食農ステイション

食と農に関するお話しを徒然なるままにいたしましょう。

サンタモニカの風

2006年07月31日 | アメリカ・FMとCSA
いま,ファーマーズマーケット(FM)とCSAの調査のため,カリフォルニアにいます。Q大のHさんの科研で,一行6名の楽しい調査です。
ホテルの無線LANの調子が結構よいことと,時差ボケのため眠れないため,ブログの更新をしています。

昨日(7/30,Sun)は,ビバリーヒルズFMとハリウッドFMを視察しました。どちらも,一般道路を自動車が入らないようにせき止めて,道路上にテントを張って農家が農産物を販売しています。

アポを取ってくれたQ大のSさんの話では,ビバリーヒルズFMは高所得者対象にしたFMですが,ハリウッドFMは街の地域活性化のためにFMを開いているそうです。
ハリウッドは観光地としてはいまだ健在のようですが,映画産業が街から撤退し,商店もシャッターが下りたところが目に付きます。

どちらのFMも街に賑わいをもたらしてくれています。毎週お祭りの店が並んでいるようです。一方で,オーガニックや特徴ある農産加工品も並んでいて,お客さんは楽しそうに試食しながら品定めをしていました。

今日は,ビバりーヒルズFMとサンタモニカFMのマネージャーからヒアリングを行います。サンタモニカの風は夜になると肌寒く感じます。

いま,夜が明けてきました。

前学期の反省と夏休みの計画

2006年07月26日 | 食と農
梅雨空から一転晴れ渡り,今日はホントに暑い1日でした。

大学は夏休みモードに入りました。正確には8月5日からですけど....。
そこで,前学期の反省と夏休みの計画をつづりましょう。

大学院講義では,これまでの農産物流通特論から食農マーケティング論と名前と内容を一新しました。内容は木綿・懸田・三村著『現代マーケティング論』(有斐閣)をテキストにして輪読を行い,一般マーケティングの基礎を学びました。そして,ケーススタディとして,セブンイレブンの商品政策をビデオから学び,東都生協と佐川急便のマーケティング担当者から話題提供をしてもらいました。Mさん,K先生ありがとうございました。

学生の授業評価はまずまずかなというとこですが,私としては一般マーケティングと農業マーケティングの違いをもう少し教えることができればよかったと思っています。来年はマイナーチェンジをしましょう。

学部の講義は例年と変化はありませんでした。ただ,3年生対象の農業経営経済演習Ⅱの受講生は3名と少なく,ちょっと拍子抜けでした。私はこの演習の分担で協同組合論を取りあげて,最後の回では本学の生協専務に来てもらって一緒に議論しました。

学生の大部分は大学生協を一般の食堂やお店と同じと思っているようです。協同組合に関する学習は欠かせないと思うのですが,4年経つと出て行くので,組合員教育も手薄になりがちです。

研究の方はイマイチ進んでいないので紹介はパス。

最後に,夏休みの計画についてお話ししましょう。前半の7/29~8/6までQ大のHさんの科研でアメリカ西海岸(ロサンゼルス,シアトル)に行きます。ファーマーズ・マーケットやCSA(アメリカ版産直)を見て回ります。
私はアメリカ本土に足を踏み入れるのは初めての経験なので,今からドキドキ,ワクワクしています。家族からは昨年のタイ視察旅行のように迷子になるな,気を付けろと言われています。ハイ。

8月中旬は,福岡に夏期休暇のため1週間ほど帰省し,その時に柿研究大会の報告を行います。原稿は提出しましたが,プレゼンの準備が残っています。

帰京してすぐに生消研の夏の学校で北海道・八雲町に行きます。これ,結構楽しみ! Iさん,Hさんよろしくお願いします。

9月中旬は2回に分けて,三浦半島のGT調査に我が専攻の教員と一緒に調査します。

これらの合間には,昨年も通ったT病院で大腸内視鏡検査を行います。これ,ちょっと心配です。

これから2ヶ月間,夏ばてしないように頑張りまーす。

U.S.ビーフ食べますか?Ⅱ

2006年07月20日 | 食と農
梅雨末期なのか,あちこちで激しい雨が降っています。

先日,ある研究例会において,食品安全委員会元専門委員のYさんのお話しを聞くことができました。テーマは,「BSEのリスク評価と食品安全委員会」でした。

はじめに,BSEの病原体であるプリオンの特徴とBSEの発生状況について説明されました。続いてBSEのリスクとして,①家畜伝染病対策(飼料から牛),②人獣共通感染症対策(牛から人),③公衆衛生対策(人から人)が指摘されました。特に,公衆衛生対策では英国で161名の変異型クロイツフェルトヤコブ病の発病者がいて,同感染者は推定3,800名,輸血や血液製剤の投与による潜在的感染者は6,000名と推定されるといいます。怖いですねー。

次に,日本におけるBSE対策の経緯を説明する中で,全頭検査の科学的合理性を指摘されました。そして,米国産牛肉輸入に関わって,プリオン専門調査会の報告書にある,「リスクの科学的同等性の評価は困難であり,輸入プログラムが遵守されると仮定した場合,リスクレベルの差は非常に小さい」という結論には,輸入再開時に輸出プログラムの実効性と遵守について検証結果の報告を受け,リスク管理機関(厚生労働省・農林水産省)は国民に報告する義務があるという付帯条項があったことを明示されました。
今後は,費用対効果の立場と健康保護を最優先する立場の調整が必要であることが挙げられました。

報告後の質疑では,BSE検査の料金(1頭当たり数千円),プリオン専門委員会にはリスク評価の専門家が一人もいないこと,委員決定時には任期も年齢制限もなかったこと,日本ではヤコブ病は指定感染病ですが,米国では指定されていないため実態が不明なことなどが明らかになりました。

Yさんのお話はとても分かり易かったです。私もかくありたいデス。

国民の健康問題が経済合理性の名の下で,蔑ろにされてはたまりません。今後もこの問題は注視したいです。

U.S.ビーフ食べますか?partⅡでした。

勇気づけられたニュース

2006年07月11日 | 食と農
弘前から帰ってから疲労感が一杯で,ブログの更新もできませんでした。
シンポの報告が消化不良だったことと,片道6時間の電車の旅は,五十路の身には応えました。やっぱ,航空機にすればよかった。

でも,昨晩のニュースを見て勇気づけられました。
それは,世帯所得と教育との関係を報道するもので,福岡県内のシングルマザーの事例でした。

彼女は41歳,生協の配達の仕事をしながら,高三,中三,小四の3人の子どもを育てています。旦那は働かず,浮気していたこともばれて,「こんな夫はいらん」と離婚したそうです。

でもパート職員のため,フルタイムで働いても年収180万円しかなりません。高三の長男は,私立高校の特待生として授業料は免除されています。彼は交通費節約のため,自転車で片道40分もかけて高校に通っています。

シングルマザーの彼女は,子ども達に「楽して生きるな」ということを伝えるために,あえて生活保護を受けていないそうです。
ニュースでは,シングルマザーを支援するNPO主催の交流会についても紹介していました。シングルマザーの世帯所得の平均は二百数十万円だそうです。

私,目が覚めました。ウダウダしている場合ではありません。相対的に恵まれた境遇にいるものは,自らの持ち場の仕事をしっかり行う義務があります。心機一転がんばります。当面は,柿研究大会の原稿執筆です。

そして,彼女たちに何か出来ることはないか考えています。ウォーレン・バフェット氏のように,ポンと4兆3千億円も寄付できればいいのですが。