食農ステイション

食と農に関するお話しを徒然なるままにいたしましょう。

我々は何を食べたか。

2010年09月18日 | アメリカ・FMとCSA
往復400マイルの小旅行を経て,いまロサンゼルスホテルにいます。
いまは現地時間で18日(金)午後12時前です。いよいよ明日帰国します。
明朝もサンタモニカのFMを見学して,12:55分発の成田行きに搭乗します。到着は19日の16時過ぎです。

この間,集中的にFMとCSAを調査・視察しました。どの一つも同じ形態がないのは驚きでした。調査のとりまとめは帰国後になりますが,おもしろい報告書になることでしょう。ねぇ,Hさん。

さて,1日の調査が終わると反省会を兼ねて,皆で夕食をとります。昼食は移動中の時間短縮のため,ファストフードをテイクアウトして車中で食べることが2回ありました。

そこで,この5日間で私がおいしかった3つの皿を紹介しましょう。

1番目は,フレズノのステーキレストランで食べたT-boneステーキでした。付け合わせのベイクドポテトは食べ残しましたが,赤みの肉の味がしっかりしていました。前菜で注文したサラダもおいしかったです。



2番目は,ファストフードですが,パンダ・エクスプレスのオレンジチキンです。アメリカ風の中華料理のファストフードです。日本にも進出しているそうです。
アメリカ恐るべしです。



3番目は,サンフランシスコのフィッシャーマンズ・ワーフのレストランで食べた,クラムチャウダーです。パンの器に入ったものが一般的だそうですが,ほかの料理も注文しため,ボウルの品をいただきました。魚介類の味がスープに抽出されていて絶品でした。

明日は,午前7時30分にホテルをチェックアウトします。トランクのパッキングをして,寝ることにしましょう。

アメリカ西海岸の小売業

2010年09月17日 | アメリカ・FMとCSA
いま,ロサンゼルスにいます。
フレズノを午前8時に出発して,約220マイルを一挙に南下し,12時前にはロサンゼルスに着きました。私たちは車内で居眠りしたり,車窓を楽しみながらすごしましたが,Kさんはずーと高速運転をされました。たいへんお疲れ様でした。

その後,市内中心部になるArt District / Little Tokyo Farmers Marketを見学しました。ここはフードスタンドが多くあり,お昼時でもあり周辺のサラリーマンが多く利用していました。

その後,ロサンゼルス市内にある特徴あるスーパーマーケットのWhole Foods Markettarget,そしてWalmartをそれぞれ見学し,買い物などをしました。通訳のKさんはアメリカの小売業界に詳しく,3社の経営政略の変遷などおもしろく解説してくれました。



今回連続して3社の売り場を見学して,改めてそれぞれの経営戦略の違いが分かりました。特に,Whole Foods Marketは有機農産物専門スーパーマーケットですが,経済不況以来売り上げが大きく下がったそうです。その後,“365 Everyday Value”というPB商品を投入しています。品質が高く,価格が安いため顧客の支持を受けているそうです。

また,青果物の陳列はいつ見てもきれいで,買う気を興させます。
FMやCSAも広義の小売業ですから,これらスーパーマーケットといかに競争していくか,差異化をどう図るかが課題だと言えます。

今日は1カ所のFMと2カ所のCSAを調査します。今日も天気は良さそうです。



多様化するCSAとFM

2010年09月16日 | アメリカ・FMとCSA
いま,フレズノにいます。昨晩はレストランを探すのにとても苦労した小さな街です。

さて,昨日は,FMとCSAを1カ所づつ調査しました。朝,サクラメント市内の公園にあるChavez Plaza Certified Farmers Marketに行きました。ここではFMの運営を管理するNPO職員Bさんから聞き取りしました。このNPOが家族4名で組織されているのは興味深いです。また,FMの名前にある“Certified Farmers Market”とは,州に州産の農産物を扱うことを申請し,認可されたFMとのことです。CA州には同様のNPO,200団体が集まり連盟を組織しており,年1回会議を開いているそうです。そしてのその連盟の代表者がこのNPOの代表でもあります。

FMの聞き取りをするときは,出展者が支払う手数料について聞きますが,このFMはフラットな手数料(1日,1テント当たり20ドル)を徴収しているそうです。この方法は北CAでは同様の方法をとるFMが多く,南CAでは売り上げに応じた手数料を取るところが多いそうです。また,自治体とNPO以外の開設者として営利を目的とする企業も多く見られるとのことでした。そのような企業はほとんど売り上げに応じた変動型を採用しているそうです。

このFMの開設目的は,小規模農家の維持にあり,すべてのテントには“Support Farmers, Preserve Farmland”のポスターと認証の書類が掲示されています。高い理念によって維持されているFMの一つです。



サクラメントを後にして,3時間30分をかけて200マイル南のKingsburgに移動ました。ここも人口1万2千人の小さな街で果樹農業が盛んです。
ここには新しい形態のCSA,Abundant Harvest Organics があります。代表のVさんにじっくりとお話を聞きました。この団体の特徴は,近隣の30戸の有機農家と協力して選別,出荷作業とともにCSAを行っていることです。そして,卸売業者や小売業者は農民のためになっておらず,直接流通を目指すことを強調しています。彼はCSAではなくAgriculture Supported Community (ASC)と呼んでいて,すべての人のハートには農家の穴があると哲学的な話をしていました。そして,自ら“Who's Your Farmer ?”という運動を興しています。64歳とは思えないアグレッシブな農家でした。

Vさんについては,まだまだ語りたいことがあるのですが,今日はタイムアウトです。
8時に出発して220マイル南下し,ロサンゼルスに向かいます。車の移動時間は4時間を超える見込みです。Kさん頑張ってくださいね。

(写真はAbundant Harvest Organicsにおけるザクロの選別)

持続可能な農業とCSA

2010年09月15日 | アメリカ・FMとCSA
いま,サクラメントにいます。昨晩遅く着いたので,暗くて正確な街の様子は分かりませんが,緑が多く落ち着いた街のようです。

今朝も朝4時に目が覚め,テレビのニュース番組を見ながらメールチェックをしています。天気予報が繰り返し流れていますが,サクラメントの最低,最高気温が56/86と表示しています。摂氏の気温に慣れている私たちは,華氏の気温がどのくらいなのかたちどころに実感できません。そこで,アメリカに30年以上住んでいる通訳のKさん(日本人)に聞いたところ,自分も華氏から摂氏に変換して気温を読んでいるといいます。その変換方法は(華氏の気温-32)÷2×1.1が一番簡単だそうです。
その変換式に今日の気温を代入すると,それぞれ13.3℃/29.7℃になります。サンフランシスコよりもかなり高くなりそうです。

さて,昨日は2つのFMと1つのCSAを調査しました。興味深かった二つの団体を紹介します。

一つはサンフランシスコのフェリーターミナルを改修したのを契機にして,いまの場所に引っ越したFerry Plaza Farmers Market です。このFMを管理しているのがNPOのCUESAです。


このCUESAが目指しているのがsustainable agrictulture (持続可能な農業)です。CUESAのミッションは,Ferry Plaza Farmers Marketの運営と教育プログラムを通じて持続可能なフードシステムを支援することだそうです。そのミッションを実現するために,FMに出店する農場を選定する際の基準の一つに社会的公正があったのには少し驚きました。具体的には農場労働者に対しては,ビザを持っているか,健康保険を加入させているか,賃金は幾らか,など不法滞在者の低賃金労働に依存していないことを明らかにする内容です。HPも充実していますし,多くの資料をいただきましたので帰国後ゆっくり分析したいと思います。

もう一つはFull Belly Farmです。ここは本学の大学院生Tさんが2年間のアメリカ農業研修中にこの農場の収穫祭に訪問していたく感激したそうで,こんどCAに調査に行くと話したら,ぜひFull Belly Farmに行くべきだと勧められたのでした。

農場の案内と説明は,代表の娘さんハリーさんがしてくれました。(左は通訳のKさん)


農場の面積は300エーカーで,1985年から有機農業を開始したそうです。そして,92年からCSAを始めました。CSAをスタートさせる最初は,FMにくるお客さんの口コミで50人から開始し,300人,500人,そして現在の1500人に到達したそうです。CSAの仕組みについて消費者に説明するのはたいへんだったと,白目をむいて語ってくれました。
職員はオーナーが4名,管理・事務職員8名,農場労働者が夏期は70名,冬期45名と変動するが,全員が健康保険に加入したフルタイムの労働者だそうです。これも珍しいことです。

販売チャネルは①FM(3カ所),②卸売業者やレストランなどへ販売,③CSAの3つで,割合は,それぞれ15~20%,45~50%,30%だそうで,直接販売するFMが一番楽しいというのが興味深かったです。

今回の調査メンバーの問題関心はそれぞれ違うのですが,自分が想定していない質問が出るのは結構新鮮です。Hさんは有機農業とCSAの専門家ですが,堆肥の原料について聞いいたところ,植物由来のものしか利用していないとのこと。自給しているのは50トンで,大部分は購入しているとのことでした。

また,CSAの1ボックスの価格は17ドルで,1年契約すると1ドルの値引きがあります。(一番上の写真がCSAのBoxです)
この価格は2年前に行ったシアトルのRoot Conectionの30ドルよりもかなり安く,果物も入っていてお得な感じでした。

やっと窓の外が明るくなりました。今日はFM1カ所,CSA1カ所を調査する予定です。宿泊地はFresnoなので350キロぐらい移動します。今のところ皆元気です。

経済不況と有機農産物

2010年09月14日 | アメリカ・FMとCSA
いま,サンフランシスコにいます。成都から帰国後,激しい下痢に襲われ今回のアメリカ行きも危ぶまれたのですが,①病院の下痢止め,②発酵食品(納豆,ケフィア),③芋焼酎のお湯割りが効いたのか,2年ぶり3回目のアメリカ合衆国の土をふむことができました。謝謝。

今回は半商品科研の研究会のFarmers' Market(FM)) とCSAに興味を持つM大のHさんとN研のKさんと一緒にカリフォルニア州のサンフランシスコからロサンゼルスまで直線距離で400マイル(640km),東西方向も訪ねるので,楽に1000kmは移動することでしょう。


この調査のアポはJACという視察手配専門の会社に委託しました。この会社との縁は,当研究室出身のTくんが主宰した果実基金の調査でご一緒したことです。果実基金の調査では,短期間にもかかわらず,FMとCSAの調査報告をまとめていただきました。そして今回,私たちはその調査と同じCSAとFMを視察したいというリクエストに快く応えていただきました。

当地では,JACとつながりがあるJAMCAのKさんがコーディネータ,通訳,運転手の三役を務めてくださり,18日までの私たちのお守りしてくださいます。よろしくお願いします。

さて,アメリカ西海岸と日本との時差は-16時間です。現地時間は夜の10時30分頃です。ちょうどサマータイム中なので時差は1時間短くなっています。日付変更線をまたぎますので,往きは1日儲けますが,帰りは1日損します。人生と同じで帳尻が合うようになっています。

今日のサンフランシスコの気温は最高気温が19度で,上着を着てちょうど良い具合です。夜はかなり温度が下がり,いまホテルでは暖房を付けています。

今日はサンフランシスコ国際空港に10時30分に着き,直ちにFremontのJ.E.Perry Farmsにインタビューに行きました。228エーカーの土地を市から借り受け,そのうち91エーカーの農地を輪作しながら25種類以上の野菜を栽培しています。91年から有機農場の認証を受け,生産物の75%をブローカーに販売し,25%を農場内の店(スタンド)と2カ所のFMで販売しているとのことです。販売金額や借地料は秘密とのことでした。有機野菜の価格形成を聞いたところ,近所のスーパーのそれを参考にしてしるが,なによりもお客さんが周辺よりも高いと買ってくれないので,それが目安になっているというのが印象的でした。

また,Kさんが車中で97年以降の経済不況の中で,CSAや有機農産物をめぐる状況は厳しいことを解説してくれました。有機農産物の使用価値を認識してくれる買手も自分の懐具合によって購買力は変化するというのです。興味深く拝聴しました。



明日は,CSAを2カ所訪問し,カリフォルニア州の州都であるサクラメントに宿泊します。

燃料高騰と農産物の直売

2006年08月11日 | アメリカ・FMとCSA
帰国して早5日が経ちました。
今日,イギリスにおいて航空機テロ未遂の報道がありました。
アメリカの入出国管理の厳しさを目の当たりした者としては,これ以上厳しくなると,アメリカには行きたくないかも。

さて,原油価格の高騰と連関してガソリン価格が急騰しています。

アメリカのガソリン価格も1ガロン(約3.75リットル)当たり3ドルを超えていました。この価格は,3年前の同月で比べると2倍以上になっています。http://tonto.eia.doe.gov/dnav/pet/hist/mg_tt_usw.htm
1ドル=115円で計算すると,1リットル当たりでは100円以下になりますが,日本のガソリン価格に近づいています。

このような背景から,アメリカのCSAのマネージャーが述べていたのは,遠距離輸送が必要なファーマーズマーケット(FM)よりも,消費者(会員)が受け取りに来てくれるCSAの出荷割合を高めていこうということでした。

翻って日本の現状はどうでしょうか。8/9の報道では,ガソリンの店頭価格が143.7円になり,15年8カ月ぶり最高値を更新したと報道されました。

こうなると,農産物直売所をめぐる状況も大きく変わるように思います。
第1に,あちこちの農産物直売所を巡りながら買い物をしていた消費者は,ガソリン代が高くなると買い物も控えがちになるのではないか。
第2は,スーパーのインショップや直売コーナーがより充実するにつれて,農産物直売所が直売所らしさを発揮しないとその競争力は衰えてくるのではないか。

アメリカ調査で印象に残ったのは,どのFMやCSAもオーガニックに力を入れていることでした。オーガニックで無殺菌,無調整のRaw Milkもありました。
そして,農家自らが対面販売することで,スーパーとの違いを全面に出していました。

日本の農産物直売所も転換期を迎えつつあるのではないかと思います。

オーガニック専門生協

2006年08月04日 | アメリカ・FMとCSA
昨日(8月2日)午後7時過ぎにシアトルに着きました。
LAに比べてずいぶん気温が低いのにびっくり。
長袖シャツをもう1-2枚持ってくればよかった。
また,二つ星ホテルにもかかわらず,無線LANがあるのはシアトルらしいのかも。

今日(8/3)は,CSAとPCCという生協を調査しました。CSAについては,帰国してゆっくりとお話しすることにして,ちょっとおもしろかった,PCCについて簡単に報告します。

PCC(Puget Consumers Co-op)は,1953年に15家族でスタートした生協です。いまでは,自然食品・オーガニック食品を扱う全米第一の生協となりました。シアトル市内に8店舗をもち,組合員数は約4万人です。店内をみて驚いたのが,生鮮,加工を問わず,ほとんどすべての食品がオーガニックなのです。加工食品の多くもオーガニックだったのは,調査メンバーも感心していました。

ただ,日本の生協に比べてPB商品が少なく,NB商品がほとんどでした。これもまた,アメリカらしさ感じさせるものでした。

でも,日本はこのようなオーガニック専門の生協もスーパーもありません。サンタモニカでみたWhole Foods Marketよりも品揃えは確実によかったと思います。

このPCCがスターバックスコーヒーのようにシアトルから全世界に広がるのか注目したいと思います。

明日の調査を終えると帰国します。何か寂しいような,ほっとした感じです。

サンタモニカの風

2006年07月31日 | アメリカ・FMとCSA
いま,ファーマーズマーケット(FM)とCSAの調査のため,カリフォルニアにいます。Q大のHさんの科研で,一行6名の楽しい調査です。
ホテルの無線LANの調子が結構よいことと,時差ボケのため眠れないため,ブログの更新をしています。

昨日(7/30,Sun)は,ビバリーヒルズFMとハリウッドFMを視察しました。どちらも,一般道路を自動車が入らないようにせき止めて,道路上にテントを張って農家が農産物を販売しています。

アポを取ってくれたQ大のSさんの話では,ビバリーヒルズFMは高所得者対象にしたFMですが,ハリウッドFMは街の地域活性化のためにFMを開いているそうです。
ハリウッドは観光地としてはいまだ健在のようですが,映画産業が街から撤退し,商店もシャッターが下りたところが目に付きます。

どちらのFMも街に賑わいをもたらしてくれています。毎週お祭りの店が並んでいるようです。一方で,オーガニックや特徴ある農産加工品も並んでいて,お客さんは楽しそうに試食しながら品定めをしていました。

今日は,ビバりーヒルズFMとサンタモニカFMのマネージャーからヒアリングを行います。サンタモニカの風は夜になると肌寒く感じます。

いま,夜が明けてきました。