食農ステイション

食と農に関するお話しを徒然なるままにいたしましょう。

放射能リスクを痩せ我慢する社会

2011年05月31日 | 食と農

梅雨入りがえらい早いなと思っていたら,台風2号が日本列島に急接近。週末は雨風が強く,終日映画三昧でした。

今日は久しぶりの晴天です。そして,創立記念日のため大学は休業です。法人化になって数少ない恩典です。

福島第1原子力発電所の事故がなかなか収束せず,まだ放射能物質は大気と海に垂れ流しされているようです。農畜産物や水産物への放射能汚染は一見低下傾向にありますが,まだまだ安心出来ない状況です。

我が家が加入している生協はいち早く農畜産物への残留放射能の自主検査を行いました。それによれば,4月以降,野菜類の残留放射能検出数と数値は低下傾向にあります。しかし,放射性セシウムは暫定基準値以下ですが,多くの野菜には確実に検出されています。我が家が飲み続けている有機栽培のお茶からも放射性セシウムが1kgあたり73 ベクレル検出されたそうです。

原発事故以前ならば,生協は出荷停止とするはずですが,政府の「暫定基準値」以下という「錦の御旗」を掲げて,生協や小売業者は商品を流通させています。そして,我が家も以前どおりにお茶や野菜を注文して毎日有り難くいただいています。

一方,都庁も農林水産物の放射性物質の検査結果をホームページで公開しています。それによれば,3月22日の農総研(江戸川分場)のコマツナが890ベクレル/kgと高い値を示した以外は「暫定基準値」以下です。基準値以下といっても放射性物質は野菜や鮎などの水産物に検出されているのです。

つまり,現実問題として,多少の放射能リスクを我慢しながら生きていくしかない社会に変わったと言えるでしょう。

私のように生物的に役目を終えている人は多少死期が早まろうと問題ありませんが,妊婦や子どもたちの健康が心配です。

リスク評価は国の食品安全委員会の仕事で,私たち一般の研究者や国民はそれを信用するしかないという人は多くいます。でも,私は「過大に信用」するよりも,「風評」と批判されようと用心深い食品選択を目指すべきではないかと思います。

これまで食品のリスクコミュニケーションを研究してきた研究者は社会的な発言をしていないようです。いまこそ彼らが社会的貢献をするときではないかと思います。

写真説明:きょうの本学農場。遠くにはイタリアンライグラス,近くにはトマトやキュウリが定植されています。

最近,写真と記事がミスマッチやなぁー。


節電大臣

2011年05月23日 | 食と農

初夏の陽気から一転して肌寒く感じる曇り空です。

先週は街には半袖シャツを着ている人を多く見かけるようになりました。

さて,東日本大震災に起因する計画停電以降,東京はすっかり暗くなりました。

といっても,暗いなぁ~と思うぐらいで,特段の不便があるわけでもありません。これまでの暮らしが無駄に電気を使っていたということでしょう。70年代後半の「オイルショック」に次ぐ,「電気ショック」というものでしょうか。化石エネルギーに過度に依存しない,再生可能エネルギーへの転換が現実問題となったと言えましょう。

そのような社会変革が我が家にもジワリと影響を及ぼしています。再生可能エネルギーを利用するという前向きのものではなく,電気使用量を節約する「節電」です。その指揮を執るのが節電大臣こと家内です。

誰が任命したと言うわけでもありませんが,この節電大臣は徹底して役目を果たしています。大臣がまず着手したのは待機電力のカットです。滅多に使わない電気製品はコンセントから抜く。DVDレコーダーはスイッチ付きのタップで録画しない時間帯はこまめに電源を切る。もちろん使っていない部屋の電気を付けたままにすると激しく叱られます。

この様子だと,今年の夏はエアコン無しで過ごさなければならないかも。

大臣が言うには,私は高エネルギー消費体質だそうで,暑さ,寒さに弱く,文明の機器にはたいへんお世話になっています。去年の夏までは,研究室に着くなりエアコンを付けて1日中涼んでいました。今年は扇風機かな。

大学も15%節減に向けて,廊下は真っ暗です。でも,一番電気を使う恒温室やディープフリーザーなどは,簡単に電気を落とせないそうです。その実現はちょっとたいへんかも。

今年の夏は体重を落として,暑さに強い体質に変身することが求められそうです。やれやれ。

写真の説明:

先々週の日曜日(5/15)に撮影した市民農園の野菜です。奥のブロッコリーまでが我が家の畑です。連休前に定植したトマト,ピーマン,シシトウ,ブロッコリーなどが大きく育っています。また,4月に蒔いた水菜やルッコラ,リーフレタスはすでに収穫できています。毎日ウサギのようにボリボリ食べています。小さな幸せです。


あれから2ヶ月

2011年05月13日 | 食と農

東日本大震災から2ヶ月が過ぎました。

この間,キャンパスや街の花は,花桃,桜,花水木,ツツジと移ろっています。

地震や津波の被災者の方々には,心からお見舞い申し上げます。また,福島第1原子力発電所の事故により避難されている方々は,事故の復旧が見えないことにいらだちと不安を抱えておられることと存じます。

今回の大震災と原発事故は,私たちの「ゆたかな」生活が砂糖菓子のように脆い構造だったことを突きつけてくれました。私はあれ以来,マスメディアの報道によって,疑似体験を部分的には出来ましたが,まだ震災の現場に足を踏み入れる勇気がありません。また,最近の新聞やテレビの報道が「大本営発表」のように,真の情報を隠蔽しているのではないかと疑い,インターネットや週刊誌の情報に注意を払っています。

一方で,大学は卒業式と入学式は中止されましたが,学年暦どおりに新学期が始まりました。授業と会議の「おしごと」を淡々と進めながらも,心の整理がつかない自分がいました。当然ながら研究も進まず,学会・研究会の報告者調整も滞り,多くの人に迷惑をお掛けしました。

2ヶ月経って,被災地の復旧はあまり進んでいないようですが,ときおりテレビで見る被災者の明るい笑顔に救われています。

原発事故の復旧が長期戦になりそうで気がかりです。 が,東京に住んでいるものがあれこれ心配していても程度がしれているように思います。

福島県には知人,卒業生,そして調査でお世話になった農家の方々が大勢おられます。その方々はもっと厳しい状況に遭っておられるはずです。

私にできること,いまやるべきことを少しずつ取り組んでいこうと思います。

これからはブログの更新を怠けないようにしますね。