食農ステイション

食と農に関するお話しを徒然なるままにいたしましょう。

第二のふるさと,佐賀

2009年09月17日 | 食と農
9月に入ってあちこち出張しています。
岩手県葛巻町,長崎県諫早市,佐賀県武雄市,栃木県那須塩原市などです。そして今夜は三重県津市です。年をとるとハードな出張は体に堪えます。

さて,佐賀は私の第2のふるさとです。大学時代の4年間ですが,青春時代を過ごした短くも充実した日々でした。先日,久しぶりに佐賀を訪れたときの出来事を2つお話しましょう。

その1:大学の同期会
武雄市の出張に合わせて,同級生のTくんが佐賀に住んでいる同期の仲間に声をかけてくれて,飲み会を設営してくれました。心から感謝です。卒業して30年ぶりに会う同級生もいて,昔の面影を残しながらも,皆太り気味で白髪頭でした。

久しぶりに聞く佐賀弁に戸惑いながらも,学生時代にタイムスリップして遅くまで杯を重ねました。たまっていた疲れが吹っ飛んだ感じでした。「今日はうちに泊まっていけ!」という声を振り切って,電車で武雄に向かいました。大学時代の仲間の有り難みを心底感じた夜でした。

その2:武雄温泉
食農資源経済学会が武雄市で行われ,私はシンポジウムのコメンテーターを務めました。
ところで,武雄には有名な温泉があります。大会実行委員会では,武雄温泉で出席者を増やそうという意図もあったようです。
ホテルから歩いて15分のところに有名な楼門があります。武雄温泉新館と楼門は東京駅を設計した辰野金吾の設計で,大正4年に建てられたそうです。楼門の脇に温泉があり,料金別にいろいろな楽しめるようになっています。

せっかく武雄まできて温泉に入らないのはもったいないと思い,日曜日の早朝にホテルの自転車を借りて,温泉にいきました。
朝6時30分から開いていて,私がついたのは6時40分頃でしたが,地元の中高年の方々で満員でした。泉質は無色透明,弱アルカリ性でさまざまな成分が程よく入っているそうで,美肌をつくる泉質とのこと。でも,私にはちょっと物足りないお湯でしたが,気持ちよかったです。



温泉に入ってホテルに帰ろうとしたところ,近くの商店街で,「楼門朝市」をやっていました。「呼子の朝市」のように大規模なものではないのですか,地元の食品や手芸品などを売っていました。私は,おじいさんが売っていた飴とアジのミリン干しとエソの蒲鉾を買いました。
このような朝市は全国で行われていますが,地産地消運動の高まりによって,ますます盛んになっているようです。

9月も半ばを過ぎ,もうすぐ後学期が始まります。

有機農産物の認証と確認

2009年09月07日 | 食と農
今日の東京は秋空が広がっていました。昨日,久しぶりに畑に行って,トマトやゴーヤ,オクラなどの夏野菜を片付けて,キャベツ,ブロッコリーの苗の定植と,ダイコンやニンジンなどの秋冬野菜の種を蒔きました。今日は体がやや重いです。

先週の土曜日に有機農業学会主催の社会科学系テーマ研究会が國學院大学・渋谷キャンパスで行われました。同学会は年に1回の研究大会とは別に,自然科学系と社会科学系のテーマ研究会を適宜開催しています。今回は社会科学系のテーマ研究会が半日行われたのでした。

テーマは「有機農産物の確認・認証をどうするか―新しい方向性を探る」でした。1部は「基準・認証制度を問い直す」というテーマで2名の研究者が報告しました。世界や日本で有機農産物の認証制度の経緯を詳しく報告し,その問題点を整理しました。

お二人が挙げた問題点を列挙すると,①欧米の基準の押しつけ,②有機農業の意義や本質をとらえていない,③有機農産物の取引における情報の非対称性を基準・認証で対処しようとしている,などです。農村の現場では,有機農産物の認証を取る農家が減り,認証団体も少なくなっているようです。
有機農業推進法が制定(2006年12月)され,3年が経過しようとしていますが,現下の有機農業をめぐる農政は,いまだ,表示行政でしかない事の危機感がフロアの参加者に共有されたように思います。

第2部は「第三者認証に代わる認証・確認方法を探る」というテーマで3名の研究者が報告しました。私が特に興味を持ったのは,澤登さんの「生産現場からみた有機JAS制度とIFOAMのPGS(参加型認証)」です。第1部でも報告されたのですが,有機JAS制度は有機農業の推進を伴わない表示規制法であり,消費者の有機農業の理解をふかめるものになっていないこと。第三者認証から参加型認証の導入と普及についての報告でした。PGS は,Participatory Guarantee Systemのことで,参加型有機保証システムと桝形俊子さんは訳しています。

第三者認証では認証手数料が高く,小規模農家が取り組むのは困難となっており,それを当事者間の認証で補おうというものです。いわば,「宣言文」のようなものです。生協や流通業者が中間に介在しない有機農産物の直接取引であれば,これもアリかもしれないなと思った次第です。

結構内容が濃い研究会だったのですが,参加者が少ないのは残念でした。学会のHPの更新をもっとしっかり行う必要があると思います。
それにしても,私学の施設は年々充実していますね。本学で学会を開催するのは恥ずかしく思えるくらいです。