は考えています。

 もうひとつ言葉を紹介します。比叡山延暦寺を開いた最澄の言葉に,「径寸(けいすん)十枚これ国宝に非ず,一隅(いちぐう)を照らすこれ則ち国宝なり」というものがあります。「径寸」とは金銀財宝のことで,「一隅」とは今皆さんがいる場所のことです。お金や財宝は国の宝ではなく,家庭や職場など,自分自身が置かれたその場所で,精一杯努力し,明るく光り輝くことのできる人こそ,何物にも変えがたい貴い国の宝である。一人ひとりがそれぞれの持ち場で全力を尽くすことによって,社会全体が明るく照らされるという意味です。自分自身の可能性を信じ,自分の灯りを点し,どんな小さな一隅(いちぐう)であっても世の中を照らす光になっていただきたいと思います。

 以上,学科長からの入学のお祝いの挨拶とします
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新入生に贈った言葉は,自分自身への戒めの言葉でした。

今日もこれからALICとの共同研究の打合せがあります。しばらく,週休1日となりそうです。

一陽来復

2009年04月04日 | 食と農
4月になりました。新年度になりました。
前回の更新後も,韓国にバイオマスの調査に行ったり,卒業式があったり,農業経済学会があったり,大腸内視鏡検査でポリープを3個切除したりと,ゆっくり過ごすことはかないませんでした。お陰でいま,禁酒中です。

例年ですと,卒業式が終わると一年を振り返るゆとりがあるのですが,今年はそれが出来ませんでした。そして,いつの間にか街では桜が満開になっています。「もっと,時間を~」という感じです。

good newsもあります。科研の採択内定が来たことです。雌伏3年,皆様のお力添えのお陰です。ありがとうございます。これから3年間,研究メンバーとの交流が楽しみです。よろしくお願いします。

もう一つは,娘が高校に入学することです。今日,入学式がありました。娘の第1希望の学校ではありませんが,これも縁ですから,前向きに考えましょう。

先日,制服の採寸と体操服などの購入のために家族で行ってきました。少人数教育で勉強はしっかり出来る雰囲気があります。ついこの前,中学校に入学したと思っていたのに。子どもが育つのは早いものです。娘よ,自分らしく楽しい高校生活を過ごしなさい。頑張れよ~。

私は今年1年,学科長を務めます。学生や研究室の問題など萬(よろず)相談所という感じです。

表題の一陽来復(いちようらいふく)とは,(1)冬が去り春がくること。新年がくること。(2)悪いことが長く続いたあとで,ようやくよい方へ向かうこと,と言う意味です。(出典:Infoseek 国語辞典

来週から授業が始まります。さあ,2009年度のスタートです。